著者
髙田 知紀
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.25, no.11, pp.11_44-11_48, 2020-11-01 (Released:2021-03-26)
著者
落合 恵美子
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.9_39-9_43, 2022-09-01 (Released:2023-01-27)
参考文献数
5

新型コロナによる在宅勤務と自宅療養がもたらす当事者と家族の負担増加について調査を実施した。いずれも家事育児やケアの負担を増加させており、しかも女性が多くを担っている。自宅療養者およびそのケアをした人たちが仕事を休業した場合、その期間の給与の扱いは雇用形態により異なる。女性に多い非正規雇用では無給休業の割合が高い。ケアという社会的に必要な労働をした人が、それを評価されないばかりか、かえって経済的不利益を被る「ケアペナルティ」が存在するのは問題だ。人口高齢化に加えて「ウィズコロナ」の「病い」と「ケア」が常態化する社会を正常に回すためには、病気療養とケアというシャドウワークを可視化し、その価値を評価して対価を支払い、経済システムに内部化することが必要だ。たとえば雇用形態にかかわらず取得できる有給の「病気休暇」および「ケア休暇」を制度化し、さらにケア手当の支給も検討すべきだろう。
著者
江藤 祥平
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.3_18-3_24, 2022-03-01 (Released:2022-07-25)

このコロナ禍では数多くの憲法問題が生じたが、殆ど主題化されてこなかった問いがある。それが身体の自由をめぐる問いである。外出自粛であれワクチン接種であれ、公衆衛生対策の多くは身体に向けられたものであることを考えると、これは不思議である。その原因の一つは、憲法学が主権的権力に目を向け過ぎるあまり、着々と進行する人口の生政治に十分な注意を払ってこなかったことにある。生政治は、人口というマスの身体に働きかけるため、個人の身体に対する作用は間接的であり捉えづらい。しかし、間接的とはいえ自律に及ぼす影響は絶大である。このことは要請ベースを主とする「日本モデル」の問題点につながる。日本の感染症対策は強制力を用いることを極力控えてきたが、それは国民を個人として尊重するどころか、かえって安全を脅かす個人を強力に排除するメカニズムとして機能してきた。その排除の自覚がないままに、国民が統治されやすい個人と化していることが、憲法上の一番の課題である。
著者
中村 肇
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.4_15-4_21, 2010-04-01 (Released:2010-10-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
三島 和夫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.8_32-8_39, 2019-08-01 (Released:2019-12-20)
参考文献数
21
著者
鈴木 真二
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.5_30-5_32, 2020-05-01 (Released:2020-09-25)
参考文献数
4
著者
千葉 紀和
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_56-5_62, 2021-05-01 (Released:2021-09-24)
参考文献数
13

第2次安倍政権末期の2020年6月、日本の科学技術振興の根幹を成す科学技術基本法が改定された。「『科学技術創造立国』の実現に向けた立法以来25年ぶりの抜本改正」と謳われ、共産党を除く与野党の賛成多数で可決、成立した。科学者の代表機関である日本学術会議も、基本的に歓迎の立場を表明した。だが、同政権による科学技術政策の歪みと研究現場の寒々しい変質ぶりの双方を見てきた一記者として、こうした現実に対する危機感の欠如は看過できない。今回の改定が意味するのは、この歪みを固定化し、さらに助長することに他ならないからだ。具体的には、従来以上に官邸主導の「選択と集中」が進み、科学技術政策は一層、産業界寄りに傾く。同時に国防政策とのリンクが強化され、軍事研究になびく研究者が増えていく。平和国家の前提を無視して軍事大国の潮流を追う「国策イノベーション」路線の先に、日本が目指すべき「科学技術創造立国」の姿はない。
著者
二宮 周平
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.21, no.12, pp.12_90-12_93, 2016-12-01 (Released:2017-04-07)
参考文献数
3
著者
肥前 洋一
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.6_49-6_51, 2018-06-01 (Released:2018-10-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1
著者
筒井 淳也
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.5, pp.5_24-5_28, 2022-05-01 (Released:2022-09-22)

新型コロナウイルスのパンデミックが家族生活に及ぼす影響を整理するために、まずは日本の家族および世帯の50年間の推移を概観すると、男性稼ぎ手型の「標準家族」が一部で持続しているのと並行して、単身世帯の増加などの多様化が生じていることが確認できる。新型コロナの影響のあり方はこうした多様な家族・世帯に応じて異なっており、行政等の対応もこの多様性に配慮すべきである。また新型コロナは、家族の健康管理といったみえにくい家庭内無償労働の女性への偏りを顕在化させ、家族外の人との接触を制限することで女性へのDVリスクを高めたり、メンタルな満足を低減させている可能性がある。新型コロナの問題は、同居人以外との接触制限というこれまで目立ってこなかった措置の結果であり、その影響は通常の経済不況とは違って見渡しにくく、十分な現状把握のもとでの問題の整理が必要である。