- 著者
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川上 梅
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.6, pp.397-408, 2007
身体プロポーションの年代差は従来から指摘されてきたことではあるが, 近年の若年女子は中高年女子よりも著しく高身長である.このため, 身長に対するプロポーションの年代差には, (1) 同一身長で比較したプロポーションの年代差だけではなく, (2) 身長の差異による影響が含まれていると考えられる.そこで, 20代から90代までの成人女子の身体計測データ (人間生活工学研究センター, 1992-1994年計測<SUP>1) </SUP> ) を使用して, 前面からみたプロポーションを表す身長に対する各身体計測値の割合を算出し, 身長一括グループの場合の年代変化, および同年代を身長グループで分類した場合, つまり年代別身長グループ別のこれらの割合の変化を検討した.年代区分は20代から60代までは10歳毎, 70-90歳は一括とし, 身長グループ区分は5cm毎とした.この結果, 多くのプロポーションが身長と密接に関係することが確認できた.また, 身長一括の年代別平均値の比較では, 隣接する多くの年代間で有意差が認められ, 年齢が若くなる程高身長に伴うプロポーションになると解釈される結果が得られたが, 身長グループ別の年代別平均値の比較では, 隣接する年代間の有意差は減少し, 同一身長であれば年代差が認められないプロポーションも多いことが明らかになった.<BR>同一身長で比較しても隣接する年代間で有意差が認められ, プロポーション自体の年代差が存在すると考えられたものとしては, 20代は30代よりも, 比股下高および比前ウエスト高が大きく, 比ヒップ幅が小さいことから, 長脚でウエストが高いとともに下半身がほっそりとしていることなどが明らかになった.ただし, 20代の身長160cm以上では比股下高は横ばいとなったことから, 長脚化に歯止めがかかるものと考えられる.また, 同一身長で比較すると, 小顔化は徐々に生じている年代変化ではなく, 比全頭高は身長145-150cmでは50代以下で, 155-160cmでは60代以下で小さいというステップ状の年代変化を示すことが確認できた.また頭部の幅である比耳珠間幅の平均値は, 年齢に関係なく身長に対してほぼ線形に変化し, 隣接する年代間では差が認められなかった.一方, 顔面の幅である比下顎角幅は身長145-160cmの広範囲において50代以下では顕著に小さいことが明らかになった.