著者
伊藤 伸介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.383-389, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

本稿は,世帯の社会人口的属性だけでなく,家計の消費,所得,資産といった経済的属性の捕捉を指向した,わが国の代表的な公的統計調査である家計調査と全国家計構造調査(旧全国消費実態調査)を例に,家計消費の十大費目の実態を明らかにしている。本稿では,第1に,近年における十大費目の変化の動向,さらには貯蓄現在高や年間収入との関連性を明らかにした。第2に,全国消費実態調査のミクロデータの特性を生かしつつ,世帯類型と配偶者の就業選択の違いが世帯の消費の構成に与える影響についての実証分析に関する成果について述べた。
著者
海老澤 直美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.369, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

2022年10月号の特集は,「統計データの活用」と題してお届けします。世の中の変化を知り,今後の展開を予測するためにまず参照すべきデータとして公的統計データがあり,国内においては総務省の「国勢調査」や同省と経済産業省がまとめる「経済センサス」がよく知られています。これらのデータは公的統計の「総合窓口e-Stat」等で検索できるようになっており,ビジネス,行政政策,研究等の様々な分野で役立つ情報です。データの偏りが比較的少なく,継続性もある重要な情報源です。その一方で,従来の公的統計データは集計・公表に時間がかかり即時性が必要とされる政策,例えば今起こっている新型コロナウイルス禍への対応等には適さないことが明らかとなっています。この即時性の観点から注目されているのがオルタナティブデータとも言われる民間データです。カード決済履歴やスマートフォン位置情報等のリアルタイムの民間ビッグデータが政策現場等に急速に普及しています。本特集では統計データを用いた調査・研究や,レファレンス事例等に触れ,統計データの種類やアクセス先等をご案内するとともに,公的統計データ,民間データ両者の長所・短所と,統計データのより良い活用方法等をご紹介いたします。まず山澤成康氏(跡見学園女子大学)から総論として,公的統計の概要とそれを活用するための統計学をご説明いただくと共に,新型コロナウイルス感染拡大以降,重要になっているオルタナティブデータ(民間データ)についてもご解説いただきました。つづいて倉家洋介氏(国立国会図書館)からは,公的統計のみではなく民間統計等の検索窓口としても活用できる,国立国会図書館が提供している「リサーチ・ナビ」を利用した統計データの調べ方をご解説いただきました。さらに公的統計データ,オルタナティブデータの活用事例と海外統計データの調べ方について3名の方々にご解説いただきました。伊藤伸介氏(中央大学)からは,公的統計データの利用方法やそれらを活用した調査研究の成果についてご解説いただきました。水門善之氏(野村證券株式会社)からは,オルタナティブデータを用いた経済活動分析についてご解説いただきました。最後に上野佳恵氏(有限会社インフォナビ)からは,海外統計データの効率的な調べ方についてご説明いただきました。本特集が情報やデータを扱うインフォプロの業務の参考になれば幸いです。(会誌編集担当委員:海老澤直美(主査),安達修介,今満亨崇,野村紀匡)
著者
佐々木 光子
出版者
情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.128-135, 1996-03

学術情報センター目録所在情報サービス(NACSIS-CAT)の利用開始から10年を経て、総合目録データベースの書誌レコード数は、和図書 1,104,623件、洋図書 1,556,801件、Recon 736,766('95.12.8)と膨大な書誌ユーティリティーに発展してきた。これは、NACSIS-CAT に参加している全国420('96.1.10)の利用機関の目録業務に携わるカタロガーの協力、共同分担目録システム(Shared Cataloging)の成果でもあろう。NACSIS-CATによる目録業務データを言語別・出版年別のコピーカタロギング、オリジナルカタロギング率から検討して言語の問題を指摘し、書誌調整記録データの分析からその効率的軽減・軽量化について述べる。
著者
細川 聖二 平田 義郎 齊藤 泰雄 内藤 裕美子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.442-447, 2008-09-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
12

国立情報学研究所では,目録所在情報サービス(NACSIS-CAT/ILL)の今後の在り方について,中長期的な視点で検討することを使命として,「学術コンテンツ運営・連携本部図書館連携作業部会」の下に「次世代目録ワーキンググループ」を設置した。ワーキンググループでの検討結果を「次世代目録所在情報サービスの在り方について(中間報告)」として取りまとめ,2008年3月末に公開した。本稿では,「中間報告」に至る検討の経緯および「中間報告」についてその概要を紹介する。
著者
佐藤 康之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.167-171, 1998-03-01 (Released:2017-05-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1

丸善はZ39.50 Origin機能を採用した書誌調達・簡易目録作成サービス「MARUZEN Z39.50 Gateway-CAT」を開発し運用を開始した。このサービスではZ39.50の書誌情報交換機能に着目し, 書誌ユーティリティを資源としたコピーカタロギングへの応用をはかった。Z39.50は様々な書誌ユーティリティを利用する環境においてその検索手法を統一化するとともに, 高品質のMARCレコードの転送を可能とした。Z39.50のOrigin機能と目録作成システムを統合する事により効率の良い目録作成環境を構築できる。このサービスの機能を紹介すると共にZ39.50の機能がどのように利用されるかを解説する。
著者
ティムソン ジョウナス
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.207-212, 2014-06-01 (Released:2017-04-13)

2010年に文部科学省から出された『大学図書館の整備について(審議のまとめ)-変革する大学にあって求められる図書館像-』では,大学の教育機能に対する社会的要請が急速に高まっている中で,図書館員による教育支援がこれまで以上に期待されていること,そして効果的な教育支援を実現するための専門性が図書館員に求められていることが記されている。本稿では,これから大学図書館員として働こうとしている人を対象として,大学図書館の実際の業務の内容と,それらの業務を最大限に展開するための要素を踏まえながら,教育に関わる図書館員として活躍していくために必要な知識や専門性について述べた。
著者
野村 紀匡
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.327, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)

今月号の特集は,「ウェルビーイングとインフォプロ」と題してお届けします。新型コロナ感染症の拡大により,テレワークにシフトする等,働き方が大きく変わった方も多いのではないでしょうか。テレワークには,通勤時間が減る,オフィスよりも仕事に集中しやすい等の利点があります。一方で,同僚とのコミュニケーション不足や働き過ぎ等の欠点もあり,テレワーク中にメンタルの不調を感じた方もいるでしょう。また,コロナ禍でライフワークバランスや,自分にとっての幸せについて見つめ直す機会を持たれた方もいるかもしれません。社会が大きく変化する昨今,“ウェルビーイング”という言葉を目にする機会が増えてきました。本特集では,このウェルビーイングについて,様々な観点から紹介します。まず前野隆司氏(慶應義塾大学)に,ウェルビーイングとは何かについて,「幸せ」の研究者の立場から概説いただきました。渡邊淳司氏(NTTコミュニケーション科学基礎研究所)らには,“アジャイル”というソフトウェア開発の方法論を用いて,ウェルビーイングを支援する技術について述べていただきました。齋藤敦子氏(コクヨ株式会社)には,職場環境をデザインするという観点から,ウェルビーイング・オフィス,望ましいワークプレイスの設計について事例を交えて解説いただきました。小林由佳氏(法政大学)には,メンタルヘルスの悪化を防ぎ,ウェルビーイングである状態にするためのワークエンゲージメントの高め方や,セルフケアについて論じていただきました。駒田陽子氏(東京工業大学)には,ウェルビーイングのために重要なスリープマネジメントについて,睡眠負債や生体リズム,社会的ジェットラグ等のトピックを交えながら,良い睡眠を確保するためのポイントについて説明いただきました。本特集で,ウェルビーイングについての理解が深まり,読者の皆様がご自分にとってのウェルビーイングについて考える契機となれば幸いです。(会誌編集担当委員:野村紀匡(主査),青野正太,池田貴儀)
著者
山﨑 久道
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.290-296, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

インフォプロや図書館員の役割は,情報とそれを求める人を適切に結びつける「情報の仲介者」ということである。文献の整理技術や情報管理,インデクシング(索引作業)は,そのための必須の技法と位置付けられる。情報の組織化,メタデータ作成などと,表現されることもある。これは,自然語による,時空を超えたコミュニケーションの不安定性を克服する手段である。インフォプロが自らの仕事を効果的,効率的に遂行するには,こうしたスキルと理論の習得が必要である。こうした点で共通点を持つINFOSTAとTP&Dフォーラムが,コラボレーションすることは,のぞましいことである。
著者
今満 亨崇
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.289, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

情報科学技術協会(当協会)が長年後援してきた,TP&Dフォーラムという研究集会があります。整理技術・情報管理の世界,より具体的には図書館分類法,Indexing論,情報検索,情報管理,目録法といった領域を対象とする研究集会です。この度,大変喜ばしいことに,この研究集会で発表された内容や,そこで行われた議論についてまとめた記事を当雑誌へ掲載できることになりました。インフォプロの業務は,様々な学問的背景や研究領域を有しています。その中でも,TP&Dフォーラムが対象としてきた領域は,インフォプロの専門性を構成するコア領域の一つです。そこで本特集では,インフォプロにとっての整理技術・情報管理の重要性を再確認するとともに,その研究動向をお伝えする特集としました。まずは当協会の会長でもありTP&Dフォーラムの活動にも積極的に参加されている山﨑久道氏に,インフォプロの専門性と整理技術・情報管理がどのように関連しているかを非常に明解にご解説頂きました。その後,「TP&Dフォーラム2021」の内容を小特集としてまとめております。最初に鈴木学氏に2021年のフォーラムそのものの概要をまとめて頂き,具体的な発表内容が続きます。福田一史氏にはコミュニティ生成データを典拠とした目録作成の試みについて,発表内容及びフォーラム内で行われた議論を踏まえて,論文としてまとめて頂きました。インフォプロ以外の人々がインターネット上で作成しているデータを,目録作成の典拠として活用する可能性や課題を検討した論考で,将来の業務にも影響を与えうるものです。この論文執筆の前にTP&Dフォーラムでどのような議論が行われたのか,森原久美子氏に討議報告の形でまとめて頂きました。研究内容に関する議論が興味深いのはもちろんですが,研究者ではなく実務者が論文や記事が執筆されるまでの議論の過程を知ることはなかなかありません。そういった観点から読んでも得るものが多くあります。ところで,TP&Dフォーラムは2021年の開催で30年の節目を迎えており,これまでとこれからについてパネルディスカッションを中心として議論を行っています。記事では実際のフォーラムの流れに則り,まずはパネリストの方々の発言要旨をまとめて頂きました。その次の記事では,参加者を含めた討論の内容や,これまでの発表内容の傾向の変化をまとめています。これら記事からは,関係各人の熱い想いが感じられるとともに,TP&Dフォーラムの今後ますますの発展が期待できる内容となっております。本特集が,整理技術・情報管理の重要性を再確認するととともに,その将来について考えるきっかけとなれば幸いです。(会誌編集担当委員:今満亨崇(主査),青野正太,野村紀匡,李東真)
著者
石田 晴久
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.16-21, 1994-01-01 (Released:2017-05-26)

インターネットの形態は,(1)LAN(構内ネットワーク)の拡張型,(2)地域インターネット,(3)広域インターネット,(4)国際インターネットに分けられる。このうち,(2)については,全国各地で徐々に構築が進んでいる。また(3)の広域ネットとしては,WIDE, SINET, TISNなどの学術網のほか,IIJやSPINのような商用ネットも出現し始めた。今後,望まれるのは省庁や小中高校などの参入およびインターネットによる官庁の情報公開である。