著者
林 和弘
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.449, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)

本年度で19回目となる,INFOPRO2022にご参加,ご登壇いただいた皆様,誠にありがとうございました。ご協力,ご協賛いただいた皆様にも厚く御礼申し上げます。COVID-19の影響化で行われるINFOPROはオンラインで3回目の開催となりました。昨年の振り返りで「何事も物事は3度目,3年目,あるいは3作目が大事とも言われます。INFOPRO2022に向けて,過去2回のオンライン開催から,さまざまな課題も浮き彫りになってきました。」と申し上げた通り,3回目は2回目とはまた違った開催方式となりました。まず,2回目で思い切って導入したオンライン集会プラットフォームMorressierの利用は主に費用の面から今回は断念しました。費用の面以外でも,残念ながら,今の開催状況ではオーバースペックと言わざるを得ず,むしろ,Morressierを使うくらいにINFOPROの規模と内容を拡大することが先決だろうと考えています。続いて,オンライン参加は無料にして,予稿集を有料にするというビジネスモデルにしました。地方の方々や将来会員になっていただける方々が参加しやすい形を狙ったのですが,これは想定通りに進み,事業としても成立したようです。最後に,今回ご縁が重なりURAの活動を多数発表することができました。URAの発表は多岐にわたり,また,その多くがインフォプロの活動としても興味深いものであったことは一つの発見でした。本年も,本号の他の記事にてINFOPROの開催の様子を紹介しております。ご覧いただくとお分かりいただけるのですが,今回も実行委員,事務局他のみなさまのチームワークで,開催から記事執筆までこぎつけました。この場を借りて関係の皆様に熱く御礼申し上げます。多少私事となりますが,本年7月よりINFOSTAの副会長も仰せつかりました。INFOPROのみならずINFOSTAの事業運営の改善にも取り組むことになったことになり,なかなかに大変な状況でもあります。INFOPROの運営においても,いかに山﨑前会長を筆頭とするINFOSTA前三役,理事の方々のご支援があったかを痛感する毎日です。その一方,INFOPROでインフォプロの在り方を模索することは,INFOSTAの今後を模索することとほぼ同義ですので,淡々とそれを追求していくことになるのかもしれません。そして,みなさまのご賛同とご協力なくしては前に進まないものでもあります。次回は第20回の節目となります。引き続きみなさまのご支援ご協力を賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。(INFOPRO2022 実行委員会委員長 林 和弘)INFOPRO2022 実行委員会 委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所),副委員長:川越康司(ジー・サーチ),委員:矢口 学(科学技術振興機構),川本敦子(東芝),北川道成(三菱ケミカルリサーチ),長谷川幸代(跡見学園女子大学),小山信弥(関東学院大学),鷹野芳樹(クラリベイト),寺脇一寿(医学中央雑誌),木村光宏(㈱アドスリー),担当理事(正):増田 豊,担当理事(副):棚橋佳子
著者
渡邉 幸佑
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.435-438, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

坂口安吾の作品について,先行研究では文体の平易化が指摘されているが,直感にもとづく論考であり,特定の言語表現について計量的に分析したものでない。本稿では,坂口安吾の作品についてテキストコーパスマイニングツールMTMineR(エム・ティ・マイナー)を用いて,漢字比率及び平均文長という観点から文体の平易化を計量的に検証した。その結果,漢字比率の減少傾向が確認された。平均文長については,1942年以降はそれ以前より平均文長が小さい。齋藤(2006)で指摘されてきた文体の平易化について,漢字比率及び平均文長という観点から計量的に裏付けた。
著者
井上 彰
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.429-434, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

一般財団法人日本医薬情報センター(JAPIC)は,公正・中立な情報機関として,医薬品及び医療機器等に関する国内外の安全性及び有効性を中心とした情報提供を通じ,国民の健康,医療の向上に寄与することを目的に活動している。本センターでは,データベースの作成・提供を行う事業と,外部データベースの代行検索を行う事業の,提供者と利用者の両面を持つ。本センターのデータベース関連事業を紹介し,本センターにおける検索技術者検定の利活用の事例や取得者の声,検定試験により業務の変化などを紹介する。
著者
石川 賀一
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.423-428, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

本稿では駿河台大学メディア情報学部のカリキュラムの特徴と検定受験料助成制度をふまえて,本学部の検索技術者検定(3級)取得支援と筆者が考える検定取得支援のポイントを紹介した。検定取得支援のポイントは,学生に主体性を促し検定取得に臨ませること,要点を整理し学習プロセスを明確にすること,授業以外でも検定取得に興味を持たせる工夫をすることの3点をあげた。検定取得支援の効果として,成功体験による主体性の向上と目的にあわせたプロセス構築を実践的に学習できる点を指摘した。
著者
原田 智子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.417-422, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

検索技術者検定の目的,想定する受検対象者,3級,2級,1級で求められる能力についてキャリアパスの観点から考察した。その上で,インフォプロのスタートである2級合格から1級合格までの年数について,1級に合格した全員376名について調査した。その結果,翌年の合格が最も多いが,全体としては数年の間に合格している人が多かった。また,2012年度~2021年度の合格者の寄稿文49本について受検の動機と今後の抱負について調べ,合格者のキャリアパスに対する考えを読み取ることを試みた。キャリアパスの観点から,1級合格者では,1級合格がゴールではなくスタートである,あるいはマイルストーンに過ぎないと考えている人もいた。
著者
望月 聖子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.412-416, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

通称サーチャー試験は1985年にスタートし,サーチャーに必要とされる知識・技能を客観的に認定するとともに,その能力に対する社会的認識を高めることを目的としてきた。開始から30年,その間に検索技術は進化し,数回の制度変更があったが,試験の目的とするところは現在も変わっていない。歴史を振り返りながら,現在の検索技術者検定の試験内容と求められる知識や能力,勉強方法などについて考えてみた。
著者
青野 正太
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.11, pp.411, 2022-11-01 (Released:2022-11-01)

今月号は「検索技術者検定」を取り上げます。検索技術者検定(検索検定)は,情報科学技術協会(INFOSTA)の実施する認定試験です。検索検定は,公式HPによれば“企業,大学,組織等において,研究開発やマーケティング,企画等のビジネスで必要とされる信頼性の高い情報を入手して活用できる専門家を育成することを企図して実施”されています1)。コンピューターやインターネットの一般家庭への普及,さらにはスマートフォンの登場により,一般の人々も当たり前に検索エンジン等の利用により情報検索を行う時代となりました。そのため旧来の「サーチャー」2)と「エンドユーザー」の区別はなくなりつつあると考えられます。一方,誰でも検索ができるからこそ,情報の海から必要な情報を適切に引き出し,利用できるようにするための情報検索の知識・能力が重要となると考えます。本検定は知識・能力の証明に,また合格に向けた学習による知識・能力の養成に役立つのではないでしょうか。そこでこの特集では本検定について解説し,試験の合格,つまり情報検索の知識・能力を持つインフォプロに求められる能力を明らかにするとともに,大学や企業での活用事例を取り上げ,本検定の意義や果たしうる役割を明らかにする一助としたいと思います。まず,三井化学株式会社研究開発企画管理部であり,情報科学技術協会試験実施委員会に長く携わられた望月聖子様には,検索検定3級・2級・1級それぞれの試験内容と求められる知識・能力について,丁寧に解説していただきました。鶴見大学名誉教授であり,検索検定3級・2級公式テキスト3)4)の編著者でもある原田智子様には,検索検定におけるキャリアパスを解説した上で,2級合格から1級合格までの時間的傾向と合格者の寄稿文から,検定合格者のキャリアパスを分析していただきました。駿河台大学メディア情報学部の石川賀一様には,所属大学における検索検定の取得支援の取組について,学生の検索スキルを養成する意義を踏まえて解説していただきました。日本医薬情報センター(JAPIC)事業部門医薬文献情報担当の井上彰様には,検索検定のJAPICでの活用と検定取得者の声について,JAPICでの事業や本協会の活動への参画を含め解説していただきました。読者の皆様におかれましては,本特集記事を通して本検定の内容や活用方法について知っていただき,情報検索における知識・能力の向上について考える一助にしていただければ幸いです。(会誌編集担当委員:青野正太(主査),今満亨崇,海老澤直美,野村紀匡,長谷川智史)1) “検索検定(正式名称:検索技術者検定)”.情報科学技術協会.https://www.infosta.or.jp/examination/, (参照 2022-10-09).2) 以下の資料には,サーチャーは“情報を求め,それを実際に利用する人(エンドユーザー)に代わって,必要とされる情報を,適切なデータベースから検索する人で,通常,そのための専門的な技術を持っていることが要件とされる”とされています。“サーチャー”.日本図書館情報学会用語辞典編集委員会編.図書館情報学用語辞典 第5版.丸善出版,2020,p.853) 原田智子編著,情報科学技術協会監修,吉井隆明;森美由紀著.検索スキルをみがく:検索技術者検定3級公式テキスト 第2版.樹村房,2020,147p.4) 原田智子編著.情報科学技術協会監修,小河邦雄[ほか]著.プロの検索テクニック:検索技術者検定2級公式推奨参考書 第2版.樹村房,2020,181p.
著者
都築 泉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.326-332, 2010-08-01 (Released:2017-04-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

有料で提供されている特許分析ツールについて,その主な機能により,統計処理型,テキストマイニング型,データベース付随型,独自指標型に分け,それぞれ3〜4種類,合計13種類を取り上げ,(1)提供機関・連絡先,(2)分析対象データ,(3)概要・特徴,(4)処理件数(処理データ量)の上限,(5)利用料金,を紹介する。特許情報分析を行う際には,分析の目的と情報源となるデータの質・信頼性が重要である。対象となる特許データの収集に利用するデータベースに分析機能が付随している場合には,利用条件等が許せば適宜利用し,また,それとは別個に,CSVデータや複数種類のデータベースの検索結果を扱える,汎用性のあるツールも備えておくと大いに有用である。
著者
鈴木 理加
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.219-223, 2006-05-01 (Released:2017-05-19)
参考文献数
6

文献情報をインターネット上で無料で検索できるデータベースが増えてきている。その中から,Google Scholar,Scirus,CrossRef Search,IngentaConnect,CiNiiについて,データベースの概要と検索例を紹介する。これらのデータベースは,検索エンジン,収録対象誌,検索対象範囲などが異なり,単純に比較することはできないが,各々の特徴を知れば,原文が入手できる場合もあり,有効に活用できるデータベースと考えられる。
著者
水門 善之
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.390-396, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)

昨今,経済分析において,従来の経済統計を補完する形で,様々なデータを活用する流れが進んでいる。これらはオルタナティブデータと呼ばれ,高頻度の売上データや物流データ,携帯電話のGPSデータやクレジットカードの決済データ,更にはインターネット上のテキストデータや経済活動を物理的に観測した画像等のような非構造化データまで多岐にわたるオルタナティブデータを使用するメリットは,その情報の豊富さに加え,速報性の高さも挙げられる。本稿では,日本経済を対象として,これまで著者らが行ってきた,製造業の生産活動や家計部門の消費行動に関する各種オルタナティブデータを用いた研究を紹介する。