著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.
著者
吉池 俊貴 庄司 りか 助友 文香 對月 沙織 西川 忠宏 菊川 裕也 王 丹青 馬場 哲晃 串山 久美子
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.10, pp.1-6, 2011-08-23

著者らはマスクや仮面,フルフェイスヘルメット,着ぐるみ等使用した際に顔面の動きを非接触にて計測しインタフェースとして利用可能なセンシング技術の開発を行っている.これまで,マスク型のオブジェクトにフォトリフレクタを多点配置する事で,非接触にて顔面の動きを計測する事ができた.顔面の動きは主に口,目,眉,頬の動きを計測している.本稿ではこの仕組みを利用して,顔面を入力としたインタフェースとして本機構がどのように利用可能かを提案する.We develop noncontact sensing technique to detect user's facial movement with a mask interface such that a mask, face guard, stuffed animal suit and so on. Multiallocated photoreflectors on the mask type object measures user's facial movement with no touch. This interface mainly measure movement of user's mouth, eye, eyebrow and cheek. In this paper we research the possibility of this sensing technique and propose to develop a new mask interface which can detect user's facial movement with no touch.
著者
志水新 馬場哲晃 串山久美子 金石振
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HCI, ヒューマンコンピュータインタラクション研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-6, 2014-05-15

携帯電話,スマートフォンを初めタブレット端末等のパーソナルコンピュータは様々なユーザ層が利用するようになった.生活環境を取り巻く情報機器はユーザのライフスタイルに変化を生じさせている.このような背景の中,情報機器に必要なキーボードは元来プロのタイピストを対象に開発されたものであり,タイプライターにおける運用性やユーザエラーを考慮された入力設計方式では,習熟に長時間の練習が必要である.特に目の見えないユーザにとってその学習コストは一般ユーザよりも大きい.本研究では視覚障害者の中でも特に,キーボード初学者を対象とし,従来のキーボードや入力方式と比較し,学習コストの低いキーボードを開発することを目的とする.本稿では,プロトタイピングを通じ,入力方式の検証とユーザ体験の観察について報告する.開発したキーボードは 10 個の皮膜式ポテンショーメータを有し,50 音の平仮名入力が可能となる.その機能が視覚障害者にとってシンプルなプロセスで学習ができ,必要最低限の機能を有したキーボードであることをユーザ観察及びインタビューにより確認した.
著者
馬場 哲晃 牛尼剛聡 富松 潔
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2978-2988, 2009-12-15
被引用文献数
1

本論文では身体接触行動をゲームインタフェースに利用したビデオゲームシステムの実装を行い,2年間にわたる展示活動によるユーザ意見と観察結果を報告する.本研究はこれまで身体接触を電子楽器インタフェースに利用した事例を扱ってきた.その過程で開発したセンシングモジュールを本論文ではビデオゲームコントローラデバイスに実装した.シューティングゲーム,リズムアクションゲーム,対戦格闘ゲーム,アクションアドベンチャゲームの計4種類のゲームソフトウェアを制作し,展示活動から各ゲームシステムごとに得られた意見・観察結果をまとめる.展示活動結果から次回プロトタイプを制作するうえで多くの知見を得ることができ,身体接触行動独特の親密感をゲームを通して楽しむための基本的な仕組みを提案できた.In this paper, we describe implementation of a game interface and system that enables users to use touching as an interface, then report the result of user observation for two years exhibition activities. We developed sensing modules and applications for musical instrument that uses touching as an interface. We implemented its sensing module to video game controller device, and developed 4 types of video game software: shootin'em up, rhythm action, battle and action adventure. Through exhibition activities, we collect the result of user observations and advices from users. In order to make next prototype system, we could get much knowledge about touch behavior interface. As a result, we could propose the basic structure of a game system that users can feel intimate through video games.
著者
馬場 哲生
出版者
東京学芸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

大学生を対象として速聴タスクの効果を検証した。学習内容としては英語の音声変化を取り上げ、タスクとしては音声識別の可否を詳細に判定出来る書き取りを用いた。各被験者の使用したマテリアルは、2枚のCD-R、27頁の問題タスク冊子(7日分)、9頁の解答用紙からなる。前半の3日間が弱形・同化・連結などの性質を持つ音声素材(1日約30分)による学習であり、後半の3日間が各種リダクションを扱ったより高難易度の音声素材(1日約40分)による学習である。調査は、1)プリテスト→2)6日間のリスニング学習→3)7日目のポストテスト、からなる。前半の3日間におけるタスクは、「a)書き取りテスト⇒b)学習タスク⇒c)書き取りテスト⇒d)学習タスク⇒e)書き取りテスト」を1セットとした。後半の3日間は、「a)書き取りテスト1⇒b)学習タスク1⇒c)書き取りテスト1⇒d)書き取りテスト2⇒e)学習タスク2⇒f)書き取りテスト2」を1セットとした。学習タスクは、実験群においては、「i)スクリプトを見ながら通常スピード音声の口頭反復→ii)スクリプトを見ながら1.5倍速の口頭反復→iii)スクリプトを見ないで1.5倍速のリスニング→iv)スクリプトを見ながら2倍速の口頭反復→v)スクリプトを見ないで2倍速のリスニング」を1セットとした。統制群においては、タスクはすべて通常スピードであり、「i)スクリプトを見ないでリスニング→ii)スクリプトを見ながら口頭反復→iii)スクリプトを見ないで口頭反復→iv)スクリプトを見ながらシャドーイング」を1セットとした。タスク前後の書き取りのパフォーマンスを実験群・統制群で比較することによって、学習の効果を検証した。実験群の明確な優位性は認められず、速聴は比較的効果の実感されやすい学習直後の音声認識においても必ずしも有用であるとは言えないことが示唆された。
著者
本多 達也 馬場 哲晃 岡本 誠
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.254-265, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
32

The manufacturing domain based on digital fabrication has attracted significant attention to create a diverse society. It has made it possible to realize “manufacturing for each individual and products for people close to them, ” which has been difficult toachieve with conventional mass products. Ontenna is an accessorydevice that provides a tactile and visual feedback of various sound information to the user. A condenser microphone mounted on the main body of Ontenna acquires the sound pressure and drives the vibration motor and light emitting diode in real-time according to the input signal. At present, 88 out of 102 schools belonging to the National Association of School Principals for the Deaf have installed the system. It is currently used for speech and rhythm education. We have developed a system that can change the color of the LEDs and the strength of the motor in Ontenna through programming. Additionally, we have made the system freely available to schools for the deaf and other educational institutions. We created an environment where children with hearing-impairment can overcome the obstacles they face at school by programming Ontenna themselves. In this study, we describe the development of the Ontenna programming function and our instructional plan created with teachers at a school for the deaf. We report the educational content (such as class slides and worksheets) that weredeveloped based on the plan. Finally, we present the results of the questionnaire survey and the experience diary conducted for schools that have implemented the Ontenna programming education environment. The results of the survey confirmed the advantages of Ontenna programming for education and its potential application to various other educational institutions.
著者
馬場 哲
出版者
東京大学大学院経済学研究科
雑誌
経済学論集 (ISSN:00229768)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.2-22, 2018

<p>本稿は,1906~1907年に,議会の外部で繰り広げられたイギリス都市計画運動の展開過程とその特質を明らかにすることを課題とする.この運動についての研究は,田園都市協会(GCA)の活動に関心が集中する傾向があるが,他の様々な団体との協力と対抗のなかで運動が展開したことに注意する必要がある.1906年7月にバーミンガムのカウンシルで都市計画立法を求める決議が出されたのち,同年秋にさまざまな会議で開かれた.いくつかは都市自治体協会(AMC)主導のものであり,バーミンガムのカウンシル議員のJ・S・ネトルフォールドは,AMC理事会の委託を受けた都市計画法案のためのスキーム案の作成を主導した.ネトルフォールドは,全国住宅改良評議会(NHRC)が後援した10月27日のミッドランド会議でも議長を務めたが,これには『ドイツの範例』の著者T・C・ホースフォールやNHRC会長のW・トンプソンも出席していた.そして11月6日にトンプソン,ホースフォールら17名からなるNHRCの代表団が首相H・キャンベル=バナマンと地方行政庁(LGB)長官J・バーンズを訪問し,「住宅・都市計画改革の包括的プログラム」を提示した.また1907年8月7日にはAMC代表団が首相・LGB長官を再度訪問したが,その中心はネトルフォールドであった.そして10月25日に田園都市協会(GCA)が準備しロンドン市長が主催したギルドホール会議が開催され,関係機関や専門家団体の代表が250人以上参加したが,この会議にも,トンプソン,ホースフォール,ネトルフォールドはそろって参加した.イギリス都市計画運動は,この時点でNHRC,AMC,GCAが人的にも重なりながら連携してひとつのピークを迎えたとみることができる.また,この過程でNHRCとAMCは,GCA以上に重要な役割を果たしたと考えられる.ドイツ流の都市計画の重要な手段であった自治体による土地の購入について,ネトルフォールドはそれを都市計画から切り離すという現実的方針を提案するにいたったが,この点については異論もあった.しかし,参加者は全員一致で,政府が都市計画の法制化を約束することを歓迎する決議を出し,舞台は政府と議会に移った.こうして,イギリス最初の都市計画法である1909年住宅・都市計画等法成立への道が開かれることになった.</p>
著者
木戸 秀和 橋爪 絢子 馬場 哲晃 榛葉 俊一 松井 岳巳
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.1-8, 2015-12-23 (Released:2017-08-17)

自律神経の活動度を表す心拍変動指標(HRV)から,ストレス状態などの推定ができるといわれている.本研究は日常的なストレス管理を目的に,普及率の高いスマートフォンのカメラ機能を使って脈波計測ができ,HRVを算出できるシステムを開発した.本論では,2つの検証実験から,その実用性を評価した.まず,室内照明条件下(600lx)で,開発したシステムを用いた脈波の計測,およびHRVの算出を行い,心電図計測によって算出したHRVと比較した.次に,室内照明以外の光条件(0.2lx, 15000lx, 50000lx)で脈波を計測し,HRVを算出できるかを検証した.検証実験の結果,50000lx以外の光条件では,システムと心電図でのHRVの算出結果に強い相関が認められた(LF:r=1.0, HF:r=0.99, p<0.05).
著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.In this paper, we propose a system that enables non-singing people in karaoke to enjoy the karaoke by supporting their tambourine performance. In karaoke, it is often difficult for non-singing people to enjoy the songs being sung when they do not know the songs. This is because they do not find how to enlive the singing of such unknown songs and accordingly they cannot do anything other than listening to them. Here, we focus on the tambourine, which is provided in most karaoke spaces in Japan. Our system automatically generates the tambourine part of a singing song and instructs how a non-singing person plays the tambourine. The system feeds back how correct the user's performance is through the display in a common music game style. However, if only one person is enabled to play the tambourine, only he/she may enjoy to play the tambourine, accordingly causing a different result from our goal that both singing and non-singing people enjoy karaoke together. We therefore imporve the system so that all participants including singing one join in the tambourine performance. The results of experiments in an actual karaoke space imply the following possibilities: (I) Our system avoids monotonous tambourine performance. (II) It makes it easier to play the tambourine for songs that the player does not know. (III) Playing the tambourine together with all participants is effective to improve a sense of unity. On the other hand, we found the following issues: (i) Our system sometimes generates tambourine scores that are difficult to play in accurate rhythm, and it makes singing difficult. (ii) The tambourine somtimes sounds too loudly. (iii) It is sometimes difficult for singers to play the tambourine while singing.
著者
東藤 絵美 吉池 俊貴 馬場 哲晃 串山 久美子
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.11, pp.1-6, 2012-05-07

遊び手が人形を動かさなくとも,ドールハウス内の人形が動いている映像や CM はよく知られている.しかし市販のドールハウス人形は,遊び手が人形を動かす必要がある.本研究では,ドールハウスに人形を置くだけで自動に人形が動くことを目標とし,設計条件として①人形の外観を損ねない/②電池を必要としない/③スイッチで ON・OFF 操作を必要としない,の 3 点を掲げた.設計条件の解決の為に非接触給電技術を用いてプロトタイプ制作を行うことで,より使い勝手のよい人形遊びを提案し,上記の人形設計の条件を満たす人形とドールハウスの土台の制作を実現した.また,本稿では非接触給電を用いた音楽シーケンサタイプのアプリケーションについても提案する.給電デバイスの最適な位置に受電デバイスを置くだけで,電力が供給され,ソレノイドアクチュエータを動かし鉄琴の音板を鳴らすシーケンサタイプの楽器を提案する.We can watch a TV commercial that the doll in a dollhouse is moving automatically. However, in fact, those dolls do not run automatically, so we need to put and move dolls if we want to move those. In this paper, we aim at realizing that the doll itself moves automatically like a TV commercial, when we put dolls on the dollhouse. We impose following three conditions, when we design doll. (1) Not spoil an appearance of a doll (2) Not use a battery (3) Not use an ON-OFF operation. We made the prototype, using "Contactless power transmission" as technology which fulfills the above conditions. Moreover, we propose a music sequencer used contactless power transmission. If we put a receiving device on an electric supply device, electric power will be supplied to it. Then, a solenoid actuator strikes glockenspiel. We can play music using this device.
著者
中西恭介 山口隆 卯田駿介 角谷亮祐 尹玄玄 倉知尚貴 馬場哲晃 串山久美子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.10, pp.1-3, 2013-12-16

Music Puzzle はスライドパズルブロックを音楽シーケンサの各ブロックに見立てることで,視覚と聴覚を同時に利用してパズルを解くゲームアプリケーションである.パズルブロックにメロディやリズムを割り当てることで,ブロックをスライドして動かすたびに,絵柄だけでなく自動で音楽も変化してループ演奏される.ブロックに描かれている画像だけでなく,演奏されるメロディの違いを攻略のヒントにすることができる.