著者
村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.7-8, 2015 (Released:2019-09-20)

本項では、19 世紀に発見されたタウリンの生理・薬理作用がどのように解明されてきたか、またタウリンの持つ薬理作用を利用し、医薬品などへの産業利用がどのように進められてきたかについて、歴史を振り返る。また、タウリン研究の今後の課題についても述べる。
著者
伊藤 崇志
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.6-8, 2016

サルコペニアは老化とともに起こる筋力や筋肉量の低下を指し、超高齢化社会においてその予防や治療の開発のニーズが高まっている。我々は以前報告したようにタウリントランスポーター欠損マウスにおいて、骨格筋中のタウリンの欠乏とともに骨格筋老化が促進されることを見出しており、タウリンがサルコペニアに対して有効な物質であることが示唆される。タウリン欠乏と骨格筋老化促進との関連性を明らかにするために、トランスクリプトーム解析を行った。本稿では、トランスクリプトーム解析およびそのデータに基づくパスウェイ解析の結果から明らかになったタウリンの骨格筋における役割について紹介する。
著者
薩 秀夫 権藤 祐輔 和多利 研二 清水 誠
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.39-41, 2017 (Released:2019-11-11)

著者らはこれまで腸管とタウリンの相互作用につ いて研究を進め、腸管上皮モデル細胞を用いてタウ リンの腸管吸収に関わるタウリントランスポーター (TAUT)の特性・制御を明らかにするとともに、腸炎 症に対するタウリンの予防・軽減作用を報告してき た。本研究ではタウリンの遺伝子レベルでの作用機 序を明らかにすることを目的とし、タウリンがヒト 腸管上皮モデル細胞における遺伝子発現全般に対す る作用を、DNAマイクロアレイを用いて解析した。 その結果、タウリンは thioredoxin interacting protein(TXNIP)の mRNA発現を顕著に亢進する ことが見出され、さらに TXNIP のタンパク質レベ ルでの発現亢進も確認された。また TAUT の基質で あるβ-アラニンやGABAはTXNIPのmRNA発現 に影響を与えなかったことから、タウリンによる TXNIP 発現亢進はタウリンの構造に極めて選択的 であることが示唆された。さらにタウリンは TXNIP のプロモーター活性を亢進することが明らかとなり、 これよりタウリンは転写レベルで TXNIP の発現を 亢進することが示唆された。
著者
村上 茂 川﨑 安都紗 小野 鮎子 伊藤 崇志
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-37, 2018 (Released:2019-11-11)

魚介類に豊富に含まれるタウリンは、海藻にも存 在し、浸透圧調節等の役割を果たしていると考えら れる。われわれは、海藻の中でも紅藻類のフノリが タウリンを特に多く含むことを見出した。海におけ るフノリの生育環境を考えると、タウリンが乾燥や 浸透圧変化、紫外線、温度変化などの環境変化に対 応するために利用されている可能性が推察される。 また海では、さまざまな生き物が解毒や代謝にタウ リンを利用しており、海洋生物の体内のタウリン量 には食物連鎖が大きく関わっている。海藻をはじめ とする海洋生物におけるタウリンの役割を解明す ることは、哺乳類やヒトにおけるタウリンの作用の 理解につながる。
著者
平 修 常山 幸一 川崎 安都紗 小野 鮎子 前川 昭 伊藤 崇志 宮崎 照雄 城本 淳 小林 春輝 大森 肇 片野 肇 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-29, 2017 (Released:2019-11-11)

イメージング質量分析(MS)により、マウス筋肉 組織中の「どこ」にタウリンが局在するのかを視覚 的に解析した。本報ではラット脚部より採取した、 ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋の凍結切片を用いて、タ ウリンと分岐鎖アミノ酸である、バリン、ロイシン、 イソロイシン、リジンの局在を解析した。
著者
羅 成圭
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.22-24, 2018 (Released:2019-11-11)

本 Short Review では、タウリンの「投与期間」 や「投与による組織中タウリン濃度の変化」の 2点 に着目し、スポーツ科学分野におけるタウリン投与 が運動パフォーマンスに及ぼす効果についてまと めた。本レビューでは、一過性のタウリン投与は血 中タウリン濃度を増加させるものの運動パフォー マンスを向上させることは難しいということ、また 慢性投与によって骨格筋のタウリン濃度を高める ことで運動パフォーマンスが向上する可能性が高 いということが示された。「タウリン投与」に関す る研究は現象論レベルの報告が多く、これから「な ぜ」「どのように」タウリン投与が運動パフォーマ ンスを向上させるのか更なる研究が望まれる。