著者
今岡 春樹 増田 智恵
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.37, no.8, pp.422-429, 1996-08-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
5

衣服構成の目的は, 布という単純な面で人体という複雑な面を覆うことである.この目的から考えると, ある面が平面に展開できるかどうかが重要で, それはガウスの曲率で定義することができる.もし面の至る所でガウスの曲率がゼロであれば, 可展面と呼ばれる.このガウスの曲率に関して, 曲面内のガウスの曲率の総和と境界線上の測地的曲率の総和を加えたものは, 2π×オイラー標数と等しいというガウス-ボネの定理がある.本論文では, この定理を衣服構成の立場で議論する.特に, 裁断と縫合という技術はガウスの曲率と測地的曲率の変化と捉えることが出来る.この定理は一種の角度保存則と考えられるので, 角度の配分という考え方を導入することができる.この考え方をより明確にするために, 縫合の前後で各曲率がどの様に変化するかを示し, この関係を縫合の式と呼ぶことにする.角度の配分という考え方と縫合の式は衣服構成にとって有益であると考える.
著者
杉尾 孝 川添 大輔 清水 明彦 神野 寧 横山 昭一 嘉久 和孝 本田 公康 佐野 光宏 中川 英明 馬場 雅浩 久保 次雄 坂本 尚希
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.102-109, 2007

当社は, 現在, 「エコも, 使いやすさも」をコンセプトに商品を提供している.すなわち, 「環境・家計にやさしい」, かつユニバーサルデザイン (Universal Design: UD) として, 「使う人に優しい」商品の開発・販売に取り組んでいる.このような背景の中で, 筆者らは, フィルター掃除の自動化に取り組み, 世界初「フィルターお掃除ロボット」搭載エアコンを開発し, 市場から高い評価を得た.今回, UDの更なる進化として, 新開発の空気清浄ユニット, 除菌熱交換器, 脱臭フィルターを「フィルターお掃除ロボット」と組み合わせることで, 従来, 半年ごと (脱臭フィルター) や3年ごと (空気清浄ユニット) に必要としていたお手入れや, 熱交換器クリーニングなどのメンテナンスを不要とした「10年間手間なしで清潔・省エネ・パワフルなメンテナンスフリーエアコン」を開発した.
著者
川上 梅
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.397-408, 2007

身体プロポーションの年代差は従来から指摘されてきたことではあるが, 近年の若年女子は中高年女子よりも著しく高身長である.このため, 身長に対するプロポーションの年代差には, (1) 同一身長で比較したプロポーションの年代差だけではなく, (2) 身長の差異による影響が含まれていると考えられる.そこで, 20代から90代までの成人女子の身体計測データ (人間生活工学研究センター, 1992-1994年計測<SUP>1) </SUP> ) を使用して, 前面からみたプロポーションを表す身長に対する各身体計測値の割合を算出し, 身長一括グループの場合の年代変化, および同年代を身長グループで分類した場合, つまり年代別身長グループ別のこれらの割合の変化を検討した.年代区分は20代から60代までは10歳毎, 70-90歳は一括とし, 身長グループ区分は5cm毎とした.この結果, 多くのプロポーションが身長と密接に関係することが確認できた.また, 身長一括の年代別平均値の比較では, 隣接する多くの年代間で有意差が認められ, 年齢が若くなる程高身長に伴うプロポーションになると解釈される結果が得られたが, 身長グループ別の年代別平均値の比較では, 隣接する年代間の有意差は減少し, 同一身長であれば年代差が認められないプロポーションも多いことが明らかになった.<BR>同一身長で比較しても隣接する年代間で有意差が認められ, プロポーション自体の年代差が存在すると考えられたものとしては, 20代は30代よりも, 比股下高および比前ウエスト高が大きく, 比ヒップ幅が小さいことから, 長脚でウエストが高いとともに下半身がほっそりとしていることなどが明らかになった.ただし, 20代の身長160cm以上では比股下高は横ばいとなったことから, 長脚化に歯止めがかかるものと考えられる.また, 同一身長で比較すると, 小顔化は徐々に生じている年代変化ではなく, 比全頭高は身長145-150cmでは50代以下で, 155-160cmでは60代以下で小さいというステップ状の年代変化を示すことが確認できた.また頭部の幅である比耳珠間幅の平均値は, 年齢に関係なく身長に対してほぼ線形に変化し, 隣接する年代間では差が認められなかった.一方, 顔面の幅である比下顎角幅は身長145-160cmの広範囲において50代以下では顕著に小さいことが明らかになった.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.416-424, 2004-06-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
13

ブラジャー内の乳房の3次元偏位特性はほとんど知られていないが, 機能的なブラジャーをデザインするためには不可欠である.本研究では, 3次元計測器で測定したブラジャー着用前後の左胸25点の座標値から位置変化を求めた.被験者は22~24歳の成人女性7名である.実験試料は3種類の市販のブラジャーで, Type1は下カップにワイヤーのあるフルカップブラジャー, Type2はボーン部に柔らかいワイヤーがあるフルカップブラジャー, そしてType3はスポーツブラジャーである.実験試料は, ブラジャーのカップ部の装飾を衣服圧に影響を及ぼさないと確認後に削除して用いた.まず, 測定した座標点の偏位量を算出しTypeの違いを明らかにした.Typeの違いは垂直方向ではなく, 左右方向の偏位量の大小や, 前後方向の偏位に見られた.次に測定点の違いが, 乳房の柔らかい前腋点方向や体側側の領域の偏位量が正中線側より顕著であること, 正中線側では内輪の偏位量が最大を示すが, 体側側では外輪であることを明らかにした.偏位量は乳房形状や硬さの特性に依存する面が大きく個人差が認められた.今後は被験者のパラメータを類型化して検討を行いたい.
著者
水梨 サワ子 宮川 キクヨ 松本 紀代子 庄司 光
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.323-328, 1972-08-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
3

寝具の着心地に対する項目別要求度を報告する.(1) 各寝具はそれぞれ特有の要求項目を持つ(2) 個々の寝具に要求される項目は, 性, 年令, 居住地域や就寝様式を問わず, きわめて類似している.(3) 着心地に関する各要求項目の要求度について夏しきぶとんと冬しきぶとんにおいて有意の相関が認められ, 年間を通じて要求項目にやや一致点がみられる.(4) またねまきについても, 上記 (3) と同様のことがいえる.
著者
岡部 和代 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.416-424, 2004

ブラジャー内の乳房の3次元偏位特性はほとんど知られていないが, 機能的なブラジャーをデザインするためには不可欠である.本研究では, 3次元計測器で測定したブラジャー着用前後の左胸25点の座標値から位置変化を求めた.被験者は22~24歳の成人女性7名である.実験試料は3種類の市販のブラジャーで, Type1は下カップにワイヤーのあるフルカップブラジャー, Type2はボーン部に柔らかいワイヤーがあるフルカップブラジャー, そしてType3はスポーツブラジャーである.実験試料は, ブラジャーのカップ部の装飾を衣服圧に影響を及ぼさないと確認後に削除して用いた.<BR>まず, 測定した座標点の偏位量を算出しTypeの違いを明らかにした.Typeの違いは垂直方向ではなく, 左右方向の偏位量の大小や, 前後方向の偏位に見られた.次に測定点の違いが, 乳房の柔らかい前腋点方向や体側側の領域の偏位量が正中線側より顕著であること, 正中線側では内輪の偏位量が最大を示すが, 体側側では外輪であることを明らかにした.偏位量は乳房形状や硬さの特性に依存する面が大きく個人差が認められた.今後は被験者のパラメータを類型化して検討を行いたい.
著者
伊藤 久美子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.732-741, 2007
被引用文献数
1

2004年春・2005年春・2005年秋発行のファッション雑誌の写真から, 12種の形容詞に該当する2色配色が, 36~53名の女子短大生によって選出された.12種の形容詞とは, 派手な, 地味な, スポーティ, エレガント, 緊張した, ゆるんだ, ゴージャス, シンプル, 好きな, 嫌いな, 調和, 不調和である.その結果, 無彩色と有彩色の2色配色は, 選択された配色全体の46%を占めた.評価が高かった無彩色は, 殆どが白と黒であった.各形容詞から選ばれた各配色の明度差・彩度差が, 明度差を常に0以上として縦軸にとったとき, 彩度差を横軸で示すよう, 図上にプロットされた.この図示された結果を符号検定したところ, ゆるんだ, シンプルと判断された2色配色は, 明度差・彩度差の方向が同じである第一象限より, それらの方向が異なる第二象限の方にしばしば偏るという, 統計的に有意な傾向を示した.
著者
尾田 貴子 橋本 幸子 柏尾 眞津子 土肥 伊都子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.700-709, 2003-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

本研究は, 以下の2つを目的とし, 女子大学生およびその母, 216名 (女子大学生109名, 母107名) を対象に質問紙調査を行なった.1) 「おしゃれ行動の二面性」 (橋本・柏尾, 2003) の構成概念妥当性を検討するために, 内面的・外面的おしゃれと被服・化粧行動との関連性を検討する.2) 内面的・外面的おしゃれと心理的健康の関係, および, 年齢を重ねてからのおしゃれについての価値観と心理的健康の関係についても検討する.さらに, 1) 2) について世代間比較を行なった.分析の結果, おしゃれの二面性概念の妥当性が確認された.世代間の比較では, 外面的おしゃれは娘世代, 内面的おしゃれは母世代が一層行なっていた.また, 娘世代では, 外面的おしゃれと「対自己の健康」とに正の相関関係, 内面的おしゃれと「対他者の不健康」とに負の相関関係が認められた.母世代では, 内面的おしゃれのみ, 「対自己の不健康」, 「対他者の不健康」と有意な負の相関関係が認められた.年齢を重ねてからのおしゃれに対する価値づけについては, 娘世代では外面的におしゃれなほど, 母世代では内面的におしゃれなほど, 高かった.
著者
河合 敬一
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.467-473, 2004-07-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
36
被引用文献数
1