- 著者
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長野 裕恵
- 出版者
- 一般社団法人 情報科学技術協会
- 雑誌
- 情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.4, pp.151-151, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)
今月号の特集は「SNS時代の情報発信を考える」です。本誌では2005年7号で「図書館の発信情報は効果的に伝わっているか?」と題した特集を組み,より効果的な広報の仕方を考察しました。しかし,その後急速に普及したのがスマートフォンです。『情報通信白書』によると,2010年には1割弱であったスマートフォンの世帯普及率は,2016年には7割を超えています。それと並行するようにSNSの利用が増え,全体の約7割の人が何らかのSNSを利用するようになりました。SNSは,情報を発信する側の敷居も下げました。低コストかつ簡単に個人へ情報を発信できるようになったからです。一方で,図書館には発信に値する魅力的なコンテンツやサービスが存在しています。SNSを通じてそれらを発信し,図書館をアピールしようとする動きが広がっています。このような動きを踏まえ,本特集では以下のような構成でSNS時代の情報発信を検討しました。はじめに,岡嶋裕史氏にスマートフォンが普及した現代までの広報の変化を概観いただきました。続けて,ソーシャルメディア・マーケティングがご専門の小野寺翼氏に個々のSNSにおける特徴と使い分け方を紹介いただきました。そのうえで5つの図書館における具体的な事例を寄稿いただきました。前半3例は,SNSを図書館がどのように使っているかをご報告いただきました。東京都立中央図書館では,Facebook,Twitterの特性を活かして使い分けを行っています。九州大学附属図書館では,広報対象を考慮したうえでプラットフォームとしてInstagramを選択し,新館移転の状況を発信しています。一方,鎌倉市図書館ではある1つのツイートがきっかけで注目されると同時に,課題も明らかになりました。後半2例は各図書館内部の力を活用した広報事例です。秋田県鹿角市立図書館では,職員それぞれの得意分野を活かしてLINEスタンプを作成し販売しています。早稲田大学図書館では,教員と協働して図書館所蔵の貴重資料をバーチャルリアリティ(VR)化し,YouTubeを使って発信しています。情報を発信するプラットフォームや技術は変わりましたが,誰に向けて何を発信するのかを考えなければならないのは同じです。2005年の特集と併せ,本特集が新たなプラットフォームをどう活用できるのか,SNS時代にふさわしい情報発信とは何かを考える一助となれば幸いです。(会誌編集担当委員:長野裕恵(主査),小山信弥,田口忠祐,松本侑子,光森奈美子,南山泰之)