- 著者
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小山 孝一郎
児玉 哲哉
- 出版者
- 一般社団法人 日本航空宇宙学会
- 雑誌
- 日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.6, pp.178-184, 2017-06-05 (Released:2017-06-05)
- 参考文献数
- 21
日本の“ひのとり”,およびフランスの“DEMETER”衛星により得られた電子密度,米国の“DE-2”および“DMSP”衛星により得られた酸素原子イオン密度のデータ解析から見出された大きな地震(M>7)の前駆現象を紹介する.大きな地震発生数日前に見られることのある電離圏擾乱は,経度方向に約80度,緯度方向に約40度の広がりを持つ.電離圏の振る舞いは観測時の地方時,観測高度,震源の緯度,および震源からの距離により異なった様子を見せる.衛星高度が高い(高度300 km以上)と,震源上空で擾乱が見られるとは限らず,日本北部で発生した大きな地震では震源の北上空および磁気赤道上空の電離圏にも擾乱が観測された.震源の緯度,経度を同定するには,衛星高度は約300 km以下である必要がある.電離圏擾乱を引き起こす機構についてはいくつか提案されているが,ここでは大気力学との関連について簡単に議論する.地震により引き起こされた電離圏擾乱の機構を探るには,電子密度・温度測定器を搭載した複数個の超小型衛星とプラズマドリフト測定器などを搭載した小型衛星による観測計画が望まれる.