著者
川原崎 淑子 小西 春江
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.47-65, 1996-12-30

1.調査対象については大学2学科,で171人。短大部,l学科と5専攻で532人合計703人の調査である。2.通常の昼食では学生食堂の利用者は38%であり,利用率の高いのは,日文,幼教,英文専攻であった。3.学生食堂利用の理由は,便利さ,価格をあげていた。弁当持参は便利さ,価格,栄養をあげ,学生食堂利用については,栄養をあまり重視していないようである。4.購売利用者は便利,価格,嗜好をあげていた。5.市販弁当は嗜好,価格,便利をあげ,弁当持参とちがう結果である。これは当然お金を出して購入するのであるから,嗜好を一番にあげ,よりおいしいものを求める結果がみられた。6.調査日の結果では,前項の通常の利用とちかい,弁当が35%,学生食堂が30.7%と逆の結果であった。当日の時間割によるところが大である。しかし学生食堂等生協関係を合わせても44%とは少くないのではないかと思われた。7.学生食堂利用者の食事内容については,主食 + 汁物 + 副食,主食 + 副食,主食と副食を兼ねた1品,その他について分類したところ,全体的にはそれ以外は同じような割合で食していた。専攻別では食栄に主食 + 汁物 + 副食のバランスのよい喫食が多くみられ,他の専攻とはちがう結果がみられた。8.喫食の品数は3品目が29.2%,次いで1品目の28.3%,2品目の25.2%の順に食されていたがしかし余り差は認められなかった。献立の内容の3品目は「ご飯 + 味噌汁 + 副食」の定食型,1品では,主食と副食を兼ねた一体型,2品目では一体型と副食ともう1品という結果であった。9.エネルギー量については昼食として1品目〜3品目が約465〜716kcalとなり,蛋白質13.6〜34.7%,脂肪7.0〜29.0gの範囲の摂取量であった。3品目をバランスよく食べれば良いようである。副食として油もの2種は脂肪摂取量が高くなるので慎しむべきであるが,近頃の朝食の欠食からみて,昼食で調整する事も考えなければならない。10.価格について,学生は大分重視しており,一番多く利用している主食と副食が一体化したもので平均309円,主食 + 汁もの + 副食で373円,主食 + 副食で412円となり,高いものと低いもので103円の差があった。一番高くつく組み合わせは主食 + 副食で,例えばかつ丼 + から揚げ + サラダで580円となる。11.食事に由来する考え方については,価格,嗜好,健康,便利,ダイエットの順であり,学生は学生食堂に対しては先ず,安く,そしておいしいものをと期待しているようである。しかし,生協に学生の残流量を聞いてみるとほんの少し残している人が多いらしい。それ以外には野菜類の食べ方にも工夫し,残した場合の戻し方にも,もう少し心配りが必要のようであった。
著者
武田 寅雄
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.A113-A138, 1978-10-30
著者
山口 律子
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.139-156, 2006-01-31

紅花染めは、昔から寒中の染めがよいと言われてきた。寒中と言わないまでも寒い季節に染色するのがよく、夏期は、紅花の染液が変質しやすいため、夏期の紅花染めはしない方がよいとされている。また、寒中の紅花染めは、色が冴え、最も色鮮やかに染め上がるのに対して、夏期の紅花染めは、色相が濁った色になりやすい。そこで、紅花染めの効果的な染色方法を見出すため、紅花染めにおける紅色素の抽出温度、および紅色素抽出液による染色温度の影響について検討した。1.紅花染めにおいて、紅色素の抽出温度を10℃から30℃の間変化させても、染色布の赤み、黄みの割合は、ほとんど変化しないことが認められる。2.紅花染めにおいて、黄色素の抽出除去が十分で、紅色素抽出液による染色温度を10℃に設定する場合、紅色素の抽出温度は、20℃以下で行うのが、効果的であると思われる。しかし、黄色素の抽出除去が不十分である場合、紅色素の抽出温度が20℃では、染色布は色がこく、濁った色になることが認められる。これは、黄色素の抽出除去が不十分であるため、紅色素の抽出の段階で、紅色素の抽出温度が高いほど、紅色素以外の他の色素の抽出が増加すると考えられる。従って、紅花染めにおいて、黄色素の抽出除去が不十分である場合、紅色素の抽出温度は、10℃以下の低い温度で行うのが効果的であると思われる。3.紅花染めにおいて、紅色素抽出液による染色温度が上昇するに従って、染色布の赤みは、多くなる傾向が認められる。4.紅花染めにおいて、黄色素の抽出温度、紅色素の抽出温度が最適であっても、紅色素抽出液による染色温度が20℃以上では、染色布は、明度が低くなり、色がこく、濁った色になることが認められる。これは、紅色素抽出液による染色温度が高いほど、紅色素以外の他の色素の染着量が増加するためと考えられる。また、黄色素の抽出温度、紅色素の抽出温度が最適である場合、紅色素抽出液による染色温度が10℃では、染色布は、明度が基準試料よりも高くなり、色はうすいが、冴えた、澄んだ色になることが認められる。従って、紅花染めにおいて、紅色素抽出液による染色温度は、10℃以下の低い温度で行うのが効果的であると思われる。
著者
村上 美代子 佐野 洋子 永江 春江
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.9-15, 1975-12-20

1.ジューサー処理によるジュース中の主な栄養構成をしらべてみた所, 殆んどの成分は混合した原料成分の約2/3程度がジュース中に移行し粗繊維でさえもとの1/3程度はジュース中に含まれていた。しかしビタミンCのみは完全に破壊されていた。2.ビタミンC結晶の水溶液中に, ジュースに用いられている代表的な種々材料のジューサー処理汁液を混合した場合のビ ミンC量の動静を観察した所, アスコルビナーゼを含まない大根ジュースを混しても何ら変化を認めなかったが, アスコルビナーゼを含むきゅうりのジュースを加えるとビタミンCは速かに破壊された。ポリフェノールオキシダーゼを含むりんごのジュースを加えても, きゅうりの場合と同様にビタミンCは破壊された。この場合, 味にさしつかえの無い0.5%食塩を加えてみたが, その効果をあまり認め得なかった。つぎに, アスコルビナーゼ作用の強い生人参のジュースを混じた場合, きゅうりやりんごのジュースの場合と同様の結果をみた。しかし この人参をあらかじめ電子レンジ処理(2分間加熱)した後, ジュースとし添加した場合には大根の場合と同様ビタミンCは破壊されなか3.以上の結果, ジューサーを用いてジュースをつくる場合, 原料の栄養構成の損失は案外少い。しかし素材によってはジュースからビタミンCを期待することは無理のように思われる。ビタミンCを期待するならば, まず素材中のビタミンCを破壊する酵素の存否を確認し場合によってはその前処理を適切に行った後ジュースをつくるべきである。
著者
小西 春江
出版者
園田学園女子大学
雑誌
園田学園女子大学論文集 (ISSN:02862816)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.233-247, 1991-01-31

1. 1989年7月4日〜31日の一般家庭の一週間の朝・昼・夕・間食の献立と使用した食品名を自由記入で食生活の実態調査をした。2.調査対象は,本学国際食文化コースの家庭97,食物栄養専攻の家庭87,一般主婦72,本学教職員家庭19で回収率は35%で,調査対象の家族像は,前回とほぼ同様であった。3.夕食の料理様式は,和洋中折衷型が45〜50%,和風37〜43%であり,調理操作は,なま物料理が22〜25%,和え物・サラダ料理が20〜22%で,夏の季節の特長を示していた。4.夕食の料理数は3品が28%で一番多く,副食に使用された食品数は8種類が多く,朝食では7種類だった。5.食事内容で目立ったことは,一世代は焼き魚やコロッケが以外に多く,二世代はみそ汁,サラダ類が目立ち,三世代は和え物,肉・野菜炒めが多く,漬物,野菜の煮物は各世代にわたってよく食べられていた。6.冷凍食品の利用度は,専業主婦・有職主婦の差は少差で,調理済み食品の利用度は専業主婦13%,有職主婦18%であった。7.朝食の主食形態は,前回とほぼ同じだがシリアル利用者が一世代に多くあった。8.朝食の米飯主食型の副食は,卵料理は一世代で,漬物やみそ汁は二世代,三世代でよく食べられ,パン主食型では,牛乳は一世代と三世代,生野菜,果物,ハムは一世代に多く,卵料理は二世代や三世代で多かった。9.卵の使用方法は,朝は米飯主食型は卵焼き,パン主食型は目玉焼き,ゆで卵,ハムエッグなのに対し夕食は揚げ物の衣,ハンバーグのつなぎ用で1人1個ずつではなかった。10.朝食の食事内容は,1986年と大きな差がみられず,また夕食の副食に現われた食品数も朝食と同じ程度の平均7.5種で,飽食日本は宴会の食べ残しだけで健康づくりのための生活指針は,一般国民には浸透していなかった。この10月にライフスタイルにあわせて見直した指針に改訂されるらしいが,毎日の食生活のつけは,何十年後の自分の健康に影響することをもっと認識させる食教育の必要性を感じた。