著者
櫛引 美代子 工藤 優子
出版者
弘前学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

乳房緊満に対するキャベツ葉湿布の冷却効果について検証することを目的に、キャベツ葉を用いて、同意を得られた20歳代非妊娠成人女性34名、褥婦3名を対象にキャベツ葉冷湿布実験を行い、湿布剤貼付部位の温度、血流測定を行った。非妊娠女性のキャベツ葉冷湿布では皮膚表面平均温度は5分後に1.3℃下降し、15分後まで有意に下降した。30分後から皮膚表面平均温度は上昇傾向が認められた。褥婦の場合、キャベツ葉冷湿布5分後にいずれも急速に皮膚表面温度が下降し、10~25分後より徐々に上昇した。乳房例では冷湿布開始時に血流が低値であったが、徐々に血流の増加が認められた。キャベツ葉冷湿布は緩徐な冷却効果が示唆された。
著者
斎藤 繁
出版者
弘前学院大学
雑誌
弘前学院大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:13464655)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.1-13, 2005-03-01
被引用文献数
1

老年期にある高齢者の重度記憶障害についての若干の検討と考察を試みた。特に認知症(痴呆)による知能障害と記憶障害についての脳病理学的、神経心理学的、認知心理学的解明を試みながら、福祉臨床における介護支援の諸方策について検討した。加齢にともなう高齢者の認知機能の低下は、われわれ人間にとっては避けがたい生物学的、神経心理学的現象と言えるが、長年にわたって培われた知識・技能が容易に失われないこともまた事実である。認知症の中核症状に記憶機能と認知機能障害が考えられている。記憶能力の低下は知覚、学習、思考、コミュニケーション行動に直接的な影響を及ぼすが、そのための介護福祉的支援方策について考察し、若干の提案を試みようとした。急性、亜急性に発症する認知症は医療の対象となるが、一般的な老化による記憶機能と認知過程の障害は、徐々に部分的に出現し次第に憎悪する傾向がみられる。そのあらわれ方には個人差があり、個々人の人生努力と密接である。個人の自助努力は言うに及ばず、また家族、地域による福祉支援課題として、その対応方策が考慮されねばならない。軽度の認知症が疑われるレベルでは、幼少期から十分習慣化した運動や身体作業、ADLに支障があらわれ、日常生活や社会行動面において部分的な不具合や不都合が生じるようになる。さらに、中・重度の認知症になると見当識などの認知機能のみならずADL、APDLにも重い障害があらわれてくるが、著しい言語・記憶障害を示す認知症への対応には、医療、理学療法、作業療法、言語療法のほかにも、福祉的環境調整ときめの細かいケアプランとケアワーク、それに生活療法的、行動療法的、芸術療法的支援、非言語的意思伝達などの諸方策が必要となる。高齢認知症者の抱える個人的問題に関しては、身体的側面のみならず精神的側面と、家庭・社会関係の再体制化への配慮が求められる。なかでも家族福祉支援が重要である。そのための医療・福祉支援は必須のものとなる。問題の解決には高齢認知症者のQOLと高齢者をとりまく社会・文化的環境についての配慮も欠くことはできない。
著者
太田 真由美
出版者
弘前学院大学
雑誌
弘前学院大学看護紀要 (ISSN:18808867)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.99-103, 2006-03-31

「森のイスキア」を主催し,スピリチュアルケアを実践している佐藤初女さんの活動は悩みを抱える人の話を聴き,手作りの料理を共に食べるだけである。にもかかわらず,癒される。彼女の心がけていることは,あるがままのその人を受け入れ,話を聴き,共感すること。もうひとつは,心を込めて料理を作り,食べてもらうことである。スピリチュアルケアにおいては,日常的な行為に対するケア提供者の態度や取り組む意識が基本とされる。エイミー・ミンデルは,ケア提供者は,あらかじめ持つべき感情を押し付けるのではなく,理想的態度を持つ人間に湧き上がる,そのときどきの思いや感情を相手に役立つように自覚的に行動に移していくことが重要と訴える。特別なことをしていなくても,イスキアで癒されるのは,佐藤さんの気遣いや優しさといった資質を,態度や行動に自覚的に用いているからだ。
著者
北村 繁 伊藤 伸幸 柴田 潮音
出版者
弘前学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

従来、中米・エルサルバドル共和国中部に位置するイロパンゴ火山で4世紀頃に巨大噴火によって、広い地域で火山灰が厚く堆積し、当時の古代メソアメリカ文明は壊滅的な影響を被ったとされてきた。本研究では、火山灰の堆積状況を現地で調査した結果、壊滅的な被害を被ったのは、火砕流が到達した火山から40km 程度の範囲、および、土石流が流下したレンパ川下流域などに限られ、それ以外の地域では、火山灰の堆積量が少なく、壊滅的な影響が生じなかった可能性が高いことが明らかとなった。
著者
齋藤 繁
出版者
弘前学院大学
雑誌
弘前学院大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:13464655)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-7, 2007-03

発達障害児のなかには、重度の知的障害によるか広汎性発達障害のために、言語を媒介とするコミュニケーションが困難な事例が見出される。最近、母国語によって意思伝達ができない障害児に対して代替言語、即ち人工語の開発研究並びに試験的適用が試みられている。本論においては、先ず人工語研究の発端とその発展、現状について述べ、知的障害児や発達障害児への応用について考察を試みた。
著者
遠藤 ゆり子
出版者
弘前学院大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

近年の村落成立論を踏まえ、戦国時代から江戸時代にかけて、東北地方に展開していた村落の関係史料を収集した。その上で、従来、東北地方は小百姓層の経営が未発達な後進的地域であるため、村落が成立していないとされてきた研究に再検討を加えた。また、大名の滅亡・改易といった戦争状態における村の動向を考察することで、大名の滅亡・改易の実態を明らかにするとともに、その際に様々な問題が生じていた意義を追究した。
著者
佐々木 正晴
出版者
弘前学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

1.早期開眼手術後における定位・移動行動の形成過程開眼少女YKは,生後73日目に両眼の先天性白内障の手術を受け,2001年で9歳になる。聴覚障害(推定聴力損失80-90dB)、心臓疾患(心房中隔欠損等)を伴う。われわれはその6年前にYKと出会い,YKが小学校入学以降組織的な関わりを続けてきた。その視・運動系活動,移動行動の状況を5年前と現在とで対比させると,【5年前】触覚(手)の支えなしに立ち上がることができない。仰向けに寝る姿勢でいることが多く,その姿勢で自分の手や手に持つ物を眼前で動かす。移動の際,仰向けに寝る姿勢のまま手や足で床面を四方に進む。夜の屋外での花火に視線を向けることはないが,テレヒ画面上に映る花火の光をテレビの両端に両手を添えてその所在を捉えて追視する。【現在】触覚の支えなしに立ち上がり,歩行により移動する。場所により他者と手をつながずに一人で歩くことができる。ただし,繰り返し歩いている場所と初めて行く場所とでは路面の段差,陰に対してその対処の仕方を変える。繰り返し歩くことを積み重ねて着実に移動空間が拡大している。2.視野遮蔽,視野変換,視野制限事態における移動空間と操作空間の形成過程本報告者(佐々木)が数日間アイマスク,逆さめがね,視野制限ゴーグルをかけて移動行動と操作行動の形成過程を探索し,それらの結果を開眼受術者の視覚形成過程と比較した。その結果,1)視野遮蔽・アイマスク事態における移動行動と開眼者における形の弁別行動との形成過程において,対象の外郭を基準点によりつなげる,2)逆さめがね・視野変換における移動行動と開眼者における立体の弁別行動の形成過程において,各視点から得られた情報を統合する,という共通点が見出された。
著者
今村 かほる
出版者
弘前学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

遠藤熊吉は昭和4年の著作の中で、既に「共通語」という用語を用いた。また、方言の存在や価値を認めた上で、国語教育の目指すべき対象は「標準語」であるとした。戦後の方言と共通語の教育は、遠藤熊吉が理論的背景となった昭和29年の「標準語教育論争」をきっかけに方言をなおしたり、なくしたりするものという位置づけに変化がおこった。これからの方言の教育は、コミュニケーションツールとしての方言に注目すべきである。
著者
葛西 智賀子 岩月 すみ江
出版者
弘前学院大学
雑誌
弘前学院大学看護紀要 (ISSN:18808867)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.65-82, 2006-03-31

本研究の目的は,成人看護学実習における<選択実習>での学生の学びを明らかにすることである。<選択実習>は(1)血液透析室実習(2)土曜日・夜間診療実習(3)健康教育実習(4)ボランティア活動参加(5)闘病者・中途障害者などによる講演参加(6)大学や施設が主催する公開講座参加(7)看護系学会参加の7項目を設定した。学生64名を対象とし,(1)〜(4)は実習項目ごとに,また,実習内容の類似性から(5)〜(7)はまとめて,それぞれの実習記録から学生が学んだこと表現している文を抽出して,類似性に沿って集めカテゴリー化した。その結果,(1)血液透析室実習では【透析患者の生活の理解】など5カテゴリー,(2)土曜日・夜間診療実習では【土曜・夜間診療の役割】【患者の特徴】など4カテゴリー,(3)健康教育実習では【地域での健康教育の意義】などの3カテゴリー,(4)ボランティア活動参加では,【バリアフリーの必要性】など5カテゴリーが生成された。また,(5)闘病者・中途障害者などによる講演参加(6)大学や施設が主催する公開講座参加(7)看護系学会参加では,【様々な知識の獲得と認識の変化】などの4カテゴリーが生された。これらの結果から,<選択実習>は学生自らが看護者としてのあり方を考え問題意識を持つ機会となっていたが,<選択実習>のねらいであった成人期にある人の対象理解を深めることに効果があったのは,(2)土曜日・夜間診療実習のみであり,オリエンテーションの充実をはじめとする,<選択実習>における学習支援方法の検討と対象の精選が課題となった。