- 著者
-
小川 宣子
山中 なつみ
長屋 郁子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
- 巻号頁・発行日
- pp.4, 2004 (Released:2004-09-09)
(目的)洗米・浸漬・加熱といった炊飯過程におけるマグネシウムイオンの存在が、飯の性状に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした。(方法)米は平成14年度岐阜県産初霜(搗精度90%)を使用し、0.0006Nの塩化マグネシウム溶液(以下、Mg溶液)で炊飯した。米と同重量のMg溶液(25℃)で3回洗米し、米の重量の1.4倍量となるようにMg溶液を加えて25℃で1時間浸漬した後、間接式電気炊飯釜にて25分間加熱し10分間蒸らした飯(Mg飯)を試料とした。蒸留水を用い同様の条件で炊飯した飯(蒸留水飯)を対照とした。飯の性状について、加熱吸水率の測定、一粒法による硬さ,付着性,瞬間弾性率の物性測定、走査電子顕微鏡による表面構造の観察を行った。凍結切片をKMG-20-AM染色してマグネシウムの分布を調べ、さらに三点識別嗜好法による官能検査を行った。また、炊飯過程におけるマグネシウムイオンの存在が、飯の不溶性ペクチン量,水溶性ペクチン量に及ぼす影響を硫酸カルバゾール法により測定した。(結果)Mg飯の加熱吸水率は2.30倍で蒸留水飯の2.34倍に比べて有意(p<0.01)に低かった。Mg飯の硬さ1.48×105Pa、瞬間弾性率1.67×105Paは蒸留水飯に比べて有意(p<0.01)に高く、硬い飯であることが示され、官能検査の結果、Mg飯の硬さは好まれなかった。Mg飯の表面における網目構造の空洞が蒸留水飯に比べて小さかったことから、Mg飯が硬くなったのは吸水が不十分であったことが要因として推定できた。これはMg飯は蒸留水飯に比べて水溶性ペクチン量が少なかったことから、飯の表面部分に存在するマグネシウムによって、水溶性ペクチンが不溶性ペクチンとなり吸水を抑制した可能性が考えられた。