著者
Reddy A. S. Pranesh M. R.
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

舗装設計は従来Winklerモデル(弾性支承板)によることが多かったが, これでは板の端で沈下に不連続性が起こる。この矛盾は連続弾性体支持, あるいは弾性スプリング相互の作用を考慮し, スプリング群上に仮想膜を考え, 一つが下がれば引張りのため隣接スプリングも下がるとするFilononko-Borodishモデル(FBモデル)を用い回避できる。また弾性体の代りに厚さHの弾性体層において水平面内のxy軸に関し, σ_x=σ_y=τ<xy>=0,かつ層の上下面で水平変位がないとするReissnerモデル(Rモデル)が簡便である。FBモデルでは膜の特性を知るため平板載荷試験における地表面変位を測って推定し, Rモデルでは土のセン断剛性値が関与する。FBモデルもRモデルもWinklerモデルと弾性体支承の中間のモデルと考えられるが, 両者に関し基礎微分方程式を導き, 解き与え, かつPickett, Rayの方法にならってモーメントと沈下の影響内図表を与えている。
著者
斉藤 二郎 内藤 和章 岡田 純二
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, 1976-09-15

地下構造物を建造する場合, 付近の構造物に変状を与えないための防護工はきわめて重要であるが, その防護工の一つとして, 注入工法が採用されることが多い。特に, 軟弱な粘性土地盤においては, 脈状注入による圧密効果をねらって注入工法が採用される。ところで, グラウトとして, 発泡性のきわめて優れたものを使用すると, 従来の無発泡性グラウトに比して, 発泡圧力の作用により圧密促進が倍加されると考えられる。この論文は, 軟弱地盤中のシールド掘進に伴う橋脚などの防護にこの発砲グラウト(OH-GROUT)を使用し, その注入効果および固結効果について検討を加えている。検討の結果, 発砲性グラウトは軟弱地盤改良にかなり有効であることが判明した。
著者
斉藤 二郎 木村 薫 小出 忠男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, 1976-09-15

工場機械, 交通車両, 建設工事などによる地盤の振動を軽減する対策として次の方法がある。(1)振動発生源の探求, および振動消去。(2)振動伝ぱん経路の振動しゃ断, あるいは軽減。(1)について, クイ打工事に伴う地盤振動を地表, 地中についての測定例を示している。(2)について, 空溝が効果的であることが経験的に判明している。しかし恒久的な振動軽減対策上, 溝の保全上に問題があるとし, ここでは防振材料を埋設し防振壁による振動軽減方法を試みるべく, 振動の壁を透過する場合の透過率算定式により, 防振材料として硬質発砲ウレタンを使用している。実験の結果, 地盤に対する強度など恒久性に優れ, しゃ断効果も良い結果を示すことが報告されている。その結果は, 第2報に詳細に報告されている。
著者
喜田 大三 川地 武
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, 1982-03-15

地中壁の止水性低下の代表的な要因である, ジョイント部のスライム, マッドケーキについてその発生状況と止水性への影響について検討した。マッドケーキのコンクリートへの付着はベントナイト泥水で著しく, 泥水への浸積時間とともに厚くなり, 2日後には10〜20mmにも及ぶ。ポリマー泥水では付着量は比較的少なく2日後でも1〜2mmである。付着するマッドケーキはコンクリート表面から浚出するCaイオンによるベントナイトあるいは掘削土粒子の凝集によるものであり, 単なる物理的な付着によるものではない。付着したケーキの透水係数は10^<-5>cm/sのオーダーであり, 掘削面に形成されるマッドケーキのそれより大きいが, ケーキを通しての漏水は微々たるものである。ジョイント部のマッドケーキの防止法として行われているブラシなどによるケーキの除去はコンクリート打設の直前でなければ効果は薄く, むしろ, 先行パネルの端部を炭酸塩や炭酸ガスで中性化する方法のほうがより効果的である。
著者
山内 豊聡
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, 1977-03-15

本文は, 最近のシラスに関する調査, 研究に基づき災害を起こしやすい特殊土の一つであるシラスの特性と問題点を述べ, さらに, シラスの豪雨災害と地震災害についての災害の実態からみて, 自然斜面と切土斜面の崩壊の特徴を指摘している。シラスの斜面崩壊は, 地表水, 浸透水などによるガリ侵食洗掘の影響が非常に大きいこと, 斜面全体の回転スベリを起こさないこと, 流末崩壊が連鎖的に起き"浮きシラス"となって流下することによって被害が広範囲に及ぶこと, また, 地震時には, "よい粒度"のシラスでも液状化が発生しやすいことが特徴であることを指摘している。さらに, 災害の原因と防災対策確立の観点から, シラスの侵食特性, セン断強さ特性(セン断特性, 液状化), 有限要素解析による静的, 地震時における地山斜面の応力分布, シラス地盤の動的特性およびそれらの問題点に関する最近の地質学的, 力学的基礎的研究のあらましを論述している。
著者
陶浪 貞彦 三浦 康夫 井手 齊
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, 1974-09-15

直径2 m, 先端深さGL-31 mのベノトグイの先端スライム処理に有機高分子凝集剤を用いたF-P工法の実例について紹介する。施工の要点はつぎのとおりである。掘削完了と同時にハンマーグラブを引き上げ, ホースを孔の底から引き上げながら凝集剤(アニオン系コーナンフロックSKH 5)を孔内水量に対し18 ppm散布し, ハンマーグラブでカクハンする。水中に浮遊する微粒子は10〜20分の間にフロック状となり沈殿するので孔底に水中ポンプを投入してフロックを排出する。ついでハンマーグラブにより底の粗粒分をさらい, 鉄筋をそう入してトレミー管でコンクリートを打設する。この方法ではフロックの生成および排出が完全に行なわれる必要があり, 泥水採取器で孔底の泥水を採取するほかポンプから吐出される泥水の状態をチェックする必要がある。直径2 mでは10 cm径の水中ポンプを10個所以上移動させてフロックを排出する必要があり, 今後大口径グイに適したポンプの開発が望まれる。直径2 m, 深さ10 mの試験施工の結果孔底に幾分かのフロックが残存したが実用上は支障のない成果が得られた。
著者
西林 清茂 藤原 紀夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

この稿では解析例として, 某地下鉄工事における有限要素解析, 大阪の地下鉄工事における被圧水圧の測定とその処置, 岐阜市十六銀行ビル基礎工事に関する電気アナログ法について述べている。まず有限要素解析においては, 地盤を5つのケースに分けて解析し, 得られた結果がボイリングを起こす限界になったので, 排水工法を実施している。次に大阪の地下鉄工事の場合には, 井戸が滞水層を貫通している場合の揚水量計算式を用い, その結果と照らし合わせてウェルポイントを打設して, 被圧水圧と排水量の経日変化図を示している。電気アナログ法に関しては, 筆者らがよく行う方法で, ここでは, 施工場所が大量の湧水が懸念されるために, 有効かつ経済的な止水壁長を計画する目的で行った解析と実際の工事結果について述べている。ここで, 解析値は実測値より若干小さめの値となっているが, よく一致している。また滞水層厚に関して, 電気アナログ法を使い二次元解析を行い, 流量と滞水層厚の関係を掘削幅, 掘削深さを考慮して, グラフに表している。
著者
沖塩 静正 日野原 三郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

工事場所は, 平均勾配約20度の山岳傾斜地でエスカレーターの設置, 大理石等の内装を施し, 途中には直径約25m, 天井高さ約10mの円形ドーム状のホールをもった, ボックスカルバート型式のゴージャスな地下通路を築造する工事であった。地形は多数の火山活動によって造られた地形であり, 標準的な土層断面については表で示してある。構造物の設計については基本形態, 構造物の継手, 傾斜構造物の安定計算, 傾斜したボックスカルバートの計算, 埋戻し土砂の安定などの基本事項について図や表を用いて詳しく説明している。施工においては傾斜面をもった作業面で, 傾斜角度をもった構造物を築造するためかなりの苦労があったらしい。そしてまず, 資材の搬出入, 掘削土の運搬についてふれ, 仮設工事について, 斜面の掘削および土砂処理, 斜面上でのコンクリート打設について, そして当現場で開発した自走式運搬車を用いた場内資材運搬などについて写真を用して説明している。
著者
Garga V. K. Seraphim L. A.
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

リオデジャネイロ付近の30 m高の切取りから採取した2種類の混成岩風化残積土(A, B)の土性, 力学特性の試験報告である。この土は黒雲母と長石の含有成分に差があり, 土Aは石英と長石に富み, 土Bは雲母に富んでいる。締め固めた状態, 乱さぬ状態について飽和, 不飽和土の排水セン断を直接セン断試験で行なった。Lambeの提示に従いセン断速度は2.5+10^<-4>cm/secとしている。土Aと異なり土Bのセン断特性は締固めた場合が乱さぬものより大きいが, 締固め土の強度に及ぼす含水比の影響は土Bにおいて少ないこと, また締め固めた土の破壊ヒズミは最適含水比と最小であり, このとき粒子破砕の兆候が認められたこと, 風化土層の物性を各種の方法で調べたが, 風化とともに粒径や粒子比重が段々減少することが認識されたことなどを述べている。