- 著者
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土肥 伊都子
- 出版者
- 公益社団法人 日本心理学会
- 雑誌
- 日本心理学会大会発表論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.84, pp.PS-002-PS-002, 2020
<p>土肥(2006;2009)は,男女大学生に,男女3人ずつの飲み会で,酒代の合計12,000円の場合の,男女別の支払い額を決定させる実験を行った。本研究は,これらと同一内容をGoogle Formで作成し,女性266名,男性91名の大学生に対して,インターネット上で回答させ,比較検討したものである。実験の結果,第一に,女性より男性の支払い額を高くすべきというジェンダー・ステレオタイプに沿った判断が,第二に,男性であれ女性であれ,酒をよく飲むほど支払い額もそれに応じて高くすべきという判断が,以前と同様に認められた。ただし,第二の判断の傾向が,今回,より強まった。すなわち,多くのケースで,女性の支払い額が男性の支払い額に近づく傾向がみられた。第三に,女性性優位型の女性が,男性より女性の方がより多く支払うべきと判断する傾向が,前回とは異なり今回は見られなかった。男性が多く支払うことを良しとしない傾向が強まるということは,将来の夫婦関係において,夫の稼得責任を妻が期待しなくなること,ひいては「男は仕事,女は家庭」というジェンダーを変えていくことにつながる可能性があると考察した。</p>