著者
越本 幸彦 石井 洋輔
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.78, no.11, pp.849-853, 2019-11-01

■チーム医療と秩序維持 「チーム医療」という言葉が浸透して久しいが,医療の高度化・複雑化に伴い,医療現場では,複数の専門医療技術者が,互いに連携・補完し合いながら,患者の状況に的確に対応した医療を提供している. 他方で,人の生命・身体を相手にする医療現場は,日夜,搬送されてくる重篤な傷病者や,容態が急変した患者への即応が求められる上,身体への侵襲行為を伴う医行為の性質上,一つの判断ミスや過誤は重篤な結果を招きかねないなど,精神的にも肉体的にも極めて緊張度が高い職場である.
著者
大磯 義一郎 井上 真智子
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.49-52, 2018-01-01

■医療事故当事者に対する考え方の変遷 医療安全の推進は,近年の医療界における最重要課題である.医療事故に対する考え方は,1999年に米国立科学アカデミー医学研究所が“To err is human”を発表した1)ことを契機にパラダイムシフトが起きた.すなわち,かつては医療事故の原因は,医療事故当事者個人の不注意や技術的な未熟さであると考えられていた.そのため,再発防止策は,当事者となった個人に対し,処罰や再教育をすることと考えられていた.しかし,当たり前のことではあるが,個人処罰を繰り返したところで医療現場の安全性の向上は得られるはずもなかった.その結果,現在では,医療事故の原因はシステムの脆弱性により一定の確率で発生するものと考えられるようになり,再発防止策としては,人は間違えることを前提に,人が間違えたとしても第三者に損害が発生しないようシステムの安全性を高めることと考えられるようになった(図1). そして,この医療安全におけるパラダイムシフトは,医療事故当事者に対する捉え方を大きく変えることとなった.すなわち,かつては,医療事故当事者は「被疑者」として取り扱われていたが,現在では,システムの脆弱性を明らかにした存在であり,他の誰もが経験しうることに遭遇したにすぎないと考えられるようになった.しかし,わが国では,いまだに個人に責任を負わせる風潮が根強く残っており,医療事故当事者は罰せられるべき罪人であるとする誤った姿勢で医療事故が取り扱われることが,しばしば見受けられる.その結果,わが国の医療安全の推進が大きく阻害されている.
著者
宮森 正
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.452, 1988-05-01

西日本を中心とした「新日本医療サービス」によるモグリ医療金融,病院乗っ取り事件はテレビなどで詳細な報道がなされているが,寒心なくして見られるものではなかった.この事件の直接の違法行為は,病院経営コンサルタント会社が,経営難に陥った医療機関の経営相談に応じて診療報酬を担保としてモグリ金融を行った貸金業規制法違反,出資法違反であるという. しかし,問題はこうした違法行為だけにとどまらない.戦慄すべきは,融資した病院に対し病院経営援助と称して事務長を派遣し,会社に対して手形を乱発させて更に負債を増加させ,ついには病院を乗っ取るという図式で,多くの病院が被害にあったことである.経営難に苦しむ病院長たちはやすやすとモグリ金融を受け入れ,事務長派遣をしてもらい彼らのくい物になっていたという.更に,身ぐるみ奪われ借金づけになった元院長を,医師不足にも悩む他のこうした経営難の病院に斡旋して働かせていたというのであるから恐れ入る.こうした徹底した乗っ取り工作により,十数か所の病院が経営権を握られていたという.借金の取り立てに悩んで自殺した院長もいたらしい.三面記事的で陳腐な事件かもしれないが,病院のおかれている状況の象徴のようで見過ごすことができなかった.
著者
小川 健比子
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.63-68, 1971-10-01

管内状況 通称茨城県医療連というのは,いわゆる厚生連と内容は同義である.ただし,‘協同病院’というのは茨城県独自のもので,水戸市に茨城県協同病院があって,県北農協の医療センターとなり,一方この新治協同病院が県南の基幹病院となっている.筑波学園都市25万の門戸として将来の発展を約束されている‘土浦’市に,名称を代替する案もあったが,‘新治’の市民や農民に対するイメージはきわめて強く,さたやみとなった. 設計中であった昭和43年6月現在の管内市町村人口および病院数および利川者調査の結果は,表1のとおりであるが,数量的に土浦市諸医療機関の中心的存在は決定的である.ただし土浦地区では,表2のように,新治協同病院が必ずしも中心的医療機関ではなく,他に国立霞ケ浦,東京医大霞ケ浦,東京医歯大付属霞ケ浦などの諸病院がある.それにもかかわらず,旧協同病院の位置が土浦駅の直前にあって,地域住民に親しまれていたが,特に病室などの老朽がはなはだしく,県南農民の基幹病院としての機の熟したのをみて,構想を新たにし,新敷地に一気に新築をみたものである.
著者
高橋泰
雑誌
病院
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.786-787, 2007
被引用文献数
1
著者
菊地 龍明 後藤 隆久 相馬 孝博
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.562-566, 2014-07-01

要旨 横浜市立大学附属病院で発生した医療事故に対して,医療安全管理室が中心となった院内での事故調査と,それに引き続き外部委員を加えた事故調査委員会による調査とが行われ,それぞれ報告書が作成された.後者の事故調査委員会では,ロンドン・プロトコルに基づき寄与要因の枠組みに沿って網羅的・系統的な分析を行った結果,より客観的な寄与要因の同定と対策立案が可能になった.さらに事故における本質的問題を定め,寄与要因との関連性を明確化したことにより,より具体的な対策案も示された.
著者
長田 祐記
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.546-547, 2015-08-01

調査概要 厚生労働省が主体となって行っている「人口動態調査」は,その名の通り日本国内における人口変動の実態を把握するための調査です.動態を扱うという意味で,静態データを扱う国勢調査と位置づけが異なります. 人口動態調査票には出生票,死亡票,死産票,婚姻票,ならびに離婚票の5種があり,市区町村がそれぞれの届出に基づき作成します.これらを保健所が取りまとめ,都道府県を介して,厚生労働省に送付するという流れでデータが集約されていきます.
著者
林 寛之
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.828-830, 2005-10
著者
高井 伸夫
出版者
医学書院
雑誌
病院 (ISSN:03852377)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.p530-538, 1995-06
被引用文献数
1