著者
内田 一郎 鬼塚 克忠 平田 登基男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, 1977-03-15

マサ土地帯は山くずれ, 盛土ノリ面の侵食, 崩壊などが数多く発生し, 宅地造成や切土, 盛土斜面の形成工事において人身事故につながる危険性が大きく防災上からこの方面に関する研究の必要が高まっている。本文は, マサ土による盛土斜面の破壊機構を明らかにする目的でマサ土の物理的特性と共に, 圧縮沈下特性, 圧縮強度特性, セン断特性(間ゲキ圧・ダイレイタンシー・強度定数c, φ)を調べる基礎的実験と関連させて, 盛土斜面の模型実験から上部載荷, 繰返し荷重, 水の浸水による盛土斜面の崩壊機構について検討している。その結果, マサ土においても, 締固め密度が小さく含水比が大きくなると荷重による沈下量, 間ゲキ圧が増大し, 強度, 強度定数c, φダイレイタンシー指数が減少することを示し, さらに, ノリ肩近傍に載荷した場合の支持力算定式については, スベリ線の発生順序を考慮に入れるべきことを指摘し, マイヤーホッフの提案した支持力式の適用限界について論述している。
著者
半沢 秀郎 岸田 隆夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.39-50, 1981-03-15
被引用文献数
1

Naturally deposited marine clays are usually in overconsolidated state notwithstanding they have not been subjected to release of the overburden because of the additional strength developed by aging effect, such as by secondary compression and chemical bonding. These effects on undrained strength characteristics, such as 1) stress-strain characteristics, 2) overconsolidation ratio, 3) K_0 value and 4) anisotropy in undrained strength are discussed for alluvial marine clays found in the Arabian Gulf and in the Tokyo Bay.It is first shown that clay shows more brittle behaviour as the strength developed by secondary compression and chemical bonding becomes greater. It was found from the study that overconsolidation ratio of the clays investigated can be obtained from the strength ratio between in the field and in normaly consolidated state and that strain value at failure in strength tests shows almost a constant value independing on overconsolidation ratio. In addition, it was strongly suggested that K_0 value and anisotropy in undrained strength (which is a stress induced anisotropy that results from rotation of principal stress during shear) of the clays are independent on overconsolidation ratio and almost the same as the values in normally consolidated state.
著者
喜田 大三 川地 武
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, 1979-09-15

従来, 泥水の調合・管理は主として泥水掘削時の逸泥を含む崩壊防止に重点がおかれていたが, 地中壁体の構造体への利用度が高まると共に, 良質な地中壁体の築造という見地から泥水管理を見直す必要性が生じてきた。特にスライム処理の問題は構造体の性能に重大な影響を与えるものであるので, その点を考慮して室内実験を行い, 各種泥水中のスライム粒子の沈降や堆積の挙動を調査し, 以下の知見を得た。スライム粒子の泥水中における沈降速度はストークスの沈降式に従い, 堆積後に自重圧密を受けて平衡状態に至るが, 自重圧密に要する時間は堆積厚や粘度の増大につれて長くなる。堆積後一夜経過したスライムの間隙比はファンネル粘度の低い泥水中では0.9前後であるのに対し, 粘度が高くなると1.0を越え流動化しやすくなって重錘が容易に沈下する。スライムの沈降促進, 堆積スライムの自重圧密促進や密度増加などを考慮すると, 泥水の粘度は低いことが好ましく, 特にベントナイト泥水の場合にはファンネル粘度の上限値を30秒前後とすることが望ましい。
著者
岡田 安弘 長谷川 良
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 1984-03-15

東北新幹線建設工事のうち二区B_iは, 栃木県西那須野町二区にて東北本線と約5°の角度で立体交差するので乗越し延長は250 mにも及んでいる。本稿では, 基礎の設計施工について述べ上部工については基本計画を報告している。基本計画として, 橋脚はSRC造, 上部工はPC桁として検討し, 全体平面図, 全体構造一般図を示している。SRC造橋脚として, 地質調査, 載荷試験から場所打ち杭方式とし, SRC橋脚として門型ラーメン構造とした。基礎の設計方針については, 上部桁の総幅に比較して, スパンが大きく, 独立フーチング形式の不静定ラーメンだから, 基礎の変位による不静定応力の変位を考慮すること, 基礎のばね係数に幅をもたせること, フーチングの前面抵抗を考慮することについて述べている。概略の設計結果を図に示している。次に場所打ち杭の設計について, 極限鉛直支持力, 安全鉛直支持力を計算している。また, 杭躯本の設計について述べている。最後に, 場所打ち杭(ベノト杭)の施工は, 予定した期間内に完了できたと述べている。
著者
植下 協 桑山 忠
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

昭和47年7月愛知県西三河地方の花崗岩地帯を襲った集中豪雨による地盤災害については従来雨量の少なかった地方に発生したこと, 大部分が自然斜面の崩壊であったこと, その発生頻度が地域内の基盤岩質によって著しく異なっていたことなどが特徴として挙げられている。崩壊規模は小さいものが多く, ほとんどが表層すべりであり, 同じ花崗岩地帯であっても, 粗粒黒雲母花崗岩地帯と角せん石・黒雲母花崗せん緑岩地帯とで斜面崩壊の発生頻度に大きな差があることが報告されている。東海地方を襲った豪雨は愛知県半田市付近から北東に伸びる幅20km, 長さ80kmの狭い帯状地域に集中しており, 中心地区の愛知県西加茂郡藤岡村, 小原村では7月12日21時から13日2時までの5時間に200〜250 mmの降雨量があったことが述べられている。筆者らは災害発生直後に組織された調査研究班に土質工学分野から参加し, 災害直後の航空写真を解析するとともに, 崩壊現地の調査を行なっている。それとともに, 今回のような崩壊多発山間地域の中で, 豪雨時に安全な場所を探すことも目的の一つとし, 同じような斜面で崩壊をまぬがれたところについても調査が行なわれたことが述べられている。しかし, 崩壊しなかった斜面下部に小規模な崖錐とか人口の石積などが散見され, 崩壊防止にこれらが役立っていたのではないかと述べられている。
著者
兵動 正幸 谷水 秀行 安福 規之 村田 秀一
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.19-32, 1994-03-15
被引用文献数
17

The cyclic shear strength and deformation of a loose saturated sand whose shear behaviour is contractive were investigated in this study. A series of cyclic triaxial tests with various initial static and subsequent cyclic shear stresses was carried out on the saturated sand with a very low relative density. Additionally, monotonic triaxial compression and extension tests were also performed on the same sand with the similar initial conditions. Quite large residual strains were observed in cyclic triaxial tests on anisotropically consolidated specimens. Flow deformation appeared during cyclic loading and it often caused the specimen to rapidly deform to failure. The comparisons between the results of cyclic and monotonic triaxial tests indicate that the potential for the occurrence of flow deformation depends on the mutual situations between the initial consolidation and the phase transformation points in the p-q stress state diagram.
著者
谷口 敏雄 小田 孝治 寺井 達郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, 1978-06-15

東南アジアにおいて, 日本の建設コンサルタント・建設会社が関係した施工中あるいは完成した工事例として, 韓国・マレーシア・タイ・インドネシアにおけるフィルダムを取り上げ, 土質工学的に興味深い次の話題について紹介しているものである。(1)マサ土によるコアの盛立て。マサ土の問題を上げ, 安東ダムにおける設計・施工の基準と試験盛土の結果を載せている。(2)火山灰質粘性土と細粒岩の混合材料をコアに使用した例。火山灰質性粘性土は含水比50%程度でトラフィカビリティーを失うため, これを確保する目的で細粒石灰岩を混合した効果を述べている。(3)スレーキングを起こす軟質砂岩とシルト岩による堤体盛立て例。スレーキングを起こす恐れのある掘削ズリを主堤体材料として用いる際の問題点, およびその施工管理基準と盛立ての実績を述べている。(4)冬期凍結期間中の堤体盛立て例。試験盛土の結果に基づいた施工基準, および施工実績を示している。このほかの話題として, (5)ラテライトによるコアの盛立て, (6)コファーダムの砂レキ基礎の浸透対策工事, (7)グリズリの使用例を紹介している。
著者
渡 正亮
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, 1974-03-15

急傾斜地崩壊の全国的調査結果をもとに, 崩壊に関与する因子について説明し, その崩壊形態を論じるとともに, 崩壊予測と防止工計画の着眼点となるべき崩壊型を分類し, 各崩壊型についての説明を加えたものである。この報告においては, 急傾斜地の崩壊に関する因子として地形, 土質構成, 植生, 地表水, 地下水および地質を選び, 崩壊発生地におけるこれら因子の特徴を説明している。また崩壊の形態を崩落型と滑落型の二種類に大きく区分し, 滑落型をさらに静止形, 流動形, 分散形に再区分している。そして崩壊型の分類は, 表土, 崩積土, 火山砕屑物, 段丘タイ積物, 強風化岩(マサ, 温泉余土), 岩〔I〕および岩〔II〕について, それぞれ崩落型と滑落型があるとして典型化されており, 各崩壊型の特徴が説明図をつけて解説されている。
著者
立石 俊一 畑中 博文
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, 1978-09-15

中部地方には急しゅんな山岳地形が存在し, 地質的にも大小の断層破砕帯が発達しているため, トンネル工事は難工事となることが多い。本文は, 中部山岳地域で最近施工された四つの国道トンネルにおいて遭遇した断層破砕帯の状況とその処理例について述べている。岡部トンネルは, 糸魚川-静岡構造線の影響圏内にあり, 地すべりを誘発し, 対策を講じている。下呂トンネルは, 阿寺断層破砕帯の中に位置しており, クローラドリルによる先進ボーリング, アーチ支持横坑, 上半側壁先進導坑, 土平囲い支保工などの特殊工法を実施している。平湯トンネルは, 粘板岩の破砕帯部で強大な地圧を受け, キーストンプレートによる仮巻きなどの補強工を行なっている。また, 石灰岩層では, 空洞と湧水の対策としてセメント注入を行なっている。新鳥居トンネルでは, 未固結の砂状あるいはシルト状に破砕されたチャート層が約1000 m続き, 鏡張り, 鋼矢板, 支保工の根固め, インバートスラット, 同コンクリート打ち, 側壁一次巻きの繰返し施工により側壁導坑を掘進している。
著者
武井 昌博
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, 1977-09-15

集中豪雨による切取りノリ面の受ける災害は, 質・量ともに多く, 台風がもたらす, 災害に劣らないことを統計量は示している。災害に対しては, 台風よりも割合いに処置しやすいと目される集中豪雨の降雨特性を分析することにより線区ごとに, 災害発生の時点を予察する際の一資料を提供する。集中豪雨のうち, ノリ面の大災害もしくは大量災害を誘発させた32例152か所の観測値を主体にして, ノリ面災害件数の推移と豪雨の性質, 降雨特性を分析した。集中豪雨によるノリ面災害は, 台風によるものに劣らない。集中豪雨は, 定着性・長期性が強いため, 降雨量も含めて現場ごとに予測することは可能である。たとえば, 降雨の初期後期は弱く, 中間において強雨があり, その連続の状況は相対分布としては握することができた。総降雨量は地域, 降雨月, 最大日雨量, 全体降雨日数の4要因の因子分析により確率的に推測することができ, さらにマルコフ連鎖理論を応用しての降雨状態推定の可能性を検討した。これら降雨パターンと集中豪雨による路盤災害の関係の解析を行なった。
著者
渡辺 健 和田 一郎
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, 1983-06-15

アースアンカーの利用が本格的に実用化され始めた当初から, アンカー体から地盤への力の伝達は引張り杭の力の伝達機構と同じものか・単位面積当りの周囲摩擦抵抗はどの程度か・経時的にアンカー周辺の土はクリープあるいはそれに近い状態が起こらないか, 等の問題点があった。本論では, アンカー導入当初および現在のアースアンカーに関する調査, 試験について述べている。まず, 代々木公園および市ケ谷濠における導入の実状すなわち, アースアンカーによる土留め支保工が最良であるとした経過を説明し, 引張り材の検査, 注入用モルタルの配合と注入量の検査, 外殻モルタルの加圧力の決定について述べられている。次に, 土質工学会の基準案による検査・試験方法のうち, グラウト材や引張り材の検査, 削孔・グラウトの注入等の施工管理, そして引抜き・引張り・確認・特殊の各試験で構成される耐力試験について詳述している。最後に, 現時点における検査・試験の状況について, 交通営団で行ったものを例にとって説明して, 今後の検討点に, 地震時のアンカー体の動的挙動の問題があると示唆して終えている。
著者
柏谷 健二 平野 昌繁 横山 康二 奥田 節夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, 1978-03-15

昭和50年8月16,17日にわたる台風5号の豪雨による高知県下の山腹崩壊の資料を用いて, 崩壊地の分布と崩壊に関係する諸因子, たとえば, i)降水量, ii)地形的特徴, iii)地質的特徴, などの比較検討を行ない, 傾斜と降水量を考慮した崩壊予測式を作っている。崩壊地分布は, 災害直後の空中写真および現地調査で, 降雨量は32か所の雨量観測所のデータで, 傾斜は2万5千分の1の地形図を用い2km×2kmの方眼内の平均傾斜角をホートン法で求めている。その結果, 次のことが明らかにされている。(1)継続雨量が一定のとき, 崩壊数はある限界傾斜角まではコウ配に比例する。(2)傾斜が一様なとき, 崩壊数は日雨量から崩壊無効雨量を減じたものに比例する。(3)崩壊予測の一般式としては次式が推定できる。N(i, r)=k_<ir>・(i-i_0)^p(r-r_0)^q ただし, i=tanα ここで, N(i, r) : 単位面積当たり崩壊数, k_<ir> : 係数, i_0 : 限界傾斜角の正接, r : 継続雨量(mm), r_0 : 崩壊無効雨量(mm), α : 単位地域内の平均傾斜角
著者
斎藤 二郎 西林 清茂 細谷 芳巳
出版者
土質工学会
雑誌
土質工学会論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1980

全国的な規模で広範に分布している有機質土を土木工事で取り扱うケースが増加しているが, 現行の有機物含有量試験法は土の種類に対する適性, 測定操作上の難易などに一長一短があり, 標準的な測定法が確立されているとはいいがたい。この点を考慮して筆者らは有機物含有量測定法のうちの強熱減量法を取り上げ, 特にその測定法に影響を及ぼすと考えられる燃焼温度, 燃焼時間, 試料重量の3つの要因に関して, 各要因が強熱減量値に与える影響を調査した。実験に使用した試料として有機物含有量が20%代, 40%代, 50%代, 70%代の4種類の土を選び, 上記各要因についても各々4種類の値を選んで組合わせによる実験を行った。試料の作成方法は土質工学会基準の強熱減量法の方法に準じ, 燃焼装置として電気マッフル炉を使用した。実験の結果, 有機物含有量に最も大きく影響する要因は燃焼温度であることが判明したが, 結果を総合すると上記3要因の組合わせでは600℃×4時間×2.0gが最適であると判断された。
著者
中川 恭次 渡辺 清治 角田 智彦 瀬尾 和大 此上 典文
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

ある場所で観測される地震動には波動の伝播過程におけるさまざまな要因による影響が含まれているが, 特に観測点直下の表層地盤の影響が大きいと考えられる。そこで表層地盤に関する資料は他の要因に比して比較的豊富であるので, 表層地盤の動特性を観測点ごとに求めることによって, 地表における地震観測記録から観測点直下の基盤における地震動を推定することはある程度可能である。この考え方から東松山地震(1968)の際, 都内13個所で得られたSMAC強震計の同時記録をもとに基盤入力波を逆算し, 表層地盤の動特性と基盤入力波の持つ性質についての考察を行なった。その結果, 基盤入力波の振幅レベル, 特性は推定可能であり, また他の場所で観測された地震記録から計算によって基盤入力波を求めることもある程度可能となった。
著者
吉岡 昭三 木賀 一美 小杉 紘平 前田 穂積
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, 1978-12-15

稲城砂は, 三浦層群に属する細砂層で, 日本住宅公団が施工する多摩ニュータウンの宅地開発において遭遇する地層である。当公団が宅造法の主旨を守り, 補完し, 良質でかつ経済的な宅地造成を施工するという基本的観点から, 稲城砂の特性を解明するための各種の試験, 調査, 研究を実施し, その結果に基づく土工事設計基準を作成したものである。その内容としては, 締固めに関しては, 現場締固め試験結果と設計基準, 締固め仕事量が乾燥密度に与える影響, 細粒分含有量, 試料養生期間が乾燥密度に与える影響, 締め固めた土の透水性とせん断特性を考慮している。のり面に関しては, 模型盛土のり面の崩壊形式を実験より研究し, 勾配, 小段, 排水, のり面保護について基準が規定されている。造成面に関しては, その規模や勾配をいかにして土砂流出等の被害を少なくできるか把握する目的で浸食状況調査が行われた。その他, 調整池に関しても研究がなされている。
著者
山本 荘毅
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

地下水の人工かん養に関する諸問題を, 人工かん養の歴史, 人工かん養の目的, 人工かん養の方法, 人工かん養における検討事項, ヨーロッパの人工かん養の実情などの項目から論じたものである。土質力学的視点からすれば, 地表流下水を人為的に地下に貯留して再利用しようとする地下水人工かん養の問題は, 地下水の地盤浸透現象との関連から論じられる。人工かん養の方法には直接法と間接法があること, 人工かん養を実施する場合には, かん養技術, 地下水管理, 経済性, 環境に対する影響などを検討すべきであると指摘している。また, ヨーロッパの人工かん養に関しては, 水温0〜15℃, 濁度の大きい河水を揚水して氷河堆積物であるエスカーの上まで圧送, このエスカー斜面に池を掘って浸透を行っているスウェーデン・ウプサラの例, オランダ・ハーグの人工かん養池, ドイツ・ルール河畔アルテンドルフの施設, フランス東南部シャトルナールとサン・アンジオールでの人工かん養, ソビエト連邦での例などについて説明している。
著者
岡部 達郎 山本 博之
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

国鉄武蔵野線武蔵野ヤードの建設に際して実施した, 地盤中に打設される杭に作用するネガティブフリクションの低減に関する現地実物実験の結果を報告したものである。報告の内容は, 単杭に作用するネガティブフリクションの測定, ネガティブフリクション低減のための対策工法と施工結果, ネガティブフリクションの算定と対策工法に対する考察とからなっている。武蔵野ヤード建設位置の沖積粘性土層は40mと厚く, 年間10cmもの地盤沈下が観測されている。高さ4mの盛土下の粘性土地盤中に打設した鋼管杭(打設深度47m, 直径600mm)には, 最大10tf/m^2と非常に大きなネガティブフリクションが作用した。実際の杭基礎は, 群杭工法, 二重管工法, バランスドフリクションパイル工法によってネガティブフリクションの低減を計りながら施工している。これら杭工法のネガティブフリクション低減効果を原位置測定によって確かめ, 工法としての適用性を表にまとめている。また, ネガティブフリクションの算定手順についても考察を加えており, 実用性に富んだ内容となっている。
著者
上田 治 川島 一彦 和田 克哉 西村 昭彦
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, 1984-06-15

基礎の静的および動的耐震設計法を紹介したものである。まず静的耐震設計において考慮すべき諸因子について述べ, 更に, 地盤の流動化や支持力の低減の危険性がある場合の地盤の設計上での取扱い方について説明している。特に橋梁の耐震性には地盤条件が強く関係しているため, 設計上地盤を4種に分類する方法が述べられている。また, 震度法および修正震度法に用いる設計水平震度の求め方が紹介されている。次に, 静的設計法による安全性の検定だけでは不十分な場合には, 動的解析による耐震性の検討の必要性を指摘している。しかし現在のところ, 荷重の選定から応力度および安全性の検討に至るまでの手順を一貫して明確にした設計法は確立されていないので, ここでは, 動的解析の必要性と解析に考慮すべき事項を述べ, 動的解析手順の例を紹介するだけにとどめている。また, 流動化の判定がなされた後の基礎構造物の設計について説明をし, 更に国鉄における地震時の軟弱地盤の変形を考慮した基礎の設計法が紹介されている。
著者
中尾 健児 飯星 茂
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, 1974-06-15

従来, 口径60〜110 mm程度の岩盤ボーリングを行なう場合, 硬岩の短い孔では削岩機が用いられ孔壁が不安定な砂レキや土砂を掘る場合, あるいは硬岩でも長孔の場合にはロータリー式のボーリング機が用いられてきた。O.D.工法(Overburden Drilling Method)はこれらの機械の二つの働きを同時, または別々に一台で行なうローテーションドリフターと呼ばれる改良削岩機に, ケーシング掘進機能を持たせたものである。O.D.工法による海底岩盤の削孔発破の手順は1)海上作業船もしくは作業台からの削孔, 2)内管の回収, 3)ケーシングパイプを通して爆薬の投入, 4)ケーシングパイプの回収・脚線の引き上げ, 5)削孔位置を変え同様の削孔・装薬を行なう, 6)結線作業, 7)起爆, という手順である。結線作業をダイバーで行なう場合種々のトラブルがあるため, 起爆素子と爆薬・雷管とを接続し, 削孔内に設置後指令装置から発信された超音波信号により, 雷管に電流を流して起爆する遠隔起爆装置を開発し, その実験結果について述べられている。