著者
越前屋 勝 三島 和夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1252-1256, 2007-07-10

ポイント ●睡眠覚醒リズム障害は生体時計の調節障害に基づく病態と考えられる. ●受診頻度が比較的高いのは睡眠相後退症候群と非24時間睡眠覚醒症候群である. ●頭痛・倦怠感・疲労感・食欲不振といった身体症状や抑うつ症状を伴うことが多い. ●睡眠覚醒のパターンを把握するためには睡眠日誌の記載が必要である. ●不登校や出社拒否といった社会心理的要因との鑑別が困難な場合も少なくない.
著者
三島 和夫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.8_32-8_39, 2019-08-01 (Released:2019-12-20)
参考文献数
21
著者
三島 和夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.104-108, 2015 (Released:2018-08-26)
参考文献数
10

睡眠障害は臨床場面で最もよく遭遇する疾患の1つであり,なかでも不眠症はその代表格である.不眠症状の大部分は一過性で自然消退する.ただし1か月以上持続する慢性不眠症は難治性である. 慢性不眠症患者の70%では1年後も不眠が持続し,約半数では3~20年後も不眠が持続するといわれる.また慢性不眠症患者は,薬物療法などで一旦寛解してもその半数は再発する.必然的に睡眠薬は長期使用かつ高用量となりがちである.実際,国内で睡眠薬を長期服用する患者は増加しており,1日当たりの服用量も増加傾向にある.それだけに,中長期的な治療ビジョンを持ち,治療開始当初からリスク・ベネフィットバランス比を考慮しながら慎重に処方すべき薬剤である.特に,治療途中で薬効や副作用を適宜評価することなしに漫然と睡眠薬の長期処方をすることは,厳に戒められるべきである.
著者
駒田 陽子 塩見 利明 三島 和夫 井上 雄一
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.12, pp.1066-1074, 2010

<b>目的</b> 本研究の目的は,運転免許保有者の中で睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome: SAS)に罹患している者の実態,居眠り運転や居眠り運転事故に関連する要因,運転免許更新時等における申告制度等の認識度を明らかにすることである。<br/><b>方法</b> 警視庁府中運転免許試験場において,運転免許証の更新者5,235人に対し,回答は無記名,任意とした上で,運転中の眠気や居眠り運転,SAS の自覚もしくは診断を受けたことがあるか等に関するアンケート調査を実施した(回収3,235人,回収率61.8%)。<br/><b>結果</b> 運転中に眠くなることがあると答えた者は1,306人(40.4%),居眠り運転をしたことがある者は658人(20.3%),居眠り運転により事故を起こしそうになったこと,または実際に事故を起こしたことがある者は336人(10.4%)であった。ロジスティック回帰分析の結果,居眠り運転に関連する要因として,男性であること,免許保有期間が長いこと,週あたりの走行距離が多いこと,運転開始後短い時間で眠気を感じること,SAS の自覚もしくは診断を受けていることが抽出された。また,居眠り運転事故等に関しては,男性であること,免許保有期間が長いこと,運転開始後短い時間で眠気を感じること,SAS の自覚もしくは診断を受けていることが関連要因であった。運転免許保有者のうち SAS に罹患している者の実態を検討したところ,調査対象者のうち7.5%が「自分が SAS ではないかと思う」と回答し,また,1.1%が「SAS と診断されたことがある」と回答した。<br/><b>結論</b> SAS ではないかと自覚している者の割合に対して,実際に受診して SAS の診断を受けている者の割合はかなり低いことから,SAS に対する診断と治療の重要性をより強く啓発していくことが,居眠り運転や居眠り運転事故等を防止するために重要であると考えられた。また,運転への慣れ,長時間運転による疲労が居眠り運転や居眠り運転事故に強く関連していることを広く周知すべきである。道路交通法では「重度の眠気の症状を呈する睡眠障害」は免許停止・取り消しの要件の一つで,免許試験の受験や更新申請の際,症状を申告しなければならない。しかし,「申告制度を知っている」と答えたのは,罹患の可能性がある人の22.2%であった。SAS に罹患した運転免許保有者が症状を自覚し治療することにより,安全な運転パフォーマンスを保持できるよう,これらの制度について広報啓発を行う必要があると思われた。