著者
唐澤 信司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.5-10, 2007-04-13
被引用文献数
1

本文では網膜及び第1次視角野(V1)のしくみを次のように説明する.網膜では双極細胞が脱分極型と過分極型があり,光によってインパルスを出さず電位を変化しており,その電位にアマクリン細胞が間隙接合するので時間遅延したインパルスが加わり,動いた物体の像と静止物体の映像データを別にして送り出す.網膜の神経細胞と第1次視角野V1の神経細胞を接続する線路を視床で制御する.V1の眼球優位のカラムでは映された映像データの活動を短期記憶ループ群で集積し,上位の領域や他の活動領域に転送しており,他の領域に転送する際には元の短期記憶の活動を消去し,更新する状態に混入するのを防止する.脳の回路網に映された活動が解読され,海馬に集められてチェックを通り抜けた活動が実行に移される.
著者
村田 真樹 馬 青 内元 清貴 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.698, pp.25-32, 2001-03-16

テンス・アスペクト・モダリティは,翻訳が難しい問題として知られている.従来はテンス・アスペクト・モダ゛リティの表現は人手で作成した規則によって扱われていたが,近年用例ベース(k近傍法)の方法などのコーパスベースに基づくアプローチでも処理されるようになってきた.本研究では,このテンス・アスペクト・モダリティの翻訳の実験を,k近傍法も含めて様々な機械学習手法を用いて行なった.その結果,サポートベクトルマシンに基づく方法が最も高い精度を得た.また,用例ベースを用いた先行研究では解析に用いる情報は文末の一致文字列のみであったが,この情報に加え,一文全体の形態素情報も解析に用いることにしたところ,精度が上昇するという結果を得た.このことにより,テンス・アスペクト・モダリティの翻訳には文末情報だけでなく一文全体の形態素情報も有用であることがわかる.
著者
前田 英作 南 泰浩 堂坂 浩二 森 啓 近藤 公久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.296, pp.51-56, 2006-10-12

NTTコミュニケーション科学基礎研究所では,2005年より「環境知能」をテーマとした研究プロジェクトを進めている.このプロジェクトの目的は,音声処理,音響処理,言語処理,対話,視覚情報処理,探索,学習,ネットワークなどのコミュニケーションのための情報処理技術を有機的に統合することにあり,それによって実現される新たな生活様式の提案も視野に入れている.本稿では,この取り組みの狙いとこれまでの進展を紹介する.
著者
斎藤 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.98, no.381, pp.21-27, 1998-11-02
被引用文献数
1

自閉症は、社会関係、コミュニケーションならびに言語の発達障害によって特徴付けられる。自閉症では死後脳所見およびMRI研究から小脳異常が繰り返し報告されてきた。最近われわれは方法的に周到に計画したMRI研究から、小脳虫部VI-VII小葉の形成不全と過形成を示す2つの亜群を自閉症患者に見出した。他方、機能的神経画像の新技術は、自閉症の注意や認知の障害に関わる神経機構の直接的な検討を可能としつつある。さらに、小脳がヒトの非運動性認知に関与している可能性を示す知見の増加は、大脳病理に制限されない、新たな'包括的神経心理学'の発展を促しているように思われる。