著者
荻原 正博 井田 茂
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.89-97, 2009-06-25

観測技術の発展に伴い,低質量の系外惑星が発見され始めており,特にM型星での系外惑星探査が注目を集めてきている.M型星は低光度であるので,ハビタブルゾーンが中心星近傍に存在するが,そのような領域では円盤ガス面密度が大きく,半径方向の惑星移動が惑星形成に大きな影響を及ぼすと考えられる.そこで,本研究ではM型星周りでの地球型惑星形成を,円盤ガスを考慮に入れたN体シミュレーションで調べた.計算の結果,中心星近傍の地球型惑星の軌道構造は惑星移動速度に大きく依存することがわかった.また,これまで発見されている中心星近傍のスーパーアース(地球質量の数倍程度の惑星)は,惑星移動速度が遅い状況で形成したと解釈できる.更に,惑星移動によって多くの氷成分が内側領域に輸送され,惑星は概して水を多く含むことが示唆された.
著者
橘 省吾 浦川 聖太郎 吉川 真 中村 良介 石黒 正晃
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.4-13, 2013-03-25

地球外始原物質(より古い情報を記憶する物質)の科学は私たちの太陽系の歴史を銀河の歴史と実証的につなげる唯一の手段である.「はやぶさ」「はやぶさ2」の探査天体よりさらに始原的な情報が残されている可能性が高く,また来る10年に往復探査が可能な天体である107P/Wilson-Harrington(彗星/小惑星遷移天体)へのサンプルリターン探査を提案する.本探査計画は惑星物質科学の進展のみならず,太陽系初期につくられる揮発性物質を多く含む小天体の物理的特性を明らかにできる探査であり,惑星形成論においても大きな貢献をなすものである.
著者
太田 宏 丸山 茂徳
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.133-143, 1996-09-25
参考文献数
11
被引用文献数
1
著者
板垣 春昭
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.186-189, 1996-12-01
著者
秋山 演亮
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.102-108, 2013-06-25

2008年に制定された宇宙基本法に基づき2012年7月にようやく関連する法案が成立し,我が国の宇宙開発は総理直下のプロジェクトとして大きく体制が変更がされた.また2013年1月には改訂宇宙基本計画も発表され,新しい宇宙政策が進められつつある.本稿ではこのような体制変更が行われた理由,および新体制が目指す宇宙政策に関して解説し,それらを踏まえた上で,今後の科学・探査計画の立案・遂行にあたり必要となる考え方に関して解説と意見陳述を行う.
著者
鈴木 睦
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.102-104, 2009-06-25

プラネットCは,衛星バス及び搭載機器のフライトモデルが完成し,組み立ての第一段階として噛み合わせ試験(一噛み)が2008年11〜12月末に実施された.ここではプラネットCの開発フェーズの中での「一噛み」の位置づけと打ち上げまでの試験について紹介する.
著者
木村 淳
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.10-15, 2012-03-25

太陽系最大の衛星である木星系のガニメデは,金属核起源の双極子磁場を持つ唯一の衛星である.一方でその内部構造の推定には観測量が不足しており,金属核や岩石マントルの量比には大きな不確定性が残されている.本稿では,ガニメデ内部熱史に関する数値シミュレーションを行い,磁場の発生に必要な金属核の熱的状態を制約条件に用いて内部層構造の量比を制約した研究をレビューするとともに,衛星エウロパやカリスト,タイタンといった磁場を持たない(しかし大きさ等でガニメデと類似性を持つ)衛星との進化史の違いについても議論を広げる.
著者
吉川 一朗 土屋 史紀 寺田 直樹
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.16-21, 2012-03-25

EXCEED計画は,惑星周辺に分布するプラズマが発する極端紫外光を地球周回軌道から分光・撮像する衛星計画である.地球型惑星の大気散逸と,木星型惑星に見られる回転支配型磁気圏でのエネルギー輸送の問題に焦点を当て,地球とは異なる磁気圏特性の理解を目指す.宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究所の小型科学衛星1号機(Sprint-A)に選定され,2013年の打ち上げに向けて開発が進行中である.
著者
関根 利守
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.139-146, 2011-06-25

衝突現象は,天体表面をはじめ至る所に衝突クレータとして,隕石中の組織や鉱物特性として,あるいは地球上の地層の中の衝突起源ガラス小球にもその痕跡を観察することが出来る.このような衝突によって生じる衝撃波の種々の効果を理解し,地球惑星物質に対して衝突現象として記録された痕跡から過去に遡ってその衝突プロセスを解明するには,衝突実験を通した再現実験が不可欠である.本稿では,これらの基礎的理解の為に,衝突実験を通して得られた結果や現状について述べ,問題点を指摘すると同時に衝撃変成度の定量化に向けた展望を試みる.特に衝撃プロセスでの温度履歴の重要性を指摘することに重点を置き,衝撃変成度の定量化に寄与することを目的にする.
著者
富岡 尚敬
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.154-160, 2011-06-25
被引用文献数
1

コンドライト隕石が経験した衝撃圧力は,衝撃回収実験によるケイ酸塩鉱物の変形,再結晶,溶融,相転移の組織と隕石組織との比較をもとに見積もられてきた.しかし,天然の衝突現象と室内の衝撃実験とでは,衝突体のサイズに起因する圧力タイムスケールの大きな違いという本質的問題を抱えている.最近の静的高圧実験によるケイ酸塩の相転移実験の結果は,衝撃実験に基づく従来の圧力スケールは,コンドライトが実際に経験した圧力を過剰に見積っている可能性を示唆している.
著者
中村 正人
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.68-71, 2011-03-25

2010年12月7日に予定されていた「あかつき」の金星周回軌道への投入は失敗した.「あかつき」は今,太陽の周りを公転する軌道上にあり,約6年後に再び金星と会合する可能性がある.
著者
高木 靖彦 平田 成 橘 省吾 中村 良介 吉川 真 はやぶさ2プリプロジェクトチーム
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.48-55, 2010-03-25
被引用文献数
1

「はやぶさ」に続く小惑星探査計画「はやぶさ2」が最初に提案されてからの約4年間の経緯と,計画の概要をまとめた.その中で,ミッションの目標と,それに基づき選定された搭載機器の仕様についても簡単に述べる.
著者
安部 正真 藤村 彰夫
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.185-190, 2011-06-25
被引用文献数
2

小惑星探査機はやぶさが地球に帰還し,回収されたカプセルの中から発見された粒子がイトカワ起源であると判断された.その全容はまだ明らかではないが,最大100μm超の粒子も確認され,10μm以上の粒子も1000粒以上あると予想される.キュレーション設備では,サンプルの取出しを行い,その一部を初期分析チームに分配し,初期記載を行うための初期分析が開始された.本稿では,サンプルコンテナ開封後の作業と,初期分析開始に至るまでの経緯について報告する.
著者
石元 裕史
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.61-69, 1996-06-25
被引用文献数
1