著者
佐藤 郁哉 サトウ イクヤ Sato Ikuya
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.201-258, 2018-09

研究(Article)本論文では、2000年前後から日本の高等教育セクターにおいて頻繁に使用されるようになったPDCAという用語の普及過程とその用法について、特にこの用語が行財政改革の切り札として注目され、また高等教育界に導入されていった経緯に着目して検討を加えていく。その分析の結果は、業務の効率化を目指して導入されたPDCAの発想がその本来の意図とは正反対の極端な非効率と不経済をもたらす可能性があることを示している。また、(疑似)経営用語の借用それ自体がもたらす弊害について指摘した上で、PDCAなる用語の禁止語化を提案する。
著者
佐藤 郁哉 サトウ イクヤ Sato Ikuya
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.341-417, 2017-01

研究(Article)本論文では、英国において1980年代半ばいらい数年おきに実施されてきた研究評価事業を主たる事例として取り上げて、研究評価事業及びその結果にもとづく研究予算の選択的資源配分が大学等における研究と教育に対して与える意図せざる結果について検討していく。特に焦点を置くのは、商学・経営学分野における「論文化」の動向であり、本論では、これを「ゲーミング」の一種としてとらえる。
著者
吉川 英一郎 Eiichiro Yoshikawa
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.507-565, 2021-01

「国際的な消費者契約」を扱う日本の判決例について、「国際」&「消費者契約」を検索語として判例データベースを用い、33件のケースを呼び出して、国際契約トラブルとしての日本における消費者契約訴訟の傾向を(国際裁判管轄条項や準拠法条項を中心に)紹介したいと考える。その33件については別表としてその要旨をそれぞれ掲載する。研究(Article)
著者
杉江 雅彦 Masahiko Sugie
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.899-915, 2020-03

中世ヨーロッパでは、聖書の教えに従って利子付き貸付は認められなかった。しかし都市化による貨幣経済の浸透で資金需要が増加し、利子付き貸付を認められていたユダヤ人金貸しだけでなく、キリスト教徒の金貸しも現れて高利を貪った。その影響で、家計費の不足分を借金に依存していた貧困者や女性が苦しめられた。これを救ったのが托鉢修道会である。修道会は慈善活動の一環として、低利の公益質屋の開設を推進した。これらの多くが後に貯蓄銀行に発展し、あるいは公益質屋としても現存している。同志社大学商学部創立七十周年記念論文集(Special issue in commemoration of the 70th anniversary of the Faculty of Commerce)
著者
服部 茂幸 Shigeyuki Hattori
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.1043-1077, 2020-03

同志社大学商学部創立七十周年記念論文集(Special issue in commemoration of the 70th anniversary of the Faculty of Commerce)
著者
佐藤 郁哉 サトウ イクヤ Sato Ikuya
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.27-63, 2018-07

研究(Article)本論文では、2000年前後から日本の高等教育セクターにおいて頻繁に使用されるようになったPDCAという用語の普及過程とその用法について検討を加えていく。また、その事例の分析を通して日本におけるニュー・パブリック・マネジメント(NPM:新公共経営)が陥りがちな落とし穴について明らかにしていくことを目指す。事例分析の結果は、業務の効率化を目指して導入されたPDCAの発想がその本来の意図とは正反対の極端な非効率と不経済をもたらす可能性があることを示している。
著者
崔 容熏 チェ ヨンフン Choi Yonghoon
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.493-513, 2018-01

研究(Article)本研究は、不確実性の高い環境下で製造業者が選択するチャネル構造(つまり、チャネル統合度)が、企業成果に如何なる影響を及ぼすかは、市場支配力という企業属性に依存することを経験的に分析したものである。日本の製造企業396社から得られた定量データの分析から導かれた具体的な発見物は次のとおりである。第1に、環境不確実性が高い場合に、統合チャネルの選択が成果変数(チャネル成長度)にポジティブに寄与する傾向は、市場支配力の弱い企業にのみ見られる。第2に、市場支配力の強い企業が不確実性の高い環境下で統合チャネルを活用する場合、チャネル成長度はむしろ低下する様相を呈した。市場支配力の強い企業は、チャネル統合という手段に頼らずとも、環境不確実性に起因する取引困難性を抑制することができる。そのために、市場支配力の強い企業による統合チャネルの利用は、資源の重複をもたらし、チャネル成長を妨げる可能性が高い。The main emphasis of current study is to confirm that firm's endemic resources such as market power could be alternative safeguarding mechanisms against trasaction difficulties. This study provides empirical evidences on the performance effects of links between governance forms, exchange attributes and firm-specific resources on the context of forward channel integration of 396 Japanese manufacturers from diverse industries. Our results of analysis showed that firms can overcome transaction difficulties of market incurred by high environmental uncertainty without necessarily integrating a certain marketing function (i.e., downstream distribution). Specifically, we found that highly dominant firms in their product markets are able to use their market power to control discretionary actions of independent intermediaries and thus safeguard channel performances from threat of opportunism even in the highly uncertain environment.
著者
崔 容熏 チェ ヨンフン Choi Yonghoon
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.491-506, 2017-03

研究(Article)本研究はマーケティング・チャネルにおける資産特殊性をもたらす先行要因に関する複数の仮説を提示し、その経験的妥当性を検証した。従来のチャネル研究において、資産特殊性は、もっぱら前方チャネルの統合度を規定する外生変数として捉えられていた。本研究は、資産特殊性が流通サービスと製品特性に関する製造業者の戦略的意図を反映した内生変数であると主張し、その経験的証拠を提示した。This article examines some antecedents of asset specificity in marketing channel. Asset specificity has been treated as an exogenous variable of channel integration in a large number of empirical studies. In contrast, current study assumes asset specificity as an endogenous variable, in which manufacturer's strategic intents are reflected. With regard to Japanese manufacturer's forward integration context, we find that the effects of product complexity and intention of service specialization on channel integration as mediated by asset specificity.