著者
山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.73-80, 2014-08-17

近年,世界各国で高等教育機関におけるゲーム開発の導入が進み,学位プログラムの実装が進んでいる.この背景には各分野からの学際的な取り組みが存在するが,本論文ではその中でもコンピュータサイエンスとゲーム開発の関連に注目する.特に米国の大学におけるゲーム研究開発のビジョンと動向をまとめ,1990 年代から2010 年代までのおよそ20 年間でたちあがった新たな学問分野についてそのビジョンやモデルを整理する.最後に日本を含めた地域への展開において求められる課題を示す.
著者
久野 靖 小泉 力一 宮寺 庸造 夜久 竹夫
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.111-118, 2014-08-17 (Released:2015-02-03)

今日のわが国の情報教育は、その目標である「情報活用能力」の内容を、「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」が 1997 年 10 月に公表した第 1 次報告 [1] に記された 3 観点としてきた。しかし、同報告の公表から既に 17 年を経過し、この間の情報技術や社会状況の変化を考えれば、この定義を見直すべき時期 が来ているといえる。近年、学術会議を中心に策定されつつある「情報学」の参照基準では、コンピューティングが多様な情報学の分野を横断する共通概念になっていることから、「情報活用能力」も「コンピューティング」を加えた新たな形となるべきだと考える。さらに、小学校・中学校・高等学校の各段階でどのような内容を経て「情報活用能力」を育成していくかについても提案をおこなう。 ICT education in Japan is centered around “ICT capabilities” and three subgoals, which were defined in October 1997 report published by the ministery of education. However, as fifteen years have passed since publication and ICT situations have drastically chaned, we should review those gooals by now. Recently, reference standard in informatics are being defined by science council of Japan. In this standard, “computing” is the core concept which combines various fields of informatics, and we think that ICT ca-pabilities should conform to this position. In this paper, we propose modfications to the subgoals of ICT capabilities. We also show staged calculum outline from elementaly schools to highschools.
著者
松原 裕之
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.57-63, 2014-08-17

エンジニアリングデザイン教育を通じた振り返り,つまり内省で得られる気付きが重要である.本稿では,エンジニアリングデザイン教育の PBL を通じた振り返りを,学生に「エンジニアリングデザイン報告書」として内省させ,テキストマイニングを用いて分析した.学生の気付きの分析まで至らなかったが,エンジニアリングデザイン教育のPBL として,学生一人一人が与えられた役割を意識して取り組んでいる知見が得られた.PBL の実践が適切に行われていることの確認に,報告書のテキストマイニング分析も有効な方法の一つであることがわかった.
著者
大谷 卓史 芳賀 高洋 池畑 陽介 佐藤 匡 高木 秀明 山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.179-184, 2014-08-17

一般的に,児童・生徒のインターネットや情報機器の利用を制限・監視することで,児童・生徒のインターネット利用リスクを低くできると信じられている.しかしながら,情報社会におけるコミュニケーションや社会参加がインターネットや情報機器によって媒介されるとすれば,ただ禁止・監視するだけでは児童・生徒の情報社会における自律的判断の成長を妨げ,情報社会への適応を阻害する可能性が高い.むしろ保護者・教師と児童・生徒がインターネットや情報機器の利用について日常的に話し合うことで,児童・生徒のインターネット利用リスクを低くするとともに,児童・生徒の道徳的自律を支援できるとの情報倫理学者 Mathiesen(2013)の知見がある.また,そもそも大人がインターネット利用によってトラブルを引き起こす例も多い.本稿著者は,平成 26 年度において,地域社会の保護者・社会人に対してスマホや SNS の情報リテラシーおよび情報倫理の地域社会教育を実施するモデルとなる教材・講習会の設計と試行的実施をめざし,実行可能性調査を含め,研究を進めている.本稿はその研究の目的・背景と計画を説明するものである.
著者
山口琢 大場みち子 高橋修
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.189-193, 2014-08-17

作文学習・指導や文書レビューの手がかりとすることを目標に,われわれは,作文をモニタする仕組みを研究している.これまでに,マトリックス型編集モデルによるテキスト・エディタを試作し,解釈可能な編集操作ログを得ることができている.今回,編集操作の種類と時刻を軸にとった散布図を,自動作成する仕組みをシステムに付加した.この散布図によって,特定の書き手の複数の作文について,編集操作ログを比較した.その結果,ゼロから書き始めてシステム上で完結させられる作文では,完了よりも手前でマトリックス編集操作がなくなるというパターンが見られた.そこで,複数の書き手による短い作文でも,本システム上で完結させることができれば同様のパターンが見られるという,次のサイクルの仮説を得た.そのために,マトリックス編集操作の分布・頻度を強調して可視化する仕組みの開発が必要である.次の段階では,その可視化の仕組みを試作して,複数人に対する作文指導実験を行う.
著者
中野 由章 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 佐久間 拓也 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.11-17, 2014-08-17

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013 年と2014 年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した。2014 年に試行した試験は,920 人が受験し,その内容について分析した。その結果,全体としてみれば,得点分布,解答時間,問題数などは極めて良好であり,出題範囲や難易度についても問題はなかった。ただ,「情報の科学」領域,とりわけプログラミングについては,問題点が明らかになった。これはすなわち,大学側が求める内容と,高校側で行なわれている内容の乖離を意味する可能性がある。入試問題という狭い範囲ではなく,教育内容まで含めて,今後,総合的に検討を要する内容である。
著者
中野 由章 谷 聖一 筧 捷彦 村井 純 植原 啓介 中山 泰一 伊藤 一成 角田 博保 久野 靖 佐久間 拓也 鈴木 貢 辰己 丈夫 永松 礼夫 西田 知博 松永 賢次 山崎 浩二
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.11-17, 2014-08-17 (Released:2015-02-03)

情報入試研究会と,情報処理学会情報入試ワーキンググループは,2013 年と2014 年に「大学情報入試全国模擬試験」を実施した。2014 年に試行した試験は,920 人が受験し,その内容について分析した。その結果,全体としてみれば,得点分布,解答時間,問題数などは極めて良好であり,出題範囲や難易度についても問題はなかった。ただ,「情報の科学」領域,とりわけプログラミングについては,問題点が明らかになった。これはすなわち,大学側が求める内容と,高校側で行なわれている内容の乖離を意味する可能性がある。入試問題という狭い範囲ではなく,教育内容まで含めて,今後,総合的に検討を要する内容である。 The working group in IPSJ and the study group for “exam for university entrance on information study” carried out nationwide trials of “exam for university entrance on information study” in 2012 and 2013. 920 senior high school students, most of who were the 1st graders participated in these trials and the authors analyzed the result. As a result, the score distribution, answering time and the number of questions in the trials were all so appropriate, and no problems were seen on the degree of difficulty or the range of the questions actually set. However, some issues about its contents have been revealed; especially the theme of programming skills in “scientific understanding of information” is judged to have a problem. That is, there may be the perception gap between the university side and the high school side; the contents a university requires this subject don’t meet with those high school students are to learn in class of information study. This is not the issue only the exam for university entrance on information study involves, but that we have to deal with after considering “educational contents” comprehensively, high school through university, and from various angles.
著者
久野 靖 小泉 力一 宮寺 庸造 夜久 竹夫
雑誌
情報教育シンポジウム2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.111-118, 2014-08-17

今日のわが国の情報教育は、その目標である「情報活用能力」の内容を、「情報化の進展に対応した初等中等教育における情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議」が 1997 年 10 月に公表した第 1 次報告 [1] に記された 3 観点としてきた。しかし、同報告の公表から既に 17 年を経過し、この間の情報技術や社会状況の変化を考えれば、この定義を見直すべき時期 が来ているといえる。近年、学術会議を中心に策定されつつある「情報学」の参照基準では、コンピューティングが多様な情報学の分野を横断する共通概念になっていることから、「情報活用能力」も「コンピューティング」を加えた新たな形となるべきだと考える。さらに、小学校・中学校・高等学校の各段階でどのような内容を経て「情報活用能力」を育成していくかについても提案をおこなう。