著者
大村 一史
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.55(113)-64(122), 2007-02-15

近年、神経心理学の立場から、注意欠陥・多動性障害(attention-deficit/hyper activity disorder: ADHD )の本質は、衝動性(行動抑制の弱さ)にあり、注意散漫や多動は二次的に現れたものとする考え方が提唱されている。ADHD における衝動性は、将来の目標遂行のために目前の反応を抑制できない自己のコントロールの障害として観察される。その原因として、前頭葉における行動抑制機能の障害と、それに関連する実行機能(注意の統制、行為の持続、および適切な計画性など)の問題が指摘されているが、衝動性行動の原因は未だ完全には明らかにされていない。現在、ADHD の生物学的基盤を探るために、双生児研究や分子遺伝学研究などの遺伝的アプローチから障害に関連する遺伝子を探る研究が精力的に行われ、特に脳内ネットワークの情報伝達に欠かせない神経伝達修飾物質の異常が指摘されている。本論文では、ADHD の関連遺伝子を概観し、実験室で測定される実行機能を指標とした行動-遺伝的アプローチによる ADHD の衝動性メカニズムの解明への可能性についてまとめる。 Several researchers have proposed that symptoms of attention-deficit/hyper activity disorder (ADHD) arise from a primary deficit in behavioral inhibition (impulsivity) followed by inattention and hyperactivity. Impulsivity of ADHD represents a disorder of self-regulation, that is, a deficit in maintaining an appropriate short-term behavior in order to attain a later goal. It has been suggested that dysfunctions of behavioral inhibition in the prefrontal cortex and its marginal executive function (e.g., attention control, maintaining action, and planning) are causes for ADHD. However, the underlying neural substrates are still unclear. Several studies based on genetic approaches such as twin and molecular genetic studies have sought to identify candidate genes and variants that increase susceptibility to ADHD. Dysfunction in some neurotransmitters has been postulated to cause ADHD. In this paper, we reviewed candidate genes associated with the vulnerability to developing ADHD and discuss the behavioral-genetic approach used to investigate the mechanisms of impulsivity in ADHD.
著者
鈴木 渉
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123(295)-140(312), 2008-02-15

Summary : This paper illustrates the actual situation and challenges faced by adult musical groups, particularly, amateur orchestras. The aim of this paper is to propose ways to improve and support their activities. The author researched on the H City Orchestra, a musical group the author is involved in, and discusses and summarizes this case study in the paper. In particular, the author focuses on the motivation behind members' musical performances and practice sessions. Furthermore, the author researches on the proper future course for orchestra activities and sheds light on the path its members wish to see taken. Moreover, by extending the scope of research to 44 bands in the westerm part on west area of Tokyo, in Tama district, and taking up concerns shared by each of these groups, especially particular articulating the challenges faced when recruiting members, this paper discusses the future and ways of assisting adult orchestra activities.
著者
高橋 大輔 鈴木 隆 加藤 良一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-20, 2010-02-15

要旨 : 植物性食品の抗菌性を簡便に調べることができる実験教材として、(A)YEB寒天培地又はPYG寒天培地の中央に直径10mmの穴を開け、腐葉土からの2倍希釈の上澄み液を培地表面に0.5ml塗布し、その中央の穴に抗菌性食品を約0.3g入れ、それらをシャーレで24時間培養する方法、(B)YEB寒天培地又はPYG寒天培地の中央に直径10mmの穴を開け、納豆からの5倍希釈の上澄み液を培地表面に0.5ml塗布し、その中央の穴に抗菌性食品を約0.3g入れ、それらをシャーレで24時間培養する方法、及び(C)6枚切り又は8枚切りの食パンの耳の部分を切り落とし、さらに1枚の食パンをほぼ均等に4つの四角形の切片にし、その切片の片面のみ腐葉土からの5倍希釈の濾液に浸し、その切片の中央に約0.3gの抗菌性食品を置き、それらを密封容器で5日間培養する方法の3つが簡便で分かりやすいものとして示された。
著者
森川 幾太郎 菊池 久人
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.13(381)-45(413), 2001-02-15

概要 : この論攷は,ニ部で構成され,その第一部を第一筆者が,第二部を第二筆者がそれぞれ担当する。第一部では,森川が過去において行った提案と対比しながら,D'AmbrosioやP.Gerdesらが提唱する民族数学の特徴を明らかにする。例えば,彼らは,図形や数に関わる話題をその教育素材として取り上げても,物理分野や量を主体にした算術分野の話題を取り上げていないことを述べる。第二部では,山形県内に現存する算額の問題を原問題に,生徒がその発展問題作りに取り組んだ実践の概要と生徒の作った問題のいくつかを紹介する。 こうした民族文化の伝統を生かした生徒主体の問題作りに関わる展開も「民族数学」の提案には見ることができない。 Summary : In the first part, we point out some characteristics things in the ethnomathematic; 1) We can see often the geometrical things in the papers written representational persons to the branch. It would mean that they analyzed the memorial things or heritages being seen in present times from mathematical points. And then, we know that many persons tried to present the themes as mathematics education by analyzing many traditional geometrical constructions from previous days whether they had the recognitions to the ethnomathematics or not. We had the papers to analyze the skills to construct the traditional Japanese constructions as mathematics in junior high school students, also without a recognition to the ethnomathematics. 2) We have not an experience to see the papers to analyze the phenomena often met in the each area; To analyze the phenomena, we need the some methods such as measuring the many quantities, drawing the graphs to them or finding the formulas. To measure the many quantities, we must prepare the tools.
著者
竹田 隆一 陳 民盛 黒須 憲 斎藤 浩二
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.73(441)-83(451), 2001-02-15

要旨 : 中国武術は,戦争に勝つための格闘術だけが変化したものではなく,それ以外の多様な文化の影響を受け,現在の運動形態を形成したものである。このような中国武術の成立について,他領域の文化との融合に着目し,中国武術のもつ固有の文化的側面を考察した。 中国武術の構造は,表層,中間層,深層に三区分することができる。武術の中核となる表層は,武術の運動形態であり,そこには,功法運動,套路運動,格闘運動が含まれている。套路運動は,武術運動が芸術表現の中に取り入れられることにより形成され,後に実戦性が加わえられ成立したものである。また,格闘運動は,先秦時代の野蛮な闘争形態の蛮闘段階,秦漢唐宋時代の技術性を重視した功闘段階,明清時代の文化的遊戯性に満ちた太極推手を主流とした戯闘段階と経緯し,現在に至るものである。さらに,武術の運動形態は,主に身体の増強のために,伝統的運動文化である養生功法や雑技技法の訓練形態を参考にして成立したものである。 このように,中国武術には,芸術表現,養生功法,雑技技法などの多様な文化的側面が,融合されているのである。
著者
竹田 隆一 長尾 直茂
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.51(145)-68(162), 2003-02-17

剣道の技術に関する名辞は, 非常に難解であり, 円滑な技術指導の障害となることも考えられる。しかし, それは, 剣道のもつ身体観や技術観などの文化的特性のあらわれととらえることができる。そこで, 剣道技術指導書の先行形態である近世の武芸伝書を取り上げ, 技術に関する名辞を考察することによって, 剣道の文化的特性を明らかにすることを目的とした。 本稿では, 一刀流の伝書である『一刀斎先生剣法書』取り上げたが, それは, 一刀流が現代剣道の源流の一つに数えられるためである。ただ, 流祖伊藤一刀斎みずからが書いた伝書というものは現在伝わらず, 一刀流を理解するためには, その門人達の伝書によるしかないのである。そこで, 一刀斎の門人古藤田俊直を祖とする唯心一刀流の伝書『一刀斎先生剣法書』を現代語訳し, 技術に関する名辞をスポーツ教育の視点から考察することにした。その結果, 従来から使用されている「事理」, 「水月」,「残心」,「威勢」の意味内容が明らかになった。なお, 今回の考察は, 全16章のうち5章までである。
著者
竹田 隆一 長尾 直茂
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.45(237)-58(250), 2004-02-16

承前 : 研究の目的・意図等については前稿(『山形大学紀要(教育科学)』第13巻・第2号所収。pp145-162。2003年2月刊)の冒頭に記したので, ここに贅言を重ねることはしない。ただし, 凡例のみは便宜上, 今一度載せることとした。今回の考察は第6章から10章までの5章である。 凡例 ◎訳注の底本には, 今村嘉雄『日本武道大系』第二巻・剣術(2)(同朋舎, 1982)に収録された, 京都鈴鹿家所蔵本『一刀斎先生剣法書』を用いた。但し, 句読点は適宜に改めた箇所がある。また, 参考資料として杉浦正森『唯心一刀流太刀之巻』を用いたが, これも『日本武道大系』第二巻所収のテキストに拠る。ちなみに『一刀斎先生剣法書』は寛文四年(1664)に, 『唯心一刀流太刀之巻』は天明三年(1783)に稿成ったものである。 ◎本書は16章から成るが,これを適宜に段落に分かち,そこに語注,現代語訳,そして必要に応じて補説を加えた。 ◎語注は長尾が担当し, 補説は竹田が担当した。現代語訳は両者で検討, 吟味した上, ここに掲出した。なお, 抄訳ではあるが, 本書の現代語訳を試みたものに, 吉田豊『武道秘伝書』(徳間書店, 1968)があり,適宜に参照した。
著者
竹田 隆一 長尾 直茂
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.1(251)-12(262), 2005-02-15

承前 : 研究の目的・意図等については前稿である(1)(2)(『山形大学紀要(教育科学)』第13巻・第2, 3号所収。2003年2月及び2004年2月刊)の冒頭に記したので,ここに贅言を重ねることはしない。ただし,凡例のみは便宜上,今一度載せることとした。今回は第11章から最後の第16章までの5章を取り扱う。 凡例 : ◎訳注の底本には,今村嘉雄『日本武道大系』第二巻・剣術(2)(同朋舎,1982)に収録された,京都鈴鹿家所蔵本『一刀斎先生剣法書』を用いた。但し,句読点は適宜に改めた箇所がある。また,参考資料として杉浦正森『唯心一刀流太刀之巻』を用いたが,これも『日本武道大系』第二巻所収のテキストに拠る。ちなみに『一刀斎先生剣法書』は寛文四年(1664)に,『唯心一刀流太刀之巻』は天明三年(1783)に稿成ったものである。 ◎本書は16章から成るが,これを適宜に段落に分かち,そこに語注,現代語訳,そして必要に応じて補説を加えた。 ◎語注は長尾が担当し,補説は竹田が担当した。現代語訳は両者で検討,吟味した上,ここに掲出した。なお,抄訳ではあるが,本書の現代語訳を試みたものに,吉田豊『武道秘伝書』(徳間書店,1968)があり,適宜に参照した。
著者
堀井 俊章
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.85(453)-100(468), 2001-02-15

要旨 : 本研究は青年期における自己意識(感覚,感情など, 自己の内的側面に注意を向ける傾向である私的自己意識と,自己の容貌,言動など,自己の外的側面に注意を向ける傾向である公的自己意識から成る性格要因)と対人恐怖心性との関係を数量的に検討することを目的とした。高校生256名(男子103名,女子153名),大学生271名(男子108名,女子163名)を対象に両概念を測定する質問紙尺度を実施した。統計分析の結果,高校生男子は公的自己意識が概ね対人恐怖心性と無相関であった。すなわち,高校生男子では公的自己意識が必ずしも対人恐怖心性(特に対人恐怖的行動)と関連をもたないことが明らかにされた。しかし,高校生女子と大学生では公的自己意識が対人恐怖心性と有意な正の相関を示し両者の密接な関連性が示唆された。また,大学生では認められなかったが,高校生の私的自己意識は対人恐怖の自意識過剰性と有意な正の相関を示した。両者の関連については,私的自己意識の一側面である,心身の内的感覚や存在感覚に注意を向ける傾向と対人恐怖心性との関連という観点から考察された。 Summary : The purpose of this study was to investigate the relationship between self-consciousness (public and private consciousness) and anthrophobic tendency in adolescents. "The self-consciousness scale" measuring public and private consciousness and "The inventory of negative self-awareness in interpersonal relationships" measuring anthrophobic tendency were administered to 256 senior high school students and 271 college students. The results showed that for female senior high school students and college students, public consciousness and anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for male senior high school students, and for high school students, private consciousness and part of anthrophobic tendency correlated positively, while there was an uncorrelativeness for college students. These results suggested self-consciousness was partial1y related to anthrophobic tendency.
著者
大神 訓章 日高 哲朗 内山 治樹 佐々木 桂二 浅井 慶一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.59(427)-72(440), 2001-02-15

要旨 : 本研究は,日本女子バスケットボールリーグ(WJBL)に所属する12チームを分析対象として,チームの平均身長を数学的手法により数量化・細分化し,それらを身長力として捉え,チームの身長力が戦力及び得点に及ぼす影響について分析したものである。 本稿で捉えたチームの身長力とは,各プレーヤーの出場率を加味し,併せて長身プレーヤーのチームに対する貢献率を考慮して数量化したものである。そして,その身長力について,回帰係数及び回帰直線を求め,その数値及び直線の傾きからチーム戦力を評価し,また,対戦した2チーム間の身長力の差並びに得点比を算出し,戦力比較を試みた。 その結果,チーム身長について,数学的手法による数量化,それに基づく身長力の細分化は,チーム戦力を捉える有効な手段のひとつであると考えられ,算出された数値は,体格的側面からみて,各チームの戦力をより適正に評価し得る数値であると思われる。また,チーム間における身長差と得点比には,高い信頼性と強い相関が認められ,それは,今後のチーム指導の示唆を得るものと考えられる。 The purpose of this study is to analyze the numerical terms on basketball player's height in detail and the effects on fighting power of team. The results may be summarized as follows: 1. Quantification of the baskeball player's height in detai1 can provide an effective means to understand the ability of each team. 2. It is shown that the ability of height can be valued for rate of contribution on strength of team. 3. It is shown that CK and JE are highly scores in S, CK is ah = 8.2, JE is S - ah = 9.7 in regular season, and CK is ah = 11.l, JE is S - ah = 5.2 in playoff, and that the difference in both teams are observed through the different of scores. 4. The regression line was analyzed, are a 2 = 1.68, σ = 5.0, r = 29.8 in regular season, and therefore it is recognized that between the difference of height and the rate of points have reliance and highly correlation.
著者
伊達 華子 古賀 望子
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.23(215)-33(225), 2004-02-16

山形大学教育学部における音楽教育は, 他大学と同じくカリキュラムの上で「ピアノ」と「ソルフェージュ」を別科目として立ててきた。前者は主としてピアノの演奏法を,後者は主として視唱法ないし聴音を扱っているが,両者を有機的に連動させる必要性が指摘されているにもかかわらず, 現在のところ必ずしも成果が上がっているとはいえない。 したがって本論文では, 筆者の教育経験に基づき, 「ピアノ」の教授法に「ソルフェジュ」の要素を取り入れる新たな教授法を具体例とともに提言する。論文の第1部では, これまで行われてきた様々なソルフェージュ教育法を概観しつつ, 各教育法が抱える問題点を指摘し, さらに第2部では, モーツァルト≪ピアノソナタ変ロ長調≫の冒頭楽章第1主題を例として, 単なる演奏技法の習得にとどまらず, トータルに音楽を捉える具体的な教授法の試案を提示する。なお第1部は古賀望子が, 第2部は伊達華子が担当したが, 両者は原稿の段階で論議をつくした。したがって論文の責は等しく両者にある。 Musicians and music educators in Japan share the notion that understanding ”solfege” leads to better performance. However, there is no consistency in teaching methodology, with various approaches based on proposals and discussion from educators around the world. In addition, the principles on which methods are based are often misunderstood, resulting in the unreasonable rejection of these methods. In Japan, developing absolute pitch is emphasized over developing relative pitch, while the authors believe they should be given equal value. This paper summarizes and reconsiders the principles of previously proposed methods and will present a teaching method integrating solfege instructions into college level piano instruction.
著者
藤岡 久美子
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.9-23, 2013-02-15

本稿は、幼児期・児童期の引っ込み思案に関する最近の研究を概観した。まず、研究で用いられているsocial withdrawal, solitude, shyness, inhibitionなどの用語及び具体的な測定方法から引っ込み思案のとらえ方を整理した。次に、乳児・幼児期の縦断的研究を中心に、乳児期の抑制が幼児期の遊び場面での一人行動に至る道筋に関与する、気質や養育スタイルに関する知見をまとめた。また、幼児期から児童期にわたる長期縦断研究を含む児童期の研究から、引っ込み思案が学校での不適応へとつながる軌跡及びそのつながりに関与する要因について検討した。最後に教育への示唆を述べた。
著者
大村 一史
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.67-84, 2010-02-15

要旨 : 従来から認知神経科学研究における様々な疑問に答えるために使用されてきた脳波(electroencephalogram : EEG)を利用した研究が見直され始めている。そのような流れの中で、注意欠陥・多動性障害(attention-deficit/hyper activity disorder : ADHD)を主とした発達障害児のセルフコントロールトレーニングとして、ニューロフィードバック(neurofeedback)または脳波フィードバック(EEG feedback)という手法が注目されている。この技法においては、自身が脳波をモニタリングしながら、脳活動をコントロールすることによって、知的機能や注意行動を改善させることを目的としている。この10年ほどで、批判はあるものの、ニューロフィードバックの利用が劇的に増加してきた。ニューロフィードバックの効果を慎重に検討した研究報告では、ADHDの新しい代替療法としての可能性が支持されている。本論文では、主にADHDを対象としたニューロフィードバックを概観し、教育分野における将来の可能性を展望する。
著者
渡辺 将尚 西平 直史
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要. 教育科学 = Bulletin of Yamagata University. Educational Science
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.13(205)-22(214), 2004-02-16

We developed a computer aided instruction (CAI)system that can show how much the students understand. We made out the effect of this system by the experiment with 12 students. At first, they answered 5 questions about the German definite articles that we had prepared on a Web page in advance. They sent their answers via Internet to the server and the teacher obtained them from the server. If they had some questions, they were able to send them with the answers. We confirmed that this system has the following 3 advantages :1. We can grasp in every question, how many students understand the question. 2. We can make the explanation more efficient, because we can also know, which mistakes the students make. The teachers can spare more time to explain the points which the students do not understand. 3. The students can ask questions more easily than before, since they need to make themselves know neither to the teacher nor the other students.