著者
大向 一輝
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.440-447, 2013
被引用文献数
1

政府・地方自治体・公的機関による情報公開の取り組みの一環として「オープンデータ」が注目を集めている。欧米の動きと比較すると,日本におけるオープンデータの普及が遅れていることは確かであるが,行政機関や市民の努力によって,急速にデータの質・量ともに充実が進んでいる。本稿では国内における先進例を紹介し,今後の展望について議論する。
著者
山崎 榮三郎
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.233-241, 2003

コンピュータシステムの進展はインターネットの出現と相まって,われわれの価値観なり行動に大きな変化をもたらしてきた。さらに進むコンピュータ技術,通信技術,コンテンツ技術が重なり合いながらユビキタス時代が幕を開けようとしている。ユビキタスネットワークの中で一翼を担う無線ICチップ(タグ)はさまざまな分野での応用が想定されるため,現在,標準化の動きも活発化してきている。コンピュータ技術の発達は小型化を促し,安価となる事により,世の中の全ての製品に組み込まれていく事まで想定されている。コンピュータが「道具であった時代から環境へと変わっていく」時代の中にわれわれは存在する。新しい時代の価値観なり行動形態にどのような影響を与えていくのだろうか。
著者
阿蘓品 治夫
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.496-508, 2005
被引用文献数
2 2

大学からの情報蓄積・発信の切り札とする意図を持って機関リポジトリを構築するのであれば,持続可能な事業として学内に定着させることが何よりも重要である。この目的を果たすため,機関リポジトリの運用者である図書館は次の3種類の実務に取り組む必要があろう。それは,第一に,「機関の事業として大学上層部の承認(学内合意)を得ること」,第二に「研究者になり代わってコンテンツを継続的に探し,集め,登録すること」,第三に「研究成果ショーウィンドウの素材として機関リポジトリを活用すること」,である。本稿は,これらの実践上のポイントについて千葉大学の機関リポジトリ(CURATOR)の構築経験を踏まえて記述するものである。
著者
長尾 眞 原田 勝 石川 徹也 谷口 敏夫 澤田 芳郎 吉田 哲三 柿元 俊博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.191-206, 1995
被引用文献数
5

本論文は電子図書館システムAriadneに関する5編の論文の最初のものである。まず電子図書館が従来の図書館とどのように違うものであるかを述べ,電子図書館の一つの理想の姿がどのようなものであるかを具体的に説明した。さらに,それを具体的に実現するために持つべき機能の概要,システム構成,ユーザ·インタフェース,システム構築支援機能,ネットワーク構成などについて詳しく述べた。他の4編の論文で詳細が述べられている機能などについては,簡単に触れるだけにとどめた。
著者
孫 成權:著 内田 尚子:訳
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.44, no.10, pp.701-707, 2002

中国国家革新システムは科学,教育および持続的な開発を通して中国を活性化し,かつ中国における経済社会的発展の速度を高めるために中国政府が下した重要な国家の戦略である。同システムは知識革新と技術革新に関与する機関で構成されるネットワーキングシステムである。この中にあって1998年,中国政府は中国科学院による知識革新計画パイロットプロジェクトの開始を承認した。本稿では,中国科学院が国家革新システムにおいて与えられている歴史的任務,同プロジェクトに関する全体計画を述べる。次にプロジェクトの初期段階,実行段階について述べる。初期の段階ではかってない規模での中国科学院傘下の研究所の配置の再調整,統合がなされ,これまで37あった研究所が17の研究所に再編成された。また39の研究所が独立法人として同プロジェクトの機構に入ることが承認された。実行段階では次の項目についてそれぞれの目標を設定した。科学技術革新,人材育成,国の内外での人材交流,技術移転の促進,革新的文化の発展および科学技術基盤構造の構築。
著者
中沢 俊一 代表取締役
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.184-199, 1979

MF化には,静的利用MF化と動的利用MF化の2通りのMF化がある。静的利用FM化は,従来思考のマイクロ写真化であり,動的利用MF化が,マイクロフィルミング化である。マイクロ写真化は「手段先行型MF化」といい,フィルミング化を「目的先行型MF化」という。フィルミングでは,MFソフトウェアを重視し,そのソフトは,採用者各社毎に作るオリジナルソフトである。次に,計数データはコンピュータ法で,文章情報や図形情報はフィルミング法にのせて,動的・効率的に管理・運営する方法が,今後は益々強く要求されてくる。本稿では,フィルミングの基本思想と役割を,総論的に述べる。
著者
白木澤 佳子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.238-245, 1999 (Released:2001-04-01)
参考文献数
4

科学技術振興事業団(JST)では平成10年9月より,Windows PC上で動作する日英機械翻訳システムの販売を開始した。JSTは平成2年度より英文抄録を作成するためにメインフレーム版のシステムを運用し,整備してきた。Windows版システムは,このメインフレーム版を元に開発したものである。約60万語のシステム辞書を有しており,科学技術分野の文章の翻訳に優れた結果を得ることができる。ユーザー辞書等の機能を利用することにより,翻訳に要する時間や人手を大幅に削減することが可能である。また,機械翻訳に適した日本語を書くことにより,一層機械翻訳システムを有効に活用することができる。
著者
新井 紀子 川本 佳代
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.155-163, 2004 (Released:2004-06-01)
参考文献数
7
被引用文献数
4 3

「e-教室」プロジェクトは,新井らが開発を行った「Net-Commons」という情報共有ポータルシステムを活用して,研究者・教員らが協力しながら,中高校生とともにインターネット上に通常のカリキュラムを超える,高度な学びのコミュニティを創出する試みである。「Net-Commons」は,テキストと画像を組み合わせて投稿することができる掲示板を中心に据えながら,インターネット上で提供されているデジタルコンテンツを柔軟に活用するオンライン協調学習環境を提供している。「Net-Commons」が提供する柔軟なページレイアウト機能により,コミュニティの状態に最適なページレイアウトをWeb上から簡単に実現することができる。学習支援者は,学習状況を観察しながら,さまざまなe-ラーニングツールの組み合わせ(Blended Learning)を自由に試みることができる。「e-教室」に参加している学習者は,学習支援者とともにコミュニティを形成しながら,インターネット上の学びの空間を体験する。「e-教室」の学習ログを解析した結果,「e-教室」での活動を通じて,学習者の (1) 論理的思考力 (2)(書き言葉による)コミュニケーション能力 (3) プレゼンテーション能力が向上したことが観察された。
著者
牧田 泰一 藤原 匡晃
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.798-808, 2018

<p>福井県は,誰もが自由に使えるオープンデータの活用推進を県内全域で行っている。県内全市町の内容・様式を統一したデータを都道府県として初めて公開し,機械判別に適した様式でデータを公開することで,二次利用を推進している。そして,データを公開するだけでなく,アプリコンテストや普及活動等を行っており,オープンデータを活用したアプリケーション開発数は全国トップクラスである。また,福井県鯖江市は日本で初めてオープンデータに取り組んだ先進自治体であり,オープンデータによる行政の透明化,市民参加,そして官民の連携を進めている。こうした福井県の取り組みと,鯖江市の注目すべき先進事例を紹介する。</p>
著者
福江 康弘
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.489-505, 1990

日刊スポーツ新聞社が開発し, 運用している「日刊スポーツリアルタイム野球データベース」の概要, 特徴, 運用例について述ベる。本システムは, プロ野球の数値情報をゲームの進行と同時に入力し, ジャスト・イン・タイムでデータ更新を行うリアルタイムのデータベースである。新聞製作の支援ツールという基本を保ち, かつ商用化にも力を注いでおり, 放送メディアへの提供および, NTTのダイヤルQ<SUP>2</SUP>を通じての一般ユーザへの提供も行っている。
著者
中川 仁
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.403-410, 2002 (Released:2002-09-01)
参考文献数
1
被引用文献数
5 2

“EBM(科学的根拠に基づく医療)”という用語が1997年ごろより日本国内においても急速に広がっているが,正しく理解されて用いられているとは言い難い。EBMは臨床疫学に基礎を置きながら,1991年にカナダMcMaster大学のGordon Guyattによって提唱された概念である。“EBM”という用語を用いるとき,本来の概念・考え方を理解したうえで用いることが必要であると考え,その定義・歴史・実践方法・学び方などについて解説した。これらEBMの全体像を理解したうえで,“EBM”を実践していくべきである。
著者
李 相鎬 金 惠善 崔 善喜
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.414-420, 2005 (Released:2005-10-01)
被引用文献数
1

韓国科学技術情報研究院(KISTI: Korea Institute of Science and Technology Information)は韓国政府傘下の情報センターであった研究開発情報センター(KORDIC),産業技術情報院(KINITI)とスーパーコンピュータセンターが2001年に統合されて設立された。主要機能は科学技術情報のDB構築および流通,超高速研究網(KREONet)とスーパーコンピュータの運営および管理,科学技術情報の分析などであるが,本記事では主に科学技術分野の学術情報のデータベース構築および流通を紹介する。