著者
清水 誠 佐國 勝
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要 〔教育学部〕 教育科学 (ISSN:03879321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.17-25, 2003
被引用文献数
6

じゃがいものデンプンは、どこで作られるか話し合いを行った。話し合いをするため、2つのクラスを設定した。1つのクラスは、3〜6人の小グループを作った。小グループのメンバーは、異なる予想に基づき実験をした児童で編成した。もう1つのクラスは、全員で各児童の実験結果について話し合いをした。小グループでの話し合いは、クラス全員での話し合い比べ、次のような違いがあることがわかった。1)児童の間に社会的相互作用が多く見られる。2)児童は、自身の考えに自信を持つ。3)話し合いを通して新たな疑問や考えを見いだすことである。Children discuused how the starch of a potato is produced. Two classes were set up to have discussions. One class established small groups of 3 to 6 children. The members of the small groups were organized based on the different expectations of each child about how the experiment would result. Another class held a discussion with all of the class members about each child's results of the experiment.When compared with the discussion with all of the class members, the following differences were noticed in the small group discussions :1) more social interactions were seen between the children ;2) the children had more confidence in their thoughts ;3) the children discovered new doubts and expectations through their discussions.
著者
石田 康幸 細田 英次 松尾 政弘 山本 利一 浅田 茂裕
出版者
埼玉大学教育学部
雑誌
埼玉大学紀要 教育学部 (ISSN:03879313)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.13-21, 2006

小学校学習指導要領、中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領では、全ての教科、総合的な学習の時間、道徳教育及び特別活動の中で環境教育のー居の充実が期待されている。これらは、1996年の中央教育審議会答申及び1998年の教育課程審議会答申による、環境教育の充実の方針を受けたものである。文部省(当時)は既に、1990年に環境教育指導資料(小学校編)、翌1991年に陪(中学校・高等学校編)7)、1996年には同(資料編)を、それぞれ作成し、小・中・高等学校における各教科を中心とした環境教育の展開方法の方向を示した。また、1998年の教育課程審議会答申では、基本的な考え方及び総合的な学習の時間に関する項目において、体験的な学習の重要性がそれぞれ指摘されている。一方、1999年に始まった「学力低下論争」や、2004年に相次いで発表されたOECDによる生徒の学習到達度評価(PISA)や国際教育到達度評価学会による国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の結果の一方的な解釈から、「学力低下」問題が政治的課題として浮上し、その対策が求められ、文部科学省は「学力」重視に踏み切ったと言われている。しかし、2006年2月に発表された中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会の「審議経過報告」では、持続可能な社会の構築が強く求められていることに触れるとともに、環境教育についてもエネルギーと環境問題の解決の観点から、さらに充実することを求めている。さて、新エネルギーの一つに位置づけられるバイオマス(生物資源)エネルギーは、計画的に効率良く使用すれば、大気中の二酸化炭素量を増やすことなく半永久的な利用が可能である。また、バイオマスを炭北して土壌に施用すれば、炭化物(以下、炭)はその重量の4割近くが炭素であり、しかも長期間にわたって分解しないため、大気中の二酸化炭素の増加を一層軽減することができ、温暖化防止に効果的である。さらに、炭の施用によって、土壌の物理性や化学性が改良され、これに加え、有用な土壌微生物の増加などの生物性も良好となることから、土壌の作物生産力を高めるとともに、土壌伝染性の病害防除にも有効であると思われる。また、炭は養液栽培用の培地にも適しており、さらに汚水や汚れた空気の浄化や酸性雨の中和などにも好適で、さらに、家畜糞尿などの有機濃厚汚液のろ材として優れた性能を保持していると言われる。このような背景の中で、著者らは主として、中学校の「技術・家庭科」や農業高校の「課題研究」さらには教育学部における栽培(農業)実習等での環境教育に関する製作教材用として、イネの籾殻(以下、籾殻)をくん炭化するとともに、その過程で発生する排(廃)熱をスターリングエンジン,などの外燃機関の熱源として利用できる簡単なくん炭化装置(以下、炭化装置)を空かん等を用いて試作したので、装置の概要と排煙中に含まれる排熱の温度、熱量、並びにくん炭の品質等について報告する。従来、籾殻くん炭の製造法には、個々の農家で小規摸に行われている専用簡易煙突を用いた方法や小型のくん炭製造機による方法等が知られている。また、籾殻を代替燃料として使用し、同時に産出される籾殻くん炭を利用するための籾殻燃焼炉による方法、あるいは、籾殻加熱ガス化利用システムによる製造方法等、多様なものがある。しかし、籾殻くん炭を製造するとともに、製造過程における排煙中に含まれる排熱を直接有効利用できる方式は見あたらない。