著者
小林 健介 堀井 英雄 石神 努 千葉 猛美
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.56-65, 1985-01-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

A sensitivity analysis of thermal hydraulic response in containment during a 'station blackout' (the loss of all AC power) accident at Browns Ferry unit one plant was performed with the computer code MARCH 1.0. In the analysis, the plant station batteries were assumed to be available for 4h after the initiation of the accident. The thermal hydraulic response in the containment was calculated by varying several input data for MARCH 1.0 independently and the deviation among calculated results were investigated.The sensitivity analysis showed that (a) the containment would fail due to the overtemperature without any operator actions for plant recovery, which would be strongly dependent on the model of the debris-concrete interaction and the input parameters for specifying the containment failure modes in MARCH 1.0, (b) a core melting temperature and an amount of water left in a primary system at the end of the meltdown were identified as important parameters which influenced the time of the containment failure, and (c) experimental works regarding the parameters mentioned above could be recommended.
著者
若林 二郎 森 寿久 住田 侑 石井 一典 川太 徳夫 飯島 隆
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.913-923, 1986-10-30 (Released:2010-01-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1 2

原子力発電所の運転形態を従来の基底負荷運転から負荷追従運転も含んだ形に拡大していく必要が高まりつつある。電力系統の負荷は季節変化,日変化,さらにより小さな時間スケールの変動成分よりなる複雑な変化を示し,それに対応して原子力発電所を運転するには新しい制御方策の導入と複数種の制御手段の有機的な統合利用が必要となる。本稿では,現在盛んに開発が進められているこの種技術の実情について、BWR,PWR,ATRの各炉型ごとに要約して紹介する
著者
篠原 慶邦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.28, no.8, pp.695-700, 1986-08-30 (Released:2009-07-09)
参考文献数
11

ソ連独特のチャンネル型ウラン黒鉛炉RBMK-1000は,減速材の黒鉛ブロック,圧力管型の約1,700本の燃料チャンネル,約180本の制御棒チャンネル等で炉心が構成され,冷却材は沸騰軽水である。炉心が大型で,反応度の気泡係数や減速材温度係数が正となるため,出力分布制御等の問題が重要である。燃料は原子炉運転中に交換できる。本稿では,この型の原子炉の開発の流れ,主要構造,制御安全保護系および工学的安全系の概要について述べる。
著者
小松 賢志
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.940-945, 1998-12-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
4

核融合実験炉建設計画に際して,トリチウム人体影響の推定が社会的な大きな関心を集めている。トリチウムによる人体影響を推定するには,原爆被爆者などγ線による人体障害とトリチウム生物実験により求められたRBEから推定しなければならない。現在までにトリチウムRBEに関しては膨大なデータが集積されているが,このうち発癌についてはRBE=2が妥当と思われる。これによれば, 1.4×108Bq (3.7mCi)のトリチウム摂取により1万人に1人の発癌リスクの増加が予想される。一方,体外被曝のγ線と異なり,トリチウムは水素同位体として生体構成成分と結合し,長期間にわたって被曝を続ける可能性がある。特にトリチウムのDNA結合能は遺伝子損傷に直結する可能性を含んでいる。しかし,細胞内に存在するDNA修復機構によりDNA損傷の大部分が修復されるために, DNA結合型トリチウムによるリスクの増加は体外被曝γ線のわずか2倍程度と見なされること,また実験室内モデルエコシステム実験によれば,トリチウムは生物濃縮されないことが推論された。一方,トリチウムの低線量率効果としては賀田効果とホルミーシス効果が知られている。賀田効果が生じる実験条件は試験管内の作用に限られているが,ホルミーシス効果は多くの生物系で報告されており,そのリスク推定における重要性から,実験値の信頼性やその作用機序など低線量率効果について,今後さらに検討する必要がある。
著者
藤高 和信
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.880-884, 1993-10-30 (Released:2010-04-19)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1
著者
住田 健二
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.691-748, 2000-08-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
5

JCO臨界事故の発生から早くも1年が経過しようとしているが,この事故が与えた衝撃は原子力界全体を揺るがす大きなものであった。日本原子力学会においても,愛媛大学での「2000年春の年会」では多くの専門分野から多角的かつ熱心な討議がなされ,「原子力安全」調査専門委員会や各部会においても学会員の所属を超えた協力関係により,事故の経緯,原因および今後の対応についての解明や模索が続けられた。本「特集」では,これらの努力に基づいた現状での取りまとめを示すとともに,法律,保険など原子力分野以外の方にもご執筆いただき,JCO事故を教訓とした安全性研究への今後の取組みの方向性を考える上での一助となればと願う次第である。
著者
斯波 正誼 天野 文雄
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.23, no.10, pp.736-745, 1981-10-30 (Released:2009-04-21)
参考文献数
21

The report presents the summary of Stockholm Conference held on October 20-24, 1980 sponsored by IAEA, where current nuclear power plant safety issues were discussed.Some technical topics are reviewed that include (1) examining nuclear safety, (2) siting policy, (3) designing for safety, (4) operational safety, (5) emergency planning, and (6) risk assessment, small leak loss of coolant accidents.
著者
天野 治
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.759-765, 2006 (Released:2019-04-05)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

石油は1次エネルギーの40%を占め, われわれの生活を豊かなものにしている。ところが, われわれ人類は, 石油をこの50年で半分使いつつある。それも取り出しやすい, 経済的なものから使っている。残っているものは, 取り出すためにエネルギーがかかるものである。得られるエネルギーを取り出すためのエネルギーで除したものがEPR (energy profit ratio, エネルギー収支比) である。EPR=1はエネルギーを得るのと, 取り出すためのエネルギーが同じことを意味する。これは, 益がない。取り出すためのエネルギーとして, そのためにかかるすべての項目を可能な限り算定する。燃料の採掘, 輸送, 発電所の建設, 運転, 補修, 廃炉, 廃棄物処理・処分までを含む。EPRが高いことは, 石油の代替として有力な候補となる。 ウラン濃縮に遠心分離法を用いた原子力発電はEPRが高い。従来のガス拡散法はウラン濃縮に莫大なエネルギーが必要となり, 人力エネルギーを大幅に増加させるため, EPRは低くなる。EPRを高めるには, 出力エネルギーを増加させることも有効な方法である。具体的には, 稼働率を向上させること, 定格出力を上げることである。 風力発電や太陽光発電のEPRは高くはない。これは, 風の強さ, すなわち出力エネルギーが定格の60%以下と低いことと稼働率が低いことによる (風力は風が吹いている間, 太陽光は日中のみ)。LNGは気体であり, 輸送のために液化するエネルギーを費やすので, 石油火力や石炭に比べてEPRは低い。