著者
湯舟 貞子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
no.41, pp.51-62, 2007-01

母性意識はさまざまな環境によって形成されるものであり、その形成が不十分な場合には母性喪失または母性形成不全といった状態を呈することがあり、その中には子どもを虐待したり遺棄するような状況も当然起こると考えられている。この現象を少しでも予防していく為にその原因を知りたいと考え、世代別生活過程と母性意識の形成状況、および母親の意識と実子との関連について分析をした。その結果、第1に過去(結婚以前)に小さい弟や妹、また親戚や知人の小さい子どもの世話をした経験のある祖母の世代は子どものことで"イライラ"することが少なかった。第2に母性意識形成過程の重要な要因として、「子どもが好き」「子どもと共にいると楽しい」「子どもに関心がある」など、子どもと自己との関係において、子どもに対して肯定的・積極的に考えるような人格の形成が必要であり、これは自分の子どもが生まれ、育児に直接関わる経験を持つことによって高められていくのではないかと考えた。
著者
古賀 千種 深津 智恵美 田中 薫樹
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-11, 1979-12-30

食品の嗜好性に影響を与えている因子が性格特性とどのような関係にあるかを,18歳〜20歳の女子学生169名を対象に調べた。嗜好因子の分析は松村のテストを用い,これにより嗜好指数を算出した。性格検査はモーズレイ性格検査(MPI)及び顕現性不安テスト(MAS)を用いた。更に肥満度をBroca指数により算出しこれと嗜好指数との関係,またBroca指数と性格特性との関係を検討した。その結果は下記のように要約される。1)性格特性一嗜好指数外向性得点の高い者ほど嗜好指数が高い傾向がみられた。すなわち外向性の者ほど食物に対して順応性や弾力性があることを示している。神経症的傾向の高い者ほど嗜好指数が低い。すなわち神経症的傾向の高い者ほど特に献立や調理についての知識や学習不足の傾向にあることがうかゞわれる。不安度と嗜好指数との間には関係は見られなかった。2)嗜好指数-Broca指数有意な相関は得られなかった。3)Broca指数ー性格特性外向性,神経症的性向および不安度とBroca指数との間には有意な関係は得られなかった。
著者
坂本 啓子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.277-299, 1992-01-31

本学食物栄養専攻栄養士コース2年次生87人を対象に,講義主体の日と実験主体の日の生活行動別消費時間とエネルギー消費量を調査し次の結果を得た。1.生活時間は,講義日,実験日ともに,生理的生活時間が最も長く,講義日平均10時間39分(1日の44.4%),実験日平均9時間50分(1日の41%)であった。次いで学業的生活時間で,講義日平均6時間59分(1日の29.1%),実験日平均9時間33分(l日の39.7%)三番目が社会文化的生活時間で講義日平均5時間20分(1日の22.2%),実験日3時間53分(16.2%)であり,最も短いのは家事的生活時間の講義日平均62分(l日の4.3%),実験日44分(3.1%)であった。生活時間の特徴を述べると(1)睡眠時間の平均は講義日が7時間23分,実験日が6時間33分であったが,最小値が3時間5分,両日合わせて3時間台4人,4時間台が6人いた。短時間睡眠の原因の一つに家庭内学習とアルバイトがある。若い学生ではあるが短時間の睡眠が長期に続くことは健康上よくない。短時間睡眠が習慣化しているとすれば生活リズムのとり方について検討する必要があろう。(2)家事的生活時間を持っていない学生が14〜15%いる。いずれも自宅通学者である。家庭内の誰かが,学生に代って家事的行動を行っていると推察される。(3)授業(講義,実験,実習)時間の平均は講義日が3時間24分,実験日6時間2分であった。両日の最大,最小値の差も大きい。短大の特長として,学生の学習意欲が大きければ,いくらでも学習できることを示している。(4)通学時間は両日とも平均2時間20分前後で1日の約10%を通学に要している。最大値は5時間10分である。(5)家庭内学習は,76〜78%の学生が行っている。時間は講義日2時間26分,実験日2時間11分であったが最大値の学生は8時間3分も家庭内学習を行っていた。2.1日のエネルギー消費量は講義日の平均が1991kcal,実験日の平均が1949kcalで検定結果からも講義日が実験日を上まわっている。4分類の生活におけるエネルギー消費量のうち,講義日が実験日を有意に上まわっていたのは,生理的生活,家事的生活,社会文化的生活で,学業的生活のエネルギー消費量のみが,講義日の平均692kcalに対し実験日が880kcalで,実験日の方が有意に多い結果となった。また,講義日と実験日のエネルギー消費量相関をみると相関係数は0.755と有意に高く,体量の要因をとり除いた偏相関係数も0.297であり,講義日と実験日のエネルギー消費量が独立てないことを示している。このことは身体を積極的に動かすタイプの学生は両日とも同様の動きを行っていることを示唆している。3.以上の結果から学生達は実験主体の日には積極的に学業生活を過ごし,講義主体の日より長い時間と多いエネルギーを消費して,学業生活に力を注ぎ,学業以外の生活行動をセーブしている。学業的生活の時間,エネルギー消費量の少ない講義主体の日には,社会文化的,生理的,家事的生活の時間,エネルギー消費量が増加する生活行動をとっていることがわかった。学生達は短大生の特性である自主性を生かしながら,自らの一日の生活の消費エネルギーを上手にコントロールしているといえよう。
著者
矢村 篤子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.197-209, 1995-12-30

This thesis is to study the characters of mothers in Frances Hodgson Burnett's three most popular works, in view of Jungian idea of Great Mother. Although there are no fairy godmothers, witches, or murderers, there are many reminiscences of fairy-tale characters that represent various elements of Great Mother. In Little Lord Fauntleroy, Cedric's mother represents the positive side of Great Mother that loves and fosters children, while hysteric and selfish Bevis' wife represents the negative side of Great Mother that devours and kills children. In Little Princess, Sara inherits motherly characteristics from her dead mother, while Miss Minchin is the very "step-mother"of a fairy tale. In The Secret Garden, Mary's mother represents the negative side of Great Mother as she neglects her child. On the other hand, Martha's mother represents the positive side as she loves Mary and Colin as well as her own children. Although children need the positive side of Great Mother in order to grow, they also need to experience the negative side in order to become independent adults. Cedric is a young boy before experiencing the negative side, while the two heroines experience both sides fully, and they seem to become fine mature women.
著者
黒津 敏行
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
no.3, pp.1-12, 1968-12
著者
福嶋 昭治
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
no.12, pp.p31-44, 1978-01
著者
山口 美代子 樋上 純子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.15-23, 1995-12-30

家庭用冷凍庫で蔬菜類を冷凍保存した場合のビクミンCの経時的変化ならびに色,味,香りの変化について検討した。1.前処理としてのゆでる操作によりビタミンCは10%〜50%減少した。2.冷凍保存中のビタミンCの減少は,比較的緩やかであった。3.非加熱で冷凍保存した場合のビタミンCの減少は著しかった。4.色は,冷凍保存により,ほとんどの緑色の蔬菜で幾分色濃くなったと感じられるものの,加熱直後と大差はなかった。5.味ならびに香りは,さやいんげん,ブロッコリーでは,加熱直後と大差はなかった。
著者
山口 律子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.69-85, 1997-12-30

紅花染めには,黄色素をなるべく水に流出させた後に染める,まだ黄味の残っている紅(くれない)という美しい色がある。紅花からこの美しい色を引き出すために,どのような染色方法が良いのか検討した。今回は,特に,紅花染めにおいて,黄色素はどの程度除く必要があるのか検討した。1.染色香は,黄色素の抽出において,延べ抽出時間を長くするほど,黄味が少なくなり,赤味がわずかに増した。2.黄色素は,抽出する水の量が多いほど,早く十分に除くことができ,黄色素の延べ抽出時間を短縮できた。3.1回の黄色素抽出時間が短くても,抽出回数を多くすることにより,黄色素は十分に除くことができた。4.黄色素の抽出は,紅花染めをおこなうときの状況にあわせて,抽出条件を設定できることがわかった。
著者
浜口 尚
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.189-198, 2007-01

筆者は2004年3月1日から8月31日まで園田学園女子大学在外研究員としてカナダ、モントリオール市にあるマギル大学に滞在、個人研究に従事してきました。本稿は筆者自身による学内での口頭報告「カナダでの在外研究を終えて」(2004年9月24日、園田学園女子大学5号館3階大会議室)をほぼそのままの形で文章化したものです。当日報告を聞いていただいた教職員の皆様方にお礼申し上げます。