著者
国友 直人
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.2-16, 2013-04-01 (Released:2022-03-25)
参考文献数
12

2011.3.11 に発生した東日本大震災では災害の発生後に応急仮設住宅の建設問題がマスメディアなどで大きく取りあげられた.住宅供給サイドからの仮設住宅建設の経緯を振り返るとともに,将来に起きるかもしれない大災害への教訓と大災害に備えた住宅政策のあり方に関する提言をまとめた.また統計的極値論を利用した大規模災害のリスク評価及び大規模な災害への対応上への応用可能性も議論した.
著者
松島 斉 照山 博司
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.17-49, 2013-04-01 (Released:2022-03-25)
参考文献数
7

複数種財をオークションによって売却する状況について実験をおこなった結果を,効率性,売り手収入,入札者利益などの観点から説明する.2 財を2 入札者によって競う取引状況を,逐次一位価格入札,時計入札,VCGメカニズムについて比較し,アンケート調査もおこなった.各入札者は,相手の金銭的利得構造を知らないことを仮定して,代替的評価と補完的評価の様々な組み合わせについて実験した.アンケートによる意識調査とは対称的に,実験においては,VCGメカニズムはおおむね好結果であるが,時計入札は Exposure Problem の弊害が顕著であることを示した.
著者
Yoshiro MIWA
出版者
Graduate School of Economics, The University of Tokyo
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.33-77, 2013-10-01 (Released:2022-03-25)
参考文献数
31

For more than half a century, inventory investment has attracted wide attention as a major cause of shortterm macroeconomic fluctuations, and the mechanisms involved have been the focus of many major studies. Yet microeconomists and business people familiar with corporate behavior have frequently expressed misgivings about the enterprise.Using Japanese quarterly GDP inventory investment statistics both by commodity and by category, 1994~2010, I investigate the nature of quarterly inventory statistics and the inventory investment behavior, and draw two conclusions. First, statisticians estimate the quarterly statistics under severe time constraints, and their resulting figures incorporate seasonal variations which dominate the quarterly fluctuations. This fluctuation mostly disappears in annual data. Secondly, when I examine the inventory variation after the Lehman Shock in the autumn of 2008, I find neither a notable increase in inventory stock nor a long-run stock adjustment process. Given the size of this unforeseen exogenous shock, most observers expected a large inventory stock accumulation to follow. That the accumulation did not follow suggests that the focus on inventory variation may be misplaced.For inventory investment data estimation, Japan is an ideal OECD country, with generous statistics availability. The conclusions of this research, drawn from the quarterly GDP inventory statistics, will stimulate the interest both in the study of inventory data in other countries focusing on its estimation process and source statistics, and in the great variety of inventory investment. At the same time, the conclusions pose a grave implication not only for re-evaluation of the literature in inventory investment variations but also for other research topics in macroeconomics like monetary transmission mechanisms including “financial accelerator” theory.
著者
馬場 哲
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.2-22, 2018

<p>本稿は,1906~1907年に,議会の外部で繰り広げられたイギリス都市計画運動の展開過程とその特質を明らかにすることを課題とする.この運動についての研究は,田園都市協会(GCA)の活動に関心が集中する傾向があるが,他の様々な団体との協力と対抗のなかで運動が展開したことに注意する必要がある.1906年7月にバーミンガムのカウンシルで都市計画立法を求める決議が出されたのち,同年秋にさまざまな会議で開かれた.いくつかは都市自治体協会(AMC)主導のものであり,バーミンガムのカウンシル議員のJ・S・ネトルフォールドは,AMC理事会の委託を受けた都市計画法案のためのスキーム案の作成を主導した.ネトルフォールドは,全国住宅改良評議会(NHRC)が後援した10月27日のミッドランド会議でも議長を務めたが,これには『ドイツの範例』の著者T・C・ホースフォールやNHRC会長のW・トンプソンも出席していた.そして11月6日にトンプソン,ホースフォールら17名からなるNHRCの代表団が首相H・キャンベル=バナマンと地方行政庁(LGB)長官J・バーンズを訪問し,「住宅・都市計画改革の包括的プログラム」を提示した.また1907年8月7日にはAMC代表団が首相・LGB長官を再度訪問したが,その中心はネトルフォールドであった.そして10月25日に田園都市協会(GCA)が準備しロンドン市長が主催したギルドホール会議が開催され,関係機関や専門家団体の代表が250人以上参加したが,この会議にも,トンプソン,ホースフォール,ネトルフォールドはそろって参加した.イギリス都市計画運動は,この時点でNHRC,AMC,GCAが人的にも重なりながら連携してひとつのピークを迎えたとみることができる.また,この過程でNHRCとAMCは,GCA以上に重要な役割を果たしたと考えられる.ドイツ流の都市計画の重要な手段であった自治体による土地の購入について,ネトルフォールドはそれを都市計画から切り離すという現実的方針を提案するにいたったが,この点については異論もあった.しかし,参加者は全員一致で,政府が都市計画の法制化を約束することを歓迎する決議を出し,舞台は政府と議会に移った.こうして,イギリス最初の都市計画法である1909年住宅・都市計画等法成立への道が開かれることになった.</p>
著者
石原 俊時
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.2-54, 2020

<p>スウェーデン救貧連盟は,1918年の救貧法改革の実現に貢献した有力な圧力団体として注目されてきた.また,その児童福祉に関わる活動も,スウェーデンの児童福祉の発展に重要な役割を果たしたことが知られている.しかし,このように活動の一部に関心が集中する一方で,そもそもこの団体が如何なる課題をもち,どのような活動を展開したのかを検討する作業は十分行われてこなかった.そこで,本稿では,担った課題や活動の展開を万遍なく把握することを通じて,この団体の全体像を明らかにし,それによりこの団体がスウェーデン福祉国家の形成に果たした歴史的役割を解明することを試みることとする.この第5部では,児童福祉をめぐる諸活動の展開を,24年の社会的児童福祉法成立に至る児童福祉諸立法の制定に関らせながら見ていくこととする.また,最後に論文の締めくくりとして,この団体の歴史的意義について検討することとする.</p>
著者
石原 俊時
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.23-62, 2018-04-01 (Released:2019-12-30)
参考文献数
14

スウェーデン救貧連盟は,1918年の救貧法改革の実現に貢献した有力な圧力団体として注目されてきた.また,その児童福祉に関わる活動も,スウェーデンの児童福祉の発展に重要な役割を果たしたことが知られている.しかし,このように活動の一部に関心が集中する一方で,そもそもこの団体が如何なる課題をもち,どのような活動を展開したのかを検討する作業は十分行われてこなかった.そこで,本稿では,担った課題や活動の展開を万遍なく把握することを通じて,この団体の全体像を明らかにし,それによりこの団体がスウェーデン福祉国家の形成に果たした歴史的役割を解明することを試みることとする.この第4部では,1913年の国民年金の成立と1918年の救貧法改正に至る過程に,この団体がどのように関与し,結果としてそれが組織展開にどのように影響を与えたのかを検討する.
著者
石原 俊時
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.2-54, 2020-05-01 (Released:2020-09-01)
参考文献数
54

スウェーデン救貧連盟は,1918年の救貧法改革の実現に貢献した有力な圧力団体として注目されてきた.また,その児童福祉に関わる活動も,スウェーデンの児童福祉の発展に重要な役割を果たしたことが知られている.しかし,このように活動の一部に関心が集中する一方で,そもそもこの団体が如何なる課題をもち,どのような活動を展開したのかを検討する作業は十分行われてこなかった.そこで,本稿では,担った課題や活動の展開を万遍なく把握することを通じて,この団体の全体像を明らかにし,それによりこの団体がスウェーデン福祉国家の形成に果たした歴史的役割を解明することを試みることとする.この第5部では,児童福祉をめぐる諸活動の展開を,24年の社会的児童福祉法成立に至る児童福祉諸立法の制定に関らせながら見ていくこととする.また,最後に論文の締めくくりとして,この団体の歴史的意義について検討することとする.
著者
桑原 司
出版者
鹿児島大学
雑誌
経済学論集 (ISSN:03890104)
巻号頁・発行日
no.79, pp.19-32, 2012-10
著者
福井 貴也 高橋 明彦
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.2-40, 2017-07-01 (Released:2019-04-22)
参考文献数
15

本稿では,ニューラルネットワークを用いた深層学習に基づく投資手法を考察する.特に,損失関数の特定化により様々な投資手法を構築できることに着目し,その例として,資産リターン(収益率)の時系列を入力し,教師付き深層学習(Supervised Deep Learning, SL)によるアノマリー検出を投資判断に活用する手法と,収益最大化に基づく投資判断を深層強化学習(Deep Reinforcement Learning, RL)により求める方法を示す.また,各資産のリターンに関する学習結果を,複数資産を対象とするポートフォリオ運用についても活用する.さらに,現実の市場データを用いた検証を行い,対象資産が同じであっても,月次/日次リターン等の入力データの種類,学習手法の選択,投資期間中の再学習の有無,ネットワークの層数,中間層のユニット数等の外生的に設定する項目により投資パフォーマンスが大きく異なることを例示する.なかでも,RLに基づく投資判断が,ポートフォリオ運用において相対的には安定して良好なパフォーマンスを示すことが明らかとなる.
著者
石原 俊時
出版者
東京大学経済学会
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.63-82, 2012-04

特集 : フィランスロピーの国際比較 : 公と私の間でSpecial Issue : An International Comparison Study on Philanthropy : Between Public and Private Spheres