著者
津田 耕一
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.119-132, 2003-09-30

行動療法は、専門的な社会福祉実践であるソーシャルワークにおいて実践価値の高いものとして受け入れられている。本稿では行動療法がソーシャルワークに導入された経緯を概観し、ソーシャルワークにおける役割を検証する。特にソーシャルワークの趨勢となっている生活モデル、エンパワメント概念、ストレングスの視点と行動療法の関係を整理する。生活モデルに基づくソーシャルワークも行動療法も人間と環境との関係を重視しており両者の接点を見出す。最後に、わが国における行動ソーシャルワークの現状、課題、展望について考察する。
著者
小林 和彦 園山 繁樹 戸村 成男 柳 久子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.93-105, 2003-09-30

本研究においては、行動分析学の枠組みとその基本的な技法を応用したベッドから車椅子へのトランスファー介助の方法を、老人保健施設に勤務する経験の浅い介護スタッフに指導し、指導効果の検証を行った。対象は、施設介護職員として勤務する女性2名で、両介護者が介助するのは脳梗塞左片麻痺で痴呆を有する78歳の女性であった。指導は机上での講義形式による行動分析の枠組み、およびそれに基づく対象者へのかかわり方に関する基本的な説明を行った後、実際場面において実践的な指導を行い、適切介助回数および身体接触時間を評価した。その結果、両介護者とも実践指導後において大幅な適切介助の増加および身体接触時間の減少が認められた。しかしながら、講義形式による説明のみではほとんど指導効果が得られなかったことから、実際場面における実践的な指導の重要性が示唆された。
著者
大月 友 木下 奈緒子 久保 絢子 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.99-110, 2013-05-31
参考文献数
21

本研究は、Implicit Relational Assessment Procedure(IRAP)の信頼性と妥当性を、二つの観点から検討した。一つ目の観点は、言語関係の指標としてD_<IRAP>得点を用い、二つ目の観点は、心理的柔軟性の指標として反応潜時を用いた。32名の大学生を対象に、不安という言語刺激を対象とした不安IRAPを実施し、社会不安の顕在指標および潜在指標、心理的柔軟性の顕在指標、不安喚起場面での回避傾向との関連を検討した。また、信頼性の検討を目的として、24名を対象に1週間後に再度不安IRAPを実施した。その結果、不安IRAPに高い信頼性が確認された。また、言語関係の指標としてのD_<IRAP>得点は仮説どおりの結果が、心理的柔軟性の指標としての反応潜時は部分的に仮説を支持する結果が示された。これらの結果から、不安IRAPは二つの側面の指標として信頼性と妥当性を有していることが示唆された。
著者
小林 奈穂美 五十嵐 透子
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.111-120, 2013-05-31
参考文献数
18

本事例では、治療に抵抗を示す思春期強迫性障害の17歳の女子高校生に対して、マーチ&ミュール(2008)の児童・思春期のCLに対する治療法を参考に、行動療法の曝露反応妨害法を用い、CL、母親、およびセラピストによる自宅訪問を含んだ"チーム"による治療を行い、4カ月半で症状が改善した。"チーム"治療の際の、治療導入時の働きかけ、治療過程における"チーム"の役割と家族を"チーム"に含めることの重要性およびCLの主要な生活の場である自宅での治療について考察し、思春期強迫性障害CLに対する"チーム"による治療の必要性を検討した。
著者
藤原裕弥
雑誌
行動療法研究
巻号頁・発行日
vol.33, pp.145-156, 2007
被引用文献数
1
著者
佐藤寛
雑誌
行動療法研究
巻号頁・発行日
vol.32, pp.31-44, 2006
被引用文献数
1