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出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.5-35, 2020 (Released:2020-01-21)
著者
小椋 義俊
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.175-186, 2011 (Released:2011-09-28)
参考文献数
33

腸管出血性大腸菌(EHEC)は,出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群などの原因となる病原性大腸菌である。代表的なEHECであるO157については,2001年に全ゲノム配列が解読され,その後の解析でO157株間には有意なゲノム構造の多様性が存在することが明らかとなってきた。本研究では,その多様性を遺伝子レベルで詳細に解析し,病原遺伝子を含めた遺伝子レパートリーにも予想以上の多様性があることを明らかにした。また,O157以外の主要な血清型のEHEC(non-O157 EHEC)の全ゲノム配列を決定し,O157や他の大腸菌との全ゲノム比較解析を行うことにより,O157とnon-O157 EHECが異なる進化系統に属するにも関わらず,病原遺伝子を中心とした多くの遺伝子を共通に保持し,それらの共通遺伝子群の大部分はプロファージやプラスミドなどの可動性遺伝因子上にコードされていること,しかし,これらのファージやプラスミドは異なる由来を持つことなどを明らかにした。従って,O157とnon-O157 EHECは,それらの可動性遺伝因子群を介して類似した病原遺伝子セットを獲得することによって,それぞれEHECとして独立に進化(平行進化)してきたと考えられる。さらに,本研究では,腸管病原性大腸菌(EPEC)のゲノム解析を行い,代表的EPEC菌株が保有する病原遺伝子セットの全体像を明らかにした。
著者
倉田 祥一朗
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.389-395, 2005-05-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
53
被引用文献数
1

自然免疫は, 遺伝子の再編成に依存せずに多様な病原体を認識し, 感染防御反応を誘導する。ショウジョウバエの感染防御に働く Toll 受容体の哺乳動物ホモログとして, Toll 様受容体 (TLR) ファミリーが同定され, TLRファミリーが, 様々な細菌およびウイルス構成成分を認識することが明らかとなった。ところが, ショウジョウバエのToll 受容体は病原体の認識には関わらず, 病原体を認識する受容体は同定されていなかった。近年, ショウジョウバエの遺伝学的スクリーニングから, 細菌を認識する受容体としてペプチドグリカン認識タンパク質 (PGRP) ファミリーが同定された。PGRPファミリーには, ペプチドグリカンの細菌種による構造上の違いを識別し, 下流のシグナル伝達系を活性化する分子と, ペプチドグリカンを分解する分子とが存在する。ショウジョウバエ自然免疫におけるPGRPファミリーの役割を概説すると共に, 哺乳動物ホモログの機能を推察する。
著者
内山 竹彦
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.563-579, 2002-11-29 (Released:2009-02-19)
参考文献数
78
被引用文献数
2 2

私は, 細菌, 免疫, 細菌毒素, 臨床感染症等, 多くの研究分野の共同研究者とともに, 1980代半ばから, 病原性細菌が産生するスーパー抗原活性を持つ細菌毒素について解析を続け, 下記の事柄を明らかにしてきた。1) 黄色ブドウ球菌が産生するトキシック症候群 (toxic shock syndrome, TSS) 毒素 (TSS toxin-1, TSST-1) は強いT細胞活性化因子であり, 主要組織適合 (MHC) クラスII分子に結合してT細胞を活性化する。2) TSSの発症機序にTSST-1のT細胞活性化が関与する。3) 新生児TSS様発疹症 (NTED) がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) による新興感染症として出現した。4) 新生児T細胞のTSST-1応答性は, 成人T細胞と比較して極めて未熟性を示す。5) A群レンサ球菌毒素 SpeA (streptococcal pyrogenic exotoxinA) はスーパー抗原活性を持つ。6) Yersinia pseudotuberculosis 感染症の原因毒素として, スーパー抗原活性をもつ毒素 Y. pseudotuberculosis-derived mitogen (YPM) を産生する。
著者
山本 新吾
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.431-439, 2003-05-30 (Released:2009-02-19)
参考文献数
30
被引用文献数
2

大腸菌は単純性尿路感染症のなかでもっとも頻繁に同定される病原菌である。本研究は尿路病原性大腸菌における病原因子を研究することで, 尿路感染症の発症のメカニズムを解明し, 尿路感染症を起因とする敗血症や反復性尿路感染症の治療へ手がかりを見い出すこと, またこれら尿路感染症の診断に有用なツールの開発を目標とし, 以下の事項を報告した。1) P線毛, S線毛, Afa I, エアロバクチン, ヘモリジン, CNF1の各病原因子は健常人由来大腸菌と比較して有意に各疾患由来の尿路病原性大腸菌に高頻度に認めた。2) これらの病原因子を一度に調べる Multiplex PCRの開発により, 大量の尿路病原性大腸菌株の病原因子の保有の有無が高精度かつ簡便に調べることができるようになった。3)「直腸-会陰-尿道仮説」を証明し, 多くの病原因子を保有した尿路病原性大腸菌株が直腸に優位に存在することが尿路感染症の危険因子のひとつであることを示した。4) 新しい尿路病原因子 uropathogenic specific protein (USP) を発見し, USPが尿路感染症の成立に強く関与していることを示唆した。また, USPおよびその下流でモザイクを構成するOrfU1-3遺伝子を含む pathogenic island に5つの variants が存在することを明らかにした。
著者
秋葉 朝一郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.91-95, 1948-12-30 (Released:2011-06-17)
著者
中瀬 安清
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.631-643, 2003-11-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
86
著者
金ヶ崎 士朗
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.671-678, 1992-09-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
41
著者
永井 宏樹
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.379-386, 2010 (Released:2010-12-25)
参考文献数
59

病原細菌がヒトを初めとする宿主に病気を引き起こすためには,細菌から宿主細胞へ輸送される病原因子群と,そのための輸送システムが中心的な役割を果たす。そのような輸送システムのうち,毒素分泌・エフェクター輸送の両方に関わるIV型分泌系の研究は,近年飛躍的な進展を遂げている。本稿では,IV型分泌研究の最前線を紹介させていただきたい。
著者
柴田 健一郎
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.363-374, 2007-12-21

微生物の有するリポタンパク質(LP)がグラム陰性菌のリポ多糖体(LPS)と同様な種々の免疫生物学的活性を有し,その活性部位はN- 末端リポペプチド(LPT)部分であることは古くから知られていたが,Toll-like receptor(TLR)が発見されるまでその受容体は明らかにされていなかった。TLR 発見以来,LP ならびにLPS の認識機構が研究され,それぞれの認識にTLR2 ならびにTLR4 が重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また,LP の有する新たな免疫生物学的活性ならびにLP によるマクロファージ,樹状細胞等の活性化のメカニズムも分子レベルで明らかにされている。さらに,MHC分子に結合する抗原ペプチドをLPT化することにより,免疫原性が顕著に増加することも明らかにされ,新規ワクチンとしての研究もなされている。本稿では,微生物由来LP・LPTの生物活性ならびに自然免疫系による認識機構について最近の知見をもとに概説している。
著者
菅井 基行 杉中 秀壽
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.461-473, 1997-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
61

細菌は細胞壁の主要成分ペプチドグリカンを代謝する複数の溶菌酵素を産生している。これらの溶菌酵素はペプチドグリカンの代謝を介して細菌の分裂, 分離, 形態の維持など様々な細菌の生理に関わっていると考えられている。従来, 溶菌酵素研究は一種類の細菌が複数の酵素を産生し, また溶菌酵素の比活性が高く, 精製が難しい等の難点があった。しかし, 近年, 新しいアッセイ法の開発, 分子生物学的手法の進歩によって新たな展開が見られている。ブドウ球菌はペニシリンGをはじめとするβ-ラクタム剤によって溶菌することから, 比較的古くから溶菌酵素研究の材料に用いられてきた。本稿では特にブドウ球菌の溶菌酵素に絞り, 現在までに得られた知識について整理し解説を試みた。
著者
林 哲也
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.145-160, 2022 (Released:2022-11-22)
参考文献数
74

地球上には膨大な数の多様な細菌が存在し,各菌種は様々なレベルの菌種内多様性を示す。このような多様性が出現する背景には,細菌のもつ外来性遺伝子獲得能力の高さと多様な可動性遺伝因子の存在がある。私は最初に緑膿菌サイトトキシンの生化学・遺伝学的解析と本毒素遺伝子をコードするファージのゲノム解析に取り組むなかで,細菌の遺伝的多様性とファージなどの可動性遺伝因子に対する興味が大きく膨らむとともに,ゲノム解析の威力を実感し,これを契機に腸管出血性大腸菌をはじめとする様々な病原細菌,さらには人や動物の常在菌(叢),環境中の微生物集団などをゲノム解析の勃興から次世代シーケンサなどの開発による革命的なゲノム研究の進展という刺激的な流れの中で研究を進めてきた。本稿では,私が行なってきた様々な細菌のゲノム解析の中から,まず緑膿菌ファージに関連した解析と腸管出血性大腸菌関連の解析を紹介し,次に大腸菌などとは極めて対照的なリケッチア科のゲノムの解析,また非常に限られたゲノム変化を捉える必要のある院内感染のゲノム疫学や同一宿主内でのゲノム多様化の解析についても簡単に紹介する。
著者
野村 節三
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.393-416, 1997-04-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
194
被引用文献数
2 2

魚類の細菌性感染症は古くから欧米やわが国で主として病理学的, 細菌学的研究がなされ, 膨大な知見が蓄積されている。中でも, せっそう病菌, ビブリオ病菌, 鰭赤病菌, シュードモナス症菌およびカラムナリス病菌は広く世界的に分布し, 水産業にとって重要な病原菌である。近年, これら病原菌の病原因子の研究が始められ, 菌体内のリポ多糖や細胞表面タンパク質, 菌体外のプロテアーゼ, ロイコサイトリジン, ヘモリジン, エンテロトキシン, グリセロホスホリピド-コレステロール アシルトランスフェラーゼ (GCAT) あるいはホスホリパーゼその他の酵素の特性が解明されつつある。最近, とくにせっそう病菌では細胞表面タンパク質, リポ多糖, 菌体外細胞溶解毒素およびGCAT, ビブリオ病菌では外膜タンパク質, 菌体外プロテアーゼおよびヘモリジンがその病原性に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。ここではせっそう病菌, ビブリオ病菌およびカラムナリス病菌とそれらの病原因子についての研究の現状を述べた。
著者
大久保 幸枝 戸田 真佐子 原 征彦 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.509-514, 1991-03-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
10
被引用文献数
41 48

茶および茶から精製した(-)エピガロカテキンガレート(EGCg),テアフラビンジガレート(TF3)の白癬菌および酵母様真菌に対する抗菌・殺菌作用を検討した。茶エキス1.25%でTrichophyton mentagrophytesおよびT.rubrumの発育が阻止された。一方,EGCg 2.5mg/mlでは両菌の発育は阻止されなかった。しかし,TF3 0.5mg/mlでは両菌とも発育が阻止された。茶エキスの殺菌作用は濃度,接触時間に依存し,高濃度(5∼10%)で長時間(48∼72h)作用させると両菌に対して殺菌効果が認められた。EGCg 1mg/mlはTrichophytonに対して殺菌作用を示さないのに対してTF3 1mg/mlの場合,接触時間を長くすると殺菌効果が認められた。Candida albicansは茶エキス10%でも発育阻止はみられなかったが,Cryptococcus neoformansは茶エキス10%で菌数を減少させると抗菌作用が認められた。茶エキスはC.albicans, C. neoformansに対して72時間接触でも殺菌作用は示さなかった。
著者
戸田 真佐子 大久保 幸枝 大西 玲子 島村 忠勝
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.669-672, 1989-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
5
被引用文献数
55 53

We found that extracts of Japanese green tea leaves inhibited the growth of various bacteria causing diarrheal diseases. All tea samples tested showed antibacterial activity against Staphylococcus aureus, S. epidermidis, Vibrio cholerae O1, V. cholerae non O1. V. parahaemolyticus, V. mimicus, Campylobacter jejuni and Plesiomonas shigelloides. None of the tea samples had any effect on the growth of V. fluvialis, Aeromonas sobria, A. hydrophila, Pseudomonas aeruginosa, Salmonella enteritidis, enteroinvasive Escherichia coli, enterohemorrhagic E. coli, enteropathogenic E. coli, enterotoxigenic E. coli, Enterobacter cloacae or Yersinia enterocolitica. Salmonella and Shigella showed susceptibilities different depending on the kind of Japanese green tea. Japanese green tea showed also bactericidal activity over S. aureus, V. parahaemolyticus and even enteropathogenic E. coli which was not sensitive when tested by cup method. The bactericidal activity was shown even at the drinking concentration in daily life.