著者
柿嶌 眞 保坂 健太郎 阿部 淳一ピーター 大村 嘉人
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

福島第一原子力発電所の事故から4年間、自然界における放射性物質の動向を解明するため、茨城県(つくば市を中心に)、福島県、栃木県、宮崎県、千葉県などできのこ類、地衣類、植物寄生菌類の放射能の生物モニタリングを行なった。その結果、きのこ類では腐生性よりは菌根性の方が放射能が高く、地衣類ではきのこよりも平均的に10倍高く、事実上放射性セシウムのミニホットスポットである。植物寄生菌類では特にサツキツツジもち病菌の罹病葉が健全葉より2倍高いことが明らかになった。一般的な傾向として事故後2年まで菌類や地衣類の放射性セシウムの放射能は徐々に減少したが、現在は、放射能はほぼ安定し、減少率が低い。
著者
松島 綱治 橋本 真一 倉知 慎 上羽 悟史 阿部 淳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

伝子発現解析の結果からケモカイン受容体CXCR3に着目したところ、CD8陽性T細胞の活性化直後のリンパ組織内局在をCXCR3が制御することで、その後の免疫記憶CD8陽性T細胞の形成に影響を及ぼしていることが明らかになった。また、メモリー細胞において、CTLに特徴的なサイトカインやケモカインなどの遺伝子群の顕著な発現量上昇、細胞老化と関連深いリボゾーム蛋白類の発現量低下とを認めた。さらに一次メモリーと比較して、二次メモリーCTLではNK細胞特異的遺伝子の発現量上昇が認められ、老化メモリーCTLの特徴となることを明らかにした。
著者
井上 里加子 久保田 恵 阿部 淳二 二宮 一枝 名越 恵美 谷口 敏代 原野 かおり
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.195-202, 2015

「外国語の習得や専門分野に関連した施設見学や研修体験を通じて異文化への理解や多文化共存の重要性について学ぶとともに、修了後は自国での専門職教育における学びのモチベーションの向上につなげる。」ことを目的として、約1 週間、南オーストラリア州(SA)にあるアデレイドへ学生10 名と引率大学教職員2名とで専門的かつ実践的な研修を実施した。そこで今回、本研修が国際交流として本学の学生に与えた影響と教育効果を明らかにし、今後の保健福祉研修への示唆を得ることを目的としてアンケート調査を行った。結果、現地で様々な触れ合いを通して言語は多様なコミュニケーションツールの一つであることに気づき、また文化の違いによる価値観の異なりを実感し異文化理解へとつながった。そして専門職としての理解を深めるきっかけを得、修了後のモチベーション向上を期待できる学生の反応であった。これらのことより、本研修は目的を達成するものであるといえる。
著者
阿部 淳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.99, 2004

【目的】 現代の子どもたちが地域の民俗文化としての祭囃子の練習に参加し、その学習過程において周囲の人々との関わりや、祭囃子の習熟を通して成長していく姿をフィールドワークにより観察した。その観察の中で、祭囃子への子どもの参加をきっかけとして、親やきょうだいも含めた家族、さらには地域の活動へと発展していく様子に注目し、地域に伝わる民俗文化の現代的意義を探ることが目的である。【方法】 1998年から2003年の6年間にわたり、埼玉県 O町における七夕祭りの祭囃子に参加する小・中・高校生、および保存会会員を対象に観察を行っている。参加人数は年度により異なるが、40名から60名の子どもたち、15名ほどの保存会会員が中心となり活動している。観察は参加観察、ビデオカメラによる記録、インタビューを通して行い、分析をおこなった。【結果】 祭囃子の活動は、子どもたちに太鼓の指導をする保存会の大人、幼稚園・小学校低学年の子どもたちの送り迎えを行う親、毎年祭囃子を楽しみに見に来る地域の人々など、直接演奏には参加していない様々な人に支えられて成り立っている。そして、祭囃子に参加する子どもを通じて、親同士のつながりや指導者と親のつながりが生まれ、地域における交流の場としての機能が観察された。これらのことから、現代において、地域に伝わる祭囃子の活動は、現代社会が失いつつある、地域社会における交流の場を提供するものとして、大きな意義をもつと言えよう。
著者
田中 智之 木倉 丈 竹本 啓輝 垣内 弘章 安武 潔 大参 宏昌 阿部 淳子 酒井 伊都子 林 久貴 福原 成太
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.469-470, 2017

PPFC(Plasma Polymerization Fluorocarbon)膜は、絶縁性・耐薬品性を有する撥水膜として様々な応用が期待されている。しかし、その原料ガスには、C<sub>4</sub>F<sub>8</sub>など高次の炭素を含有するフルオロカーボンガスが用いられることがもっぱらであり、PPFC膜の形成を廉価なCF<sub>4</sub>で実現できれば、コストメリットは大きい。そこで本研究ではCF<sub>4</sub>原料ガスからのPPFC膜の高速形成を目指し、高圧プラズマを用いたCVDの適用を試みた。PPFC膜の形成に寄与するパラメータを調査した結果を報告する。
著者
服部 高典 佐野 亜沙美 町田 真一 阿部 淳 舟越 賢一 岡崎 伸生
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.301-308, 2017-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
14

PLANET is a powder neutron diffractometer dedicated to high-pressure experiments. By combining the intense neutron source of J-PARC and the high-pressure devices designed for time-of-flight powder neutron diffraction, precise structure analysis of crystal, liquid, and amorphous solids is possible over wide pressure and temperature range of 0~20 GPa and 77~2,000 K. This beamline is effective for various studies in geophysics, planetary science, physics and chemistry. This paper overviews the beamline and introduces recent results obtained at PLANET.
著者
阿部 淳 根本 圭介 胡 東旭 森田 茂紀
出版者
CROP SCIENCE SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.572-575, 1990
被引用文献数
5

水稲根系の形成について研究していく場合, 個体間あるいは株間で1次根の分布を比較する必要があるが, 従来有効な手法が開発されていなかった。これは1次根の伸長方向 (GDPR) の分布がどのようなものであるか, 必ずしも明らかではないためである。したがって, 異なる標本間におけるGDPRの分布の差を検討するには, 分布の形についての前提を必要としないノンパラメトリック法の利用が妥当と考えられる。本研究では, 同一条件下で栽培した3品種, すなわち, 南京11号 (A), 土橋1号 (B), および, 無芒愛国 (C) の代表株について, Kolmogorov-Smirnov two sample testを用いて, GDPRの分布の差の検定を行なった。この方法では, 各標本の累積相対度数分布 (Sn(x)) を求め, 2標本間のSn(x) の差の最大値が, 棄却値D<SUB>α</SUB>より大きい場合には, 「2つの標本のGDPRは有意水準αで互いに異なった分布を持つ」と判定する。ヒストグラムではBがAとCとの中間型のGDPRの分布を示すようにみえたが, 検定の結果, AのみがB, Cとは有意に異なったGDPRの分布を持つことが明らかとなった。このことは, 従来, 統計学的手法による厳密な解析にはなじみにくかった水稲1次根の形質についての検討に, ノンパラメトリック法が有効であることを示唆するものである。
著者
阿部 淳一 保坂 健太郎 大村 嘉人 糟谷 大河 松本 宏 柿嶌 眞
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.18, 2011 (Released:2012-02-23)

2011年3月の福島第一原子力発電所の事故により,多量の放射性物質が環境中に放出され,広い地域に拡散した.3月15日には,当該発電所から167 kmに位置する筑波大学構内でも,最大放射線量2.5 µSv/hが大気中で測定された.野生きのこ類および地衣類の放射性物質濃度を調査するため,構内およびその周辺で発生していたきのこ類8種および地衣類2種を4月26日に採取し,本学アイソトープ総合センターで放射性セシウム(137Cs, 134Cs) およびヨウ素(131I)濃度を測定した.その結果,きのこ類ではスエヒロタケ (木材腐朽菌)>ツチグリ(外生菌根菌),チャカイガラタケ(木材腐朽菌)>Psathyrella sp.1,Psathyrella sp.2 (地上生腐生菌)の順に,それぞれの核種で濃度が高かった.スエヒロタケでは137Cs:5720,134Cs:5506,131I:2301 (Bq/kg wet)であり,これは,2004年に構内で採取した標本と比較しても極めて高い値であった.なお,アミガサタケ,カシタケ(外生菌根菌),ヒトクチタケ(木材腐朽菌)では,放射能物質濃度は比較的低かった.一方,地衣類では,放射性物質の濃度が極めて高く,コンクリート上で採取したクロムカデゴケ属の一種では137Cs:12641,134Cs:12413,131I:8436 (Bq/kg wet),樹幹から採取したコフキメダルチイでは137Cs:3558,134Cs:3219,131I:3438 (Bq/kg wet)であった.これまでの報告で,きのこ類や地衣類は放射性物質を蓄積することが報告されているが,今回の調査でも,そのことが認められた.現在,継続的に調査を行っているが,その結果も加えて報告する.
著者
岩本 貴光 神田 智浩 阿部 淳
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.34, pp.179-184, 2015-02

本稿は、筆者らが2014年8月12日から8月22日までの期間、「カナダ国バンクーバー市で剣道の普及・発展」を目的として、外国人(主にカナダ国バンクーバー市)が剣道を志す上での基礎的修練の在り方を実証的に明らかにしたものである。本派遣後の2015年5月に第16回世界剣道選手権大会が東京都の日本武道館にて開催されることが決定しており、本は見地のバンクーバー市からも代表選手を多数輩出していることから、剣道の競技力向上と普及活動は大切なものとして位置づけられていた。本事例では、カナダ国バンクーバー市を中心に、日本の伝統文化である剣道を正しく伝えるための活動を行った経緯を明示し、剣道のグローバル化に資する一資料として提示する。
著者
野嶋 佐由美 阿部 淳子 畦地 博子 藤田 佐和 中野 綾美 UNDERWOOD Pa 宮田 留理
出版者
高知女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

患者の自己決定や意志決定を支えることのできる看護介入を発展させていくことを目指し、患者の意志決定を支える看護実践モデルの開発を行うことを目的として、本研究を企画した。本研究は、患者の意志決定を支えた看護場面を想起して記述する自由記載法とアンケートによる実態調査とを行った。本研究の結果から、看護者は、患者が【自分らしさの保持】【現在の生活の維持】【自己の力の発揮】【希望の探求】【再編成に向かう力の充填】などを重視しながら、《病気を持ちながらの日常生活の調整》《生き方の選択》《病気をもった自己の受け入れ》《治療の選択》《家族との関係の調整》などの領域に関して、患者が積極的に意志決定をしている様子を捉えていた。また、看護者の内的取り組みとして、(1)患者の力を信じること、(2)患者の意志や意向を重視して添う関係を形成すること、(3)看護者自身が自己をコントロールしながら看護にあたること、(4)患者にとって最善の選択を願い模索すること、をあげることができよう。看護者が用いていた方略として、《共にいる》《守る》《保つ》《保証する》《整える》《補う》《広げる》《導く》《引き出す》の方略が抽出され、それらは直接患者を支える【患者の力の発揮を支える】側面と、それまでの前段階としての【看護の力を集約する】側面に分類された。【患者の力の発揮を支える】側面において看護者は、患者との関わりの中で、患者の迷いに付き合いながら共に過ごしたり、生活や身体状況を整えながら、患者の行動を見守るなかで、患者を知り、相互の理解を深めていた。そして、患者が安心感をもてるような状況を整え、意志決定に向かう意欲を育むと共に、患者のもつ力を高めながら、患者の意志決定を支えていた。【看護の力を集約する】側面には、《把握する》《判断する》《方向性を探る》《体制を作る》の4つが含まれていた。看護者は、専門的な知識や技術を駆使して患者のおかれている状況を捉え、アセスメントを行って必要な援助を判断すると共に、利用可能な資源や力を集めて患者の意志決定を支えることのできる体制を整えていた。さらに、意志決定を支える看護の特徴として、1具体的ケアを通しての支援、2患者の意志決定への自信を高める支援、3意志決定のプロセスにおける体験や学びの活用、4プロセスとしての意志決定を支える看護、5看護者が陥るジレンマなどが浮かび上がってきた。
著者
阿部 淳也 出石 大志 杉上裕一 堀 幸雄 今井 慈郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.6, pp.97-102, 2007-01-26
被引用文献数
1

伝統的な木構造を用いたファイルシステムが広範に使用されているが,各ファイルのコンテンツによる分類や関係付けの有効な手法が不足している.そのような単純なファイルシステムでは,キーワードを指定した効果的なファイル検索ができないという問題を抱えている.コンテンツに基づく情報検索を可能にするため,各ファイルに関するタグ情報を活用するファイル管理の新しい手法を設計している.本報告では,我々が作成しているファイル管理システムのGUIを紹介し,併せて,形態素解析によるファイル属性からのキーワード抽出,DBMSによるキーワード操作およびキーワードに基づく情報検索などを用いた,プロトタイプ実装についても言及する.Conventional tree-structured file systems have been widely used, but they have lacked a useful mechanism to classify and relate their files according to the contents of each file. And such simple file systems are suffering from efficient retrieval of their files by specifying keywords. In order to perform content-based information retrieval, a new scheme of file management is designed to utilize tagged information about each file. In this report, we will introduce a GUI of our file management system. And we will describe its prototype implementation by means of keyword extraction from file attributes with morphological analysis, keyword manipulation through DBMS and information retrieval based on keywords.