著者
長塚 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.209-209, 2018-05-01 (Released:2018-05-01)

情報プロフェッショナルシンポジウム(INFOPRO)は,2004年に科学技術振興機構と情報科学技術協会により,それまで個別に開催されていたシンポジウムや研究集会を統合して,お台場の日本科学未来館で初めて開催されました。それ以来,毎年開催され,昨年11月30日-12月1日の2日間にわたって開催された情報プロフェッショナルシンポジウムで14回目となりました。ただし,今回は,昨年までの2者の共催形式と異なり,科学技術振興機構の協力を得て,情報科学技術協会が主催して科学技術振興機構東京別館で開催されました。本シンポジウムは,幅広く知識や情報にたずさわる関係者が全国から一堂に会し,日頃の研究成果の発表と討論を行い,情報を交換する場となっています。これらの情報に携わる関係者からの研究発表のほか,その時期に適したトピックスを取り上げた特別講演やパネルディスカッションが実施されてきました。この10年間で,各種情報のデジタル化は一層進展し,情報の専門家の役割も重要性を増しています。また,最近では人工知能(AI)技術の進展により,情報専門家の業務の内容も大きく変わって行くのではないかとも言われています。このような時期に,本年の特別講演では,日本アイ・ビー・エムで自然言語処理研究に従事され,クイズ番組で人間の解答者に挑戦する質問応答システムWatson開発プロジェクトに参画されてこられ,現在は名古屋大学大学院情報学研究科価値創造研究センター教授の武田浩一氏から「自然言語処理と知的創造」について取り上げていただきました。参加者からは自然言語処理の発展の経過など基礎的な点から講演して頂き,最近の人工知能の社会への応用についても具体的な事例を通じて紹介があったので,今後会社の業務に活用するときの知識を得ることが出来たとの声が聴かれました。また,本年はトーク&トークでも特別講演で取り上げられた人工知能(AI)をテーマに人口知能と情報専門家(インフォプロ)の将来における関係に焦点を当て開催されました。そこで,本年のトーク&トークでは「人工知能(AI)とインフォプロのイイ関係~AIはインフォプロの仕事を奪う?それとも強い味方?あるいはブームなのか?~」をテーマにして,慶應義塾大学理工学部管理工学科教授の山口高平氏から今後人工知能(AI)が社会にどのような影響を及ぼしてゆくのかについて具体的な事例を交えて話題提供をして頂きました。その後,参加者は数人ずつのグループに分かれ,それぞれのテーマごとに議論し,グループの代表者が全体に報告することで,グループでの検討結果を全体で共有することを目指しました。本シンポジウムの中心になっている情報の担当者や専門家による研究発表は,本年は2日間にわたり合計で24件の口頭発表と6件のポスター発表があり,全体として活発な質疑が行われました。ポスターセッションではポスターの前には多くの参加者が集まり,多くの関心を呼んでいました。本シンポジウムは,情報担当者や専門家による実務経験や研究発表である「一般発表」による発表の場として,その時期に適した話題である「特別講演」からの刺激,参加者が質疑に参加できる「トーク&トーク」,ベンダーの方々による「プロダクトレビュー」や「ポスターセッション」など参加者が多面的な面から新たな知識を吸収できるようになっています。今後も,デジタル化・情報化の進展に対応したシンポジウムの在り方を探すことで,情報プロフェッショナルあるいはそれを目指している方々にとって,本シンポジウムがより有益な場となるように実行委員会一同願っております。(INFOPRO2017 実行委員会委員長 長塚 隆)INFOPRO2017実行委員会委員長:長塚 隆(鶴見大学)副委員長:林 和弘(科学技術・学術政策研究所)委員:安藤聡子(クラリベイト・アナリティクス・ジャパン(株)),河合郁子(千代田区立千代田図書館),川越康司(㈱富士通総研),児玉 閲(東邦大学),高杉秀隆(科学技術振興機構),中居 隆(㈱プラスアルファ・コンサルティング),廣谷映子(旭化成ファーマ(株)),増田 豊(ユサコ㈱),山中とも子(㈱ファンケル),担当理事:角田裕之(鶴見大学),副担当理事:吉野敬子(日本医療研究開発機構)
著者
安藤 正人
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.535-541, 2008-11-01 (Released:2017-04-28)
参考文献数
18

記録は,政府,自治体,企業,団体など,あらゆる組織体の活動の歩みを示す証拠であり,組織体がアカウンタビリィ(挙証説明責任)を果たすために,また新たな創造的活動を展開するために不可欠な情報資源である。それだけでなく,記録は時に人の命や人権を守るちからを持つ。記録を守りアーカイブズ・システムを整備することは,民主主義を支える土台である。本稿では,従来のレコード・マネジメント(記録管理)とアーカイブズを統合した「レコードキーピング」という新しい考え方を軸にしながら,中小規模の組織体において,いかに記録管理とアーカイブズのシステムを構築していけばよいのか,筆者の小さな経験を踏まえつつ考える。
著者
増井 ゆう子 山本 和明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.169-175, 2015-04-01 (Released:2017-04-13)

国文学研究資料館(NIJL)では,向こう10年間にわたる大型プロジェクトが始まった。計画名称は「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」である。古典籍の画像データベース構築に加えて,それを研究資源とした国際共同研究を実施していく。今後は異分野との融合研究を視野に入れた,より意欲的な共同研究の展開に努めることになる。本稿では,国文研が継続的に実施してきた古典籍の調査収集事業を経てこのプロジェクトがあることや,これまで構築してきた古典籍の書誌データが土台となることについて述べ,かつ今後の展望を紹介したい。
著者
原田 隆史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.8, pp.383-388, 2008
参考文献数
19
被引用文献数
1

近年,文化の保存や学好防報の情報源の入手可能性の確保などを目的として,世界中でWebページを保存するWebアーカイブが構築されてきている。Webアーカイブは,更新された過去のWebページの保存や,将来的な閲覧可能性の確保など,検索エンジンとは異なる技術が必要とされる。本稿では,Webアーカイブに関わる技術的な仕組みや,その課題について概説する。

1 0 0 0 OA 編集後記

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.208-208, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

1 0 0 0 OA 協会だより

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.205-207, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

1 0 0 0 OA 行事予定表

出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.204-204, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

1 0 0 0 OA INFOSTA Forum (313)

著者
鈴木 学
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.202-202, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
著者
渡辺 真希子 松村 有子 登坂 善四郎
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.196-199, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

近年,医学学術雑誌や各種診療情報のデジタル化が進み,その利用環境は大きく変化している。本稿では,2013年から直近までの神奈川県立病院機構における医療情報の整備状況を報告し,病院における医学情報整備の課題を検討する。段階的にオンラインジャーナル等の契約改善に取り組んだ結果,オンラインジャーナルの契約誌数が約3倍に増加した。しかしながら,医師らへのアンケートでは,その満足度は十分とはいえない。その理由として一部を除いて,医学情報を管理する図書室は体系的に整備されていない。今後も価格高騰,病院向けの医学・学術情報の維持・管理,及びコンソーシアムを含めた包括的な議論が必要である。
著者
高石 静代 朝倉 和子 上野 亮磨 左右内 敏浩 都築 泉 出口 哲也 渡邉 薫
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.180-185, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

新製品・新事業探索は,企業が持続的な成長をしていく上で必要な取り組みであり,様々な方法が提案・実践されている。本研究では,この新しい手法として「段階的発想法」を考案し,その適用について検討した。段階的発想法とは,共出語を用いてキーワードを段階的につなげて,新製品・新事業につながる発想を広げていく方法である。本研究では,マイクロレンズ製造技術をコア技術として有する実在するK社を題材に,特許,学術文献,新聞,ソーシャルメディア,ウェブ情報から段階的発想法を用いて新製品・新事業の探索を試みた。段階的発想法は,従来法よりも発想を飛躍でき,広い範囲で新製品・新事業を探索できるものと期待される。
著者
高橋 由里子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.176-179, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

2016年は「VR元年」と謳われた年であり,マーケティングのトレンドも「ユーザー体験(UX)」が主流になると予想されている。大学図書館でも「どれだけリッチなユーザー体験を提供できるか」が今後の利用者サービスの柱となることが想起された。同年,開館25周年を迎えた早稲田大学中央図書館では,バーチャルリアリティー(VR)を活用した「夢の融合プロジェクト」が実施され,学内の部署間連携や教職員・学生の協働が織り成すチャレンジングかつエキサイティングなプロジェクトとなった。本稿は,その舞台裏を支えた図書館スタッフの魂のVR制作ストーリーである。
著者
小林 光代 佐藤 郁 佐藤 香織 米田 由紀子 根本 任子 阿部 由季乃 石坂 真理子 小笠原 史子 小田 杉子 海沼 聡子 工藤 稔昭 工藤 博子 黒澤 奈保江 齋藤 江里 髙杉 尚子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.172-175, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

本稿では,秋田県鹿角市立図書館で取り組んだLINEスタンプの活動について述べる。公共図書館でLINEスタンプを制作・発売したのは当館が初めてで,市内外から多くの注目を集めた。また,LINEスタンプの制作も外部に委託することなく,職員自ら行った。待つだけの図書館ではなく,積極的な活動や取り組みが話題になっている今日の図書館界であるが,当館は移転と指定管理者導入をきっかけに,新しい広報の手法を模索し,市民に親しまれる図書館を目指して当事業を進めてきた。本文は制作の裏側や運用などについて実務的なことも含め,LINEスタンプ制作にかけた想いをまとめたものである。
著者
菊池 隆
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.169-171, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

鎌倉市図書館ツイッターでは,図書館の行事ばかりでなく,近隣の情報などもツイートするなどの工夫をしている。そのような中,平成27年8月,メッセージ性の高いツイートで全国的に認識されるようになった。それ自体は喜ばしいことではあるが,公的機関における情報発信には多方面への配慮が必要で,認知度の高いメッセージ性がある内容を発信することには限界がある。また,利用者の属性によってはSNS以外での情報発信が効果のある場合もある。制約のある中,いかに多くの市民,利用者に情報を見てもらうかが重要である。
著者
北村 智仁
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.160-164, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

本稿では,東京都立図書館におけるSNS運用の現状とその分析結果について,Facebookを中心として報告する。前半では運用体制や投稿内容などの概要を記述する。後半ではFacebookのインサイトデータの分析により,閲覧者の傾向,記事に対する反応,Twitterにおける反応との相違点等について,分析結果を報告する。最後に,Facebookが有する独自のメリットやその活用例を指摘しながら,図書館がFacebookを運用する意義について考察し,Facebookの活用が広報に広がりをもたらす可能性について述べる。
著者
岡嶋 裕史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.152-155, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

インターネットが登場して,広報活動にどのようなインパクトが与えられたかを概観した。従来型のマスメディアと,インターネットを基盤とするメディアの違いを明らかにし,それぞれにおける最適な広報の有り様が異なることを指摘した。どうして性質の違うメディアが台頭したのか,社会構造の変遷に着目して解説を行い,その変遷の延長線上で何が起こったのかについても整理した。また,同一視されがちなインターネット上のメディアでも,WebとSNSではネットワークの構成もユーザの接触態度にも差違がある。この差違を広報活動にどう組み込むべきかを議論した。