著者
宮田 佳美 唐 士? 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.286, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は、テレビアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の舞台である静岡県沼津市を事例として取り上げたものである。文献調査ならびに現地調査に基づき、これまで十分に考察されてこなかった「巡礼ノート」への記述内容の解析を通して、「聖地巡礼」が当該地域の地域資源の活用ならびに生活の質の向上にどのように寄与しているのかを把握し、地域活性化に資する「聖地巡礼」のあり方を導出することを目的とした。; 本研究においては、三の浦総合案内所に設置されている「巡礼ノート」に記述された内容をテキスト化し、それに基づき「聖地巡礼」の展開と特質を分析した。巡礼者は、事例に挙げた物語の追体験を通して、外来者の視点で地域資源の再発見・再認識を行う。また、巡礼者と地域住民との交流により、各種イベントなどが開催されることで、巡礼者の地域ファン化・地域住民の地元愛が高まることが確認された。さらに、巡礼者を類型化することにより、それぞれの類型の特質および傾向の変遷が明らかとなった。
著者
青木 優里香 白髪 誠一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.372, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は,三次元ジグソーパズルをデザインするために必要な内部構造の定式化,使用する材料とその高精度な加工方法のアルゴリズムを構築することを目的としている。本報では,内部構造の定式化について行ったアルゴリズムの構築とプロトタイプの製作について報告している。; パズルの外形を立方体とし,それを等分割して立方体のピースを定義する。隣合うピースの接する面に対して,コネクターによって嵌合する接合面と嵌合しない接触面を市松パターンで与えることで全体の組立が可能で,かつ,全体としての一体性を確保することを目標とした。市松パターンのみでは,全体の一体性が確保できないことが明らかとなり,一部に追加の接合面を与えることで一体性を確保した。接合面におけるコネクターの嵌合方向は,各方向の面で一致させることで組立が可能となる。ただし,ピースの角部で隣合うコネクターが干渉するため,コネクターの位置の調整を行った。; 得られた三次元ジグソーパズルの3Dモデルを用いて,スタイロフォームをロボットアームで切削してプロトタイプを製作した。プロトタイプによって,全体の組立が可能であること,一体性が確保されていることを確認した。
著者
町田 小織
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.92, 2020 (Released:2020-08-27)

創設者の物語をストーリーからナラティブにするためにはどうしたらいいのか。単なる知識としてではなく、創設者の人生を自分に引き付けて捉え、そこから自身のライフデザインについても考えるような授業をどうデザインしたらいいのか。それが筆者の問いである。そして、実際にデザインされ、実践された授業の効果を検証することが本研究の目的である。本研究の一部は2019年に日本ミュージアム・マネージメント学会にてポスター発表されたが、そこでは最も重要な授業内容そのものを報告できなかったので、本発表では授業がどのようにデザインされたのかに特化して報告したい。
著者
田中 隆充 王 懿敏 阿部 裕之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.102, 2020 (Released:2020-08-27)

本稿は,岩手県の伝統的工芸である南部鉄器の鉄瓶の輸出用の造形について示したものである.近年,南部鉄瓶は海外での需要が高まり,従来の南部鉄瓶の典型的な造形や表面にデコレーションされる文様(多くはアラレ模様),色彩のバリエーションが増えた.国や地域によって鉄瓶の使い方や上述のデザインの好みの差異があるため,マーケタによってデザイン条件が示される.しかし,南部鉄瓶は工芸職人が一人でデザインを行い,手づくりで制作する場合もあれば,制作過程毎に分業化され機械を主体とした量産用の制作の2つのカテゴリに分けられる.南部鉄瓶を専門としたデザイナはほとんど皆無であるため,量産に適さない造形を見極めるのが難しい.本研究ではデザインプロセスの川上に位置する,発散的な造形のバリエーションをデザインし,その後,工芸の専門家に一品物の鉄瓶に適しているのか,または,量産性のある造形であるかを確認,整理し考察を行った.整理をすることで,多くのデザインバリエーションから量産できるデザインの要素と量産可能な造形の可能性を知ることできると考えた.そして,目標に対して的を射たデザインを提案できると推察する.
著者
中村 泰之
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.284, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は「ご当地萌えキャラ」のデザインについて調査と分析を行う.地方そのものが主体となってキャラクターを創作し,地域振興に繋げようという活動が活発になっている.本研究の目的は主に創出プロセスの中でも特にキャラクターデザインに焦点を当て,地域振興において有用なデザイン手法を明らかにすること、ご当地萌えキャラの活動をアーカイブすることである. ここでは2019年3月2日〜4月21日まで宮城県白石市で行われた「第10回東北ずん子スタンプラリー」の事例について報告する.
著者
池 鮎人 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.384, 2020 (Released:2020-08-27)

飲料を飲む際に用いられるグラスやカップなどの容器は、その形状の違いによって美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼす。そのため様々な形状の容器が存在する。一方で、同じく飲料を飲む際に用いられるストローの形状は一般的に円筒形である。そこで本研究では、ストローを様々な形状に変化させ、美味しさや飲みやすさといった飲み心地に影響を及ぼすか検討した。;塩化ビニルチューブや熱収縮性チューブを加工して様々な形状のストローを制作したところ、テーパー形状である、太くなる箇所がある、もしくは飲み口の形状が楕円形であることによって飲み心地が変化する可能性が示唆された。それらを検証するために3Dプリンターで制作したストローを用いて印象評価実験を行った結果、ストローの形状の違いが炭酸飲料の飲み心地に変化を与えることが明らかになった。特に、テーパー形状であると飲み心地はより向上すると考えられた。また、ストローの素材が飲み心地に大きな影響を与えると考えた。それらの考察を踏まえて、より炭酸飲料の飲み心地を向上させるテーパー形状のストローをアルミパイプを加工して提案した。
著者
飯島 百香 佐藤 浩一郎 寺内 文雄
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.386, 2020 (Released:2020-08-27)

現在、暖炉や焚き火といった木材を燃やして楽しむ設備や行為がある。それらにおいて、目的に合わせて細かくそれらを選出することはほとんど行われていない。本研究では、燃やす木材の配置や樹種の違いによって火の特性を変化させることにより、特定の目的に合わせて楽しむことができる焚き火セットを提案する。;; 調査や予備実験から、木が燃える様子から音や匂いといった特徴的な特性や印象を被験者が感じることや、炎の規模や燃え尽きるまでの速さなどの特性の変化が配置や樹種の違いにより発生することが観察された。;; 被験者に自由に焚き火を行なってもらう実験では、木材を選出する際や火をつけている最中、そして火が消えた後を通し被験者の感想を記録した。;; 最終提案物として、目的に合わせた焚き火セットを3種類制作した。実験において多数の被験者が目的とした3つの目的に沿ったものを用意した。それぞれ焚き火で用いる木材と木材を乗せる石製の土台、どのように木材を配置するかなどの方法が記載された説明書から構成されている。説明書を読んで木材を土台に配置し火をつけることにより、誰でも選択した目的に合わせた焚き火を楽しむことができる。
著者
早田 雄人 田中 みなみ
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.364, 2020 (Released:2020-08-27)

2011 年 3 月 11 日 , 我か゛国は突如訪れた東日本大震災により 1 万 5000 人もの死者を出した . このような惨事を 招いてしまった要因の一つとして逃け゛遅れか゛考えられる . 災害か゛発生してから避難まて゛をスムース゛に行えること か゛被害を減らすことに繋か゛ると考えた .;本研究て゛は , 災害発生時に危険を伝える警報音に焦点を当てた . 音には感情そして人間の行動に影響を与える 効果か゛あるため,警報音の改善により被害を軽減て゛きると考えたからて゛ある . また現在,警報音は作曲家の感性 に頼って作っている側面か゛あるため,警報音の科学的な研究は社会に対して有用性か゛ある .;;本研究は , 警報音の2音間の音程変化がもたらす影響を SD 法の感性調査を用いてイメージを調査し , 危険の伝 達に適した警報音の音程変化を提案することを目的とする . 被験者は 18 歳から 23 歳の男女を対象とした .
著者
山本 薫 長谷川 敦士
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.78, 2020 (Released:2020-08-27)

VUCAと呼ばれる現代社会では、正解や成功パターンを見つけるのは困難なため、個人が仕事・やりたいことを、自らの内発的動機に基づいて見つけていく必要がある。しかし現状、教育の場において、この内発的動機を引き出すメソッドやツールは、まだ確立されていない。教育分野におけるこうした課題解決に活用できるのが、アート思考であると考える。アート思考の本質は、個人が心の中に持っている興味・関心、すなわち内発的な動機だからである。本論ではアート思考を教育的な視点で捉え、アート思考の根底にある内発的動機を身につけるための、具体的メソッドについて論じる。
著者
備前 比呂 吉田 美乃里 神部 真音 川合 康央
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.238, 2020 (Released:2020-08-27)

足長の適正サイズと自称サイズの一致度は、男性約41%、女性約32%という研究結果が出ている。また、子どもの足の成長は著しく、適正サイズではない靴を履くことによって、けがの要因や成長の妨げになってしまう。そのため、通販サイトで靴の購入を行う際に、適正サイズではない靴を購入してしまい、足の変形の恐れがある。;;拡張現実で試着をするために、3パターンの足の型を基に、使用者の足のサイズを投影することで可能としている。試着状況を色で表現することで、視覚的に判断することが可能であり、利用することで使用者の適正サイズを認識することができる。しかし、サイズの測定を行う部分にて、ARマーカーを使用者の手で設置することで数値に誤差が出てしまう。そのため、画像認識を用いることで自動化を図ることで誤差を防ぐことが必要である。
著者
柿山 浩一郎 安齋 利典
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.106, 2020 (Released:2020-08-27)

本稿は、同タイトル:「BtoB企業に対するUXワークショプの試行-01」の続報である。;BtoB企業を対象にした、全4回のUXワークショップの実践報告であり、第1回、第4回の内容と、本試み全体の評価に関して述べる。; 特に第1回では、コンジョイント分析を活用したユーザーのメンタルモデル認識体験を行なった。また第4回では、カードソーティング法を用いたUXデザイン体験の試みを行なった。; 受講前後のアンケート結果から、本ワークショップを受講した受講者には、教育効果があったと結論付けた。
著者
石黒 大洋
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.250, 2020 (Released:2020-08-27)

今日、世界の有力企業では、デザインを活用した経営手法への関心が高まっているが、多くの企業では、いまだにデザインの考え方や手法を自社の戦略に十分に活用できていない。大企業よりも経営資源に劣る中小企業では尚更である。中小企業においても、多様化・高度化する社会や顧客のニーズに応えるためには、デザインの戦略的な活用が重要なテーマとなっていることに変わりはない。行政や商工会議所などにおいても、中小企業が経営にデザインを活用できるよう、関連研究・技術支援や支援ツール開発、各種の研修事業など、デザイン振興に関わる様々な取り組みを展開しているが、期待される程の効果は出ていない。経営資源が限られ、多くの経営課題を抱える中小企業では、デザインの活用を特定領域における施策として推進するのではなく、経営戦略の一環としてデザインマネジメントを取り入れた戦略を推進することが有効であると考える。本稿では、企業の経営戦略の形成と実行においてデザインが果たす役割を整理し、中小企業事業者の実践知を経営戦略におけるデザインの役割に当てはめることで、戦略的デザインマネジメントの方法論について考察したので、その概要を報告する。