著者
荒金 正憲
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-16, 1996-01

挿図あり
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.53-66, 2012-02

紛争、和平プロセス、和平合意と社会の変化に伴って北アイルランド小説のテーマも変遷を遂げてきた。1970年代から1990年代にかけては「紛争小説」が書かれ、1998年のベルファスト和平合意前後からは、紛争を振り返りながら和平の過程の中で生きる人間の姿を描いた小説が書かれ始めた。そして2000年を過ぎてからは、紛争は背景に置いただけの、日常的な人生体験をテーマにした小説が書かれ始めた。シャロン・オウエンス『マルベリー通りの喫茶店』(2003)は、ベルファストのある喫茶店の常連客たちの様々な人生体験を描いた。苦難を乗り越えて新たな人生を踏み出す彼らは、北アイルランド内外の多くの読者たちの共感を呼び、「北アイルランドは紛争が終わったら書くべき題材は無くなる」というメディアや批評家たちの見解を一蹴した。また彼らの新たな人生は、平和と発展に向けて歩み始めた北アイルランドのメタファーと見なすこともできる。そして登場人物の女性たちは、紛争小説に見られた受動的な女性たちとは違った能動的な女性たちである。The themes of Northern Irish fiction have changed as Northern Irish society has witnessed events such as the Troubles and the peace process. The so-called "Troubles novels" were written from the 1970s until the 1990s. Since a few years past 2000, novels of which the main themes are people's simple experiences of living have been coming out.The Tea House on Mulberry Street (2003)by Sharon Owens is a novel about various experiences of living of the customers in a Belfast tea house. The new lives which they have attained after overcoming many hardships can be regarded as a metaphor for Belfast which is now on her way to peace and development after overcoming the Troubles.Another characteristic of the novel is the appearance of active women, which presents a striking contrast to passive women appearing in many Troubles novels.
著者
立松 洋子
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.27, pp.137-157, 2008-03

(1)今回の調査で大分県の郷土料理で高い認知度を示したのは,ひじきごはん,高菜ご飯,とり飯,けんちん汁,団子汁,とりてん,やせうま,カボスゼリーである。郷土料理の種類で認知度の差があるが,この8品だけが認知度が60%以上である。郷土料理は子どもにはあまり知られていない(伝承されていない)と考える。1つの根拠と考えられるのは,一般的に大分県は小藩分立の影響が残り,郷土料理が県全体で食べられていないと考える。(2)学校や家庭や外食で作られ普及している郷土料理の方が,子どもへの認知度が高くなると考える。家庭でも大事に引き継がれている郷土料理ほど認知度は低い。これらの認知度の低い郷土料理を絶やさず,次世代に伝承していくことが重要であると考える。(3)ほとんどの郷土料理は地域性があるが,学校給食でだされている郷土料理は地域を超えて伝承されている。このことからも,学校での食育は重要であると考える。(4)郷土料理が体に良いと思う・美味しいと思うと60%が認識しているが,郷土料理が本当に身近な料理と思っている子は31%しかいないことからも郷土料理は子どもに浸透していない。また,郷土料理は家庭で, 1か月に数回しか食べられていないことからも郷土料理が作られていないことがわかる。また,非常に伝えていきたい,作れるようになりたいと思う子どもも少なく,郷土料理にあまり関心がないようである。これからどのように取り組みをするかが重要になる。(5)外食については, 69%の子どもたちは1ヶ月に数回以上外食の頻度があり,外食が日常化している。また,家庭では芋類・豆類・果物が食べられていない。家庭での調理が少なくなり外食やコンビニ弁当・インスタント食品では芋や豆・果物をとる機会が少なくなると考えられる。家庭でも心がけて郷土料理の素材である芋や豆を使った料理を作ることで,郷土料理が家庭で一層普及し,さらに,学校給食がこれまで以上に食育の立場で郷土料理の伝承に大きな役割を果たすことを期待している。また,外食での郷土料理の普及も重要な鍵となると考えられる。
著者
村田 勝 神戸 保 江崎 一子 岩本 佳子 村田 みどり
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.25, pp.1-7, 2006-02

成熟(黄色)したカボスを用いて,食品を中心とした加工品開発を行った。この開発研究のコンセプトは,黄色化したカボス全体をすべて加工に使用することである。種子も果皮も,もちろん果汁も利用し,廃棄物をゼロにすることである。また,高齢者や病弱者に美味しく食べてもらえる黄色カボスの加工品開発も,この研究の目的の一つである。開発した53品目の中には,高齢者や病弱者向けに特に開発した食品5品目がある。これらは,健常者にとっても食べやすく美味しい食品である。53品目中で商品化予定のものは,現在3品目である。
著者
バーミンガム ジョージ・A 八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 = Bulletin of Beppu University Junior College (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.36, pp.123-130, 2017-02

近年、第一次世界大戦とアイルランドの係りに関する研究が盛んで、この戦争を描いたアイルランド文学作品が見直されつつある。北アイルランド出身の小説家ジョージ・A・バーミンガム(George A. Birmingham,1865-1950、本名ジェイムズ・オウエン・ハネイJames Owen Hannay)は、第一次世界大戦で従軍司祭として志願し、フランスで戦うイギリス陸軍に随行した。その時の体験は回想録『フランスの従軍司祭』(A Padre in France ,1918)にまとめられている。また第一次大戦とアイルランド独立戦争を題材とした短篇小説集『我々の犠牲者』(Our Casualty and Other Stories ,1919)を出版した。両作品とも兵士たちの人間性、死と向き合う心理を映し出した知られざる戦争文学の名作であると言えよう。短編小説「意中の娘」("His Girl")は『我々の犠牲者』に収められた1篇で、第一次世界大戦を題材としたユーモア、悲哀、人間性に富んだ作品である。バーミンガムの本質を示す作品として、また後世に伝えられるべき名作としてここに翻訳紹介する。
著者
立松 洋子 小畑 光朗
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 = Bulletin of Beppu University Junior College (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.35, pp.101-109, 2016-02

大分県は南海トラフ地震が心配され各地で防災の対応がなされている。また、地球温暖化、世界情勢の変動の時代の中、地球環境も食糧事情も不安定になりつつある時代、食糧を確保する方面から、救荒作物を利用することを考えていく必要がある。今回、芋茎がどのような物かを理解し、芋茎をどのように食するのが一番良いのかを検討し、非常時に役立てたいと考え、様々な調理を検討し、特に保存性のあると考える干した芋茎を用いた料理を数々作り、その結果から、どんな料理でも可能であるが、調理方法としては、災害時には、炒めて煮る簡単な料理が一番食べやすく美味しいのではないかと判断した。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.34, pp.89-99, 2015-02

ジョージ・A・バーミンガムの演劇『ジョン・リーガン将軍』(1913)はロンドン、ニューヨークで上演された時大成功を収めた。しかし翌年、この作品の舞台とみなされているアイルランド西部の町ウェストポートで上演された時、「アイルランド人を侮辱した」と多くの観客から誤解され、暴動が起き劇は途中で中止に追い込まれ、20人以上の逮捕者が出るというアイルランド演劇史上最悪の事件となった。この作品を高く評価した作家に、後にノーベル文学賞を獲得し世界文学史上に永遠に名前をとどめているジョージ・バーナード・ショーがいる。バーミンガムもショーもアイルランドの生れであるが、もともと祖先はイギリスのプロテスタント教徒であった。『ジョン・リーガン将軍』とショーの『ジョン・ブルのもうひとつの島』(1904)はともにアイルランドとイギリスの関係を扱った演劇であり、アイルランドに対する彼らの複雑な感情と愛着が表現されている。本稿ではショーがバーミンガムに宛てた手紙とふたつの演劇の論考を通して『ジョン・リーガン将軍』の再評価を試みる。
著者
尾濱 邦子 阿部 敬信 宮崎 栞恋
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 = Bulletin of Beppu University Junior College (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.36, pp.21-29, 2017-02

本研究は,小学校第5学年児童を対象者として,新規の学習内容について,学習マンガによる教材と,同じ学習内容を文章のみによる説明文による教材を実験材料として用いることにより,学習マンガの教材としての学習内容理解の教育的効果を明らかにすることを目的として行われた。その結果,小学校第5学年の児童に対して,学習マンガによる教材で提示を行った方が学習内容の理解は3週間後まで保持されやすいことが分かった。またその要因として,学習マンガによる教材を用いることで,理解や記憶といった認知的処理が深く行われることが考えられた。
著者
足立 圭司
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.36, pp.77-84, 2017-02

1997年介護保険法が制定され施行以降16年をへた。介護保険は高齢者介護の社会化を目指し社会保険方式をとり、民間介護サービスの導入を図りながら現在に至っている。制度が始まってサービス量の確保の問題や介護報酬の不正請求への対処の時期をへて増大する介護保険給付に対応すべく介護サービス量の抑制と介護給付対象者の絞り込みが始まっている。また介護保険への地域包括ケアシステムの導入により要介護者の地域生活のありようを変えようとする市町村による「総合事業」が開始されている。そして、財源論によるバイアスから地域包括ケアシステムを担う役割が公助・共助から自助・互助とへ動き出している。これらは、社会保障の分野が経済分野の一つと捉えられ「コスト削減」すべき領域として認識されている事から来る介護保険の持つ本質的問題である。今後、介護保険サービスに大きな影響を持つ地域包括ケアシステムのゆくえに注目する必要がある。
著者
岩本 貴光 神田 智浩 阿部 淳
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.34, pp.179-184, 2015-02

本稿は、筆者らが2014年8月12日から8月22日までの期間、「カナダ国バンクーバー市で剣道の普及・発展」を目的として、外国人(主にカナダ国バンクーバー市)が剣道を志す上での基礎的修練の在り方を実証的に明らかにしたものである。本派遣後の2015年5月に第16回世界剣道選手権大会が東京都の日本武道館にて開催されることが決定しており、本は見地のバンクーバー市からも代表選手を多数輩出していることから、剣道の競技力向上と普及活動は大切なものとして位置づけられていた。本事例では、カナダ国バンクーバー市を中心に、日本の伝統文化である剣道を正しく伝えるための活動を行った経緯を明示し、剣道のグローバル化に資する一資料として提示する。
著者
立松 洋子 衛藤 大青
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.177-186, 2012-02

平成20年度から23年度3月卒業した学生の調理実習達成度調査から年々上達している様子が見受けられるが、実際の調理実習では年々実技が低下しているように伺える。達成度の項目では、記憶する項目は達成度は高いが濃度や吸油率等の数学的化学的項目や相互関係が必要とされる項目については達成度が低い。また、各学年ごとの性格や学習態度により達成度が異なっているので、教師の指導方法や教育環境を整備し、調理実習にあたらなければならないと感じている。さらに、高い達成度をもつ学生についてはもっと高いレベルの実習をしなければならないと考える。
著者
池口 功晃
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
別府大学短期大学部紀要 (ISSN:02864991)
巻号頁・発行日
no.31, pp.79-92, 2012-02

宿泊観光は日帰り観光に比べ、その消費額が大きいことから、観光入込客の増加を目的とした各地方自治体の観光施策は、宿泊観光に焦点を当てたものが多い。しかし、近年、国内の高速道路を中心とした交通インフラは一部の例外を除き、漸次整備されつつあり、その結果、日帰り観光需要は従来に比べ高まりつつある。そこで、本稿においては佐賀県嬉野市、武雄市、伊万里市の3都市を事例とし、GIS(MANDARA)及びGoogle Maps を用いて、それぞれの日帰り観光客誘致圏を導出し、その特徴を比較考察した。また、小売商圏の研究で用いられてきた修正ハフモデル(ハフモデル)を援用することで、これら3都市相互間の理論上の日帰り観光客誘致力を明らかにした。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

当科研費受給者の当初の研究課題は、「北アイルランドの小説家たちがナショナリズムとユニオニズムの対立をどのように描き、どのような解決策を呈示しているか」という、北アイルランド内部に限った局所的なことであった。しかし研究を通して明らかになったのは、北アイルランドの小説家たちはこの対立問題の描写を通して、そしてまたそれ以外の事象の描写を通して、世界に通じる普遍的な価値を有する作品を書き続けているということであった。ジョージ・A・バーミンガムがSpanish Gold(1908)、General John Regan(1913)、Good Intention(1945)等のユーモア小説を通して訴えているのは「何事も深刻に考えすぎるべきではない。いかなることの中にも『笑い』の要素を見出すことが肝要だ」という、人間のあらゆる対立問題の解決に当てはまる哲学的真実である。そして、対立問題の解決のために八面六管の大活躍をする彼の小説の主人公たちは、「自己犠牲精神」というキリスト教倫理を備えており、アイルランド国教会牧師でもあったバーミンガムの倫理観を具現していると言えよう。今後は、The Wisdom of Desert(1904)、Isaiah(1937)等、バーミンガムの著したキリスト教に関するエッセイを精読することにより、彼のキリスト教倫理と小説の関係を追究する予定である。北アイルランドには、現代小説家たちのうちにも、バーナード・マクラヴァティーやグレン・パタソンら優れた作家がいる。パタソンはNumber5(2003)、That Which Was(2004)等を通して、ベルファーストの様々な姿を呈示し、ナショナリズムとユニオニズム以外の価値観を模索している。その意味ではバーミンガムに通じるものがあり、「パタソンとバーミンガムの作品を読み比べてみる価値がある」というマイケル・パーカーの指摘の正しさを裏付けている。次作The Third Party(2007)では、日本を旅する北アイルランド人を描き、パタソンの小説はさらに広がりを見せる。2003年には今までの研究を『北アイルランド小説の可能性-融和と普遍性の模索-』(渓水社)と題した一冊の研究書にまとめた。今後は、バーミンガムの評伝(英文)の出版を第一目標に置いて研究を続ける予定である。またパタソンのいずれかの作品を翻訳出版したい。さらには、ジョイス・ケアリーやC・S・ルイスのような、北アイルランド出身で、イギリスで名を成した作家たちも取り上げ、北アイルランド小説の奥の深さを明らかにしたい。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ジョージ・A・バーミンガム(1865-1950)を中心に北アイルランド小説の普遍的意義と価値を解明した。バーミンガムの初期のふたつの小説が巻き起こした論争がいかにアイルランドの歴史を揺り動かしたかを分析し、そしてこの騒動によってバーミンガムは、人々の融和のためにはユーモアが不可欠という普遍的真理を備えた小説を書くに至ったことを実証した。北アイルランド小説の新たな展開に関しては、グレン・パタソン(1961-)、シャロン・オウエンス(1968-)らの小説が、紛争に囚われぬ新しい姿の北アイルランドを描き、どのようなグローバル性を備えているかを提示した。