著者
大森 肇 渡邉 彰人 大山 卞圭悟 佃 文子 高橋 英幸 久米 俊郎 白木 仁 岡田 守彦 板井 悠二 勝田 茂
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.385-392, 2000-06-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
15

本研究では1週間に1日という低頻度で5週間のみの筋力トレーニングを行った結果, 筋力の増加がみられた.また筋力トレーニングによって獲得された筋力は17週間の脱トレーニング後でも維持されていることが示唆された.さらに再トレーニング脚と対照トレーニング脚を比較した結果から, 再トレーニングによる筋力増加応答の増強 (Nerve-Muscle Memory) が観察された.これらの現象がiEMGの変化様相と一致していたことから, これらの背景にあるメカニズムが神経系の要因 (運動単位動員の変化ならびにインパルス発射頻度の変化) によるものであると考えられた.
著者
羅 成圭 崔 英珠 赤澤 暢彦 大森 肇 前田 清司
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.40-42, 2016 (Released:2019-11-11)

本稿では、健常者における経口タウリン摂取が血 管内皮機能に及ぼす効果を、安静時および運動時に 分けて概説する。我々はまず、2週間の経口タウリ ン摂取(6 g/day)は、健常者の血管内皮機能を僅か ながら、有意に向上させることが初めて見出した。 次に、運動誘発性血管内皮機能の低下に対するタウ リン摂取の効果を検証したものの、2週間のタウリ ン摂取(6 g/day)では高強度レジスタンス運動によ る血管内皮機能の低下を抑制できないことが明ら かになった。本稿で示すこれらの結果は、少なくと も安静時においては、健常者においてもタウリン製 剤、もしくはタウリンを多く含む魚介類や海藻類の 摂取は血管内皮機能を良好に保つために有効であ ることを示していると考える。
著者
大森 肇
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.51_1, 2016

<p> 近年、各代謝系や臓器が独立して機能するのではなく、互いに連携して恒常性を維持するという臓器連関の概念が定着してきた。運動時にも、状況に応じて様々なエネルギー供給機構が駆使され、プレーヤーが縦横無尽に各々の役割を果たす。また、運動を続ける側面の一方で、運動を止める側面もある。生体破綻を防ぐためである。競技はこの機構にどう抗うかを競っているとも言える。宮﨑先生には持久性運動時の筋・肝での代謝調節について、またエネルギー代謝状態を低侵襲的に評価する方法についてお話いただく。石倉先生には、長時間運動時の血糖低下とそれを抑制するタウリン摂取の効果・機序についてお話いただく。越中先生には、活動筋で生じた熱が肝臓に伝達されて生じるエネルギー代謝効果への関与について論じていただく。最後に大森が、高強度運動により出現する疲労に及ぼすシトルリン摂取の効果とその機序について言及する。運動生理学が手法的に細分化し、視点がミクロへと深化する一方、改めて生体全体を見渡す視点の重要性が問われている。代謝の本質は動的平衡にある。代謝バランスと臓器連関という視点が、運動生理学の発展にとっての一助になれば幸いである。</p>
著者
大森 肇
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集 第67回(2016) (ISSN:24241946)
巻号頁・発行日
pp.52_3, 2016 (Released:2017-02-24)

一過性の運動はパフォーマンスの低下すなわち疲労を招く。競技などにおいて、運動パフォーマンスの向上を目論む立場からは、疲労は軽減するに越したことはない。しかし、生体防御という観点からは疲労は必要不可欠でもある。ヒトを含めた動物には、素早く力強く動く必要が生じることがある。しかしそれは長くは続かない。身体に何の警告もなければ、生体が破綻するからである。逆に緩徐な運動は長く続けられる。そして、運動の長さに対する疲労の出現機構も上手く備わっている。特に競技ではそうした生体防御機構にいかに抗うかを競っているという見方もできる。本演題では、高強度持久性運動時の疲労とそれを軽減するシトルリンの作用機序について、筋と肝の臓器連関をベースに我々の研究の一端を紹介する。シトルリンは一酸化窒素産生と血流改善、あるいはアンモニア解毒亢進の観点から、運動パフォーマンス向上のためのサプリメントとして注目されている。我々はラットの疲労困憊走モデルを用いて、運動強度とシトルリン投与効果の関係、また投与効果の背景について、筋、血液、肝のアミノ酸動態と臓器連関から検討した。
著者
平 修 常山 幸一 川崎 安都紗 小野 鮎子 前川 昭 伊藤 崇志 宮崎 照雄 城本 淳 小林 春輝 大森 肇 片野 肇 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-29, 2017 (Released:2019-11-11)

イメージング質量分析(MS)により、マウス筋肉 組織中の「どこ」にタウリンが局在するのかを視覚 的に解析した。本報ではラット脚部より採取した、 ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋の凍結切片を用いて、タ ウリンと分岐鎖アミノ酸である、バリン、ロイシン、 イソロイシン、リジンの局在を解析した。
著者
石倉 恵介 宮川 俊平 矢田部 佳久 竹越 一博 大森 肇
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (Japanese journal of physical fitness and sports medicine) (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.475-484, 2008-08

To determine the effect of taurine on blood glucose concentration during prolonged exercise, fifteen male university students cycled for 120 min at 50%VO2max after 7 days with or without taurine supplementation. Exercise tended to reduce the blood glucose concentration, whereas taurine significantly prevented this decline. Exercise significantly increased plasma glucagon concentrations in both groups to a similar degree. Serum insulin concentrations did not differ during exercise under both conditions. Taurine supplementation respectively significantly inhibited and tended to inhibit the plasma noradrenaline and adrenaline concentrations increased by exercise. These results suggest that taurine supplementation can maintain the blood glucose concentration during prolonged exercise through enhanced catecholamine sensitivity.