著者
川窪 広明 松富 謙一 井之上 節朗 Hiroaki KAWAKUBO Ken-ichi MATSUTOMI Setsuro INOUE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.69-109, 2009-03-31

本報告は、2009年度特別研究、「尾道空き屋再生プロジェクト参加による学生の社会体験教育と建築の学習に対するモティベーション向上」に関するものである。この特別研究は、尾道市の斜面地に数多く存在する空き屋再生活動に取り組んでいるNPO法人・尾道空き屋再生プロジェクトとの協働により、実際の住宅再生作業を通して学生に社会体験をさせることを主な目的としている。また9月に開催された「尾道建築塾夏合宿」には、本学の学生以外にも全国各地から学生や社会人が参加し、尾道市東土堂町の傾斜地に建つ築52年の木造住宅の改装工事や五右衛門風呂製作を行った。本報告では、この夏合宿を中心に学生が作業内容や取得した技能などを日報形式で詳細に報告する。
著者
毛利 美穂 Miho MORI
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.(77)-(88), 2009-03-31

日本最古の仏教説話集とされる『日本霊異記』下巻三十八縁には表相譚がえがかれている。表相思想とは、まず前兆「表」があらわれ、その後、その必然的な結果「答」が到来するという考えで、当事者の善悪にかかわる倫理的行為を起因とする仏教の因果応報とは異なる考えであることから、当該縁は、特異な存在として位置付けられている。当該縁には「狐鳴」「狐屎矢」という現象が記され、それが景戒の息子と馬の死をもたらすものをして登場する。この「狐」の凶兆性と、道教医療思想による狐の呪的要素を指摘することにより、景戒が当該縁に課した真の意味を明らかにする。
著者
石毛 弓 Yumi ISHIGE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-16, 2013

人格の同一性の規準について、ロックの意識説を基にしてその妥当性を論じる。ロックは、人格とは思考する知性ある存在であり、理性と省察をそなえたものであるとする。そしてこのような主体が、意識によって自己の経験を把握するかぎりにおいて、時間を通じた人格のD同一性がなされると主張した。自己の意識によって心理的なものを把握することが人格の同一性の規準を保証するとすれば、この意識とは「わたし」を主語とする一人称的なものであると考えられる。しかしまたロックは、法による賞罰を受けるに値する存在としても人格とその同一性を論じている。この点にかんしては第三者が観察した結果が影響するため、一人称と対比する意味で三人称的な言説であるといえるだろう。本論では、これら一人称と三人称の言説の両方が人格の同一性の規準には必要であることを、心の哲学における議論を参照しながら分析する。また、人格の同一性の規準を研究する必要性について、その社会的な意味と意義という観点から論じる。
著者
森元 伸枝 大森 信 加護野 忠男
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

神戸の洋菓子業界には、規模の異なる複数の企業群(全国ブランド化した企業群と地域密着型の企業群)が存在しており、その企業群の人材育成のしくみに焦点をあてることで、業界が存在する地域の規範的要素や社会構造が地域産業における長期にわたる継続的成長に向けた協働にどのような戦略的影響があるかを明らかにしようとした。その過程で、菓子業界における未曽有の変化により、神戸の洋菓子業界内に新たな第三の企業群の存在を発見した。
著者
坂本 理郎 西尾 久美子
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、キャリア初期にある若手社員の成長に対して、どのような態様の関係性が有効であるか、どのようにしてその関係性は形成されるかを探った。ある製造企業の大卒若手社員35名とその上司11名に対して、アンケートおよびインタビュー調査を実施した結果、相対的に高い成長を示す若手社員は、特定の上司や先輩との垂直的で濃密な人間関係を持つ者よりも、対象が比較的多様で緊密さが緩やかな人間関係を構築していることを確認することができた。