- 著者
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荒木 康弘
- 出版者
- 公益財団法人 日本学術協力財団
- 雑誌
- 学術の動向 (ISSN:13423363)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.10, pp.10_51-10_57, 2021-10-01 (Released:2022-02-25)
新型コロナウイルスワクチンは世界で接種が進んでいるが、その需要は完全には満たされておらず、今後も新たなワクチンの開発が期待されるところである。日本では3種類のワクチンが使用されているが、これらはいずれもプラセボ対照臨床試験で高い有効性が示され承認されたものであるが、変異株の流行と公的ワクチン接種プログラム等により、新たなワクチンの開発環境は従前と変わり、前述のプラセボ対照臨床試験の実施は困難になりつつある。そのため国際的には、プラセボ対照臨床試験でワクチンの発症予防効果を確認することが困難な場合、新たなワクチンと既承認ワクチンとの間で免疫原性を比較し、有効性の評価をする方法についてコンセンサスが得られている。今後の新型コロナウイルスワクチンの開発・評価にあたっては、ワクチンをすでに接種した者への追加接種の有効性など、新たに生じる課題に対応していく必要がある。