著者
石毛 弓 野波 侑里 本田 直也 淺谷 豊 藤森 圭子 ISHIGE Yumi NONAMI Yuri HONDA Naoya ASATANI Yutaka FUJIMORI Keiko
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.149-167, 2022-07-31

大手前大学学修サポートセンターに対する学生の動向を知り、かつ利用学生への学修効果を調べる目的でアンケート調査を実施することとなった。そのために、まず2021年度春学期にパイロット調査を実施した。本論ではその結果について考察する。なお当該調査を実施するに至った大きな要因に、2021年度からいたみ稲野キャンパスが閉鎖され、同キャンパスに通学していた学生がすべてさくら夙川キャンパスに所属したことが挙げられる。両キャンパスの学生がひとつの場所で学修支援を受けるのは大手前大学にとって初めてのことである。この統合を受けて、学修サポートセンターもまた大きく変容することとなった。これをきっかけとして、変化のあった2021年度を起点に継続的なアンケート調査を開始するべきだという機運が高まったのである。本論では、最初に授業外学修へのサポートの必要性を検証したのち、大手前大学における学修サポートセンターの概要を述べ、パイロット調査の結果について分析する。考察として、学生の動向については、利用回数と考え方や行動の変化に関連があること、また学修における自律性が弱いといった特徴がみえたことが挙げられる。またパイロット調査として、設問の妥当性や今後の課題について有用なデータを得ることができた。
著者
合田 美子 山田 政寛 石毛 弓 山本 佐江 田中 洋一
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、自身の成長のために有用なフィードバックを誘起するために必要な要因を明らかにし、体系的にモデル化することを目的としている。研究方法は、データ駆動型アブローチとナレッジ駆動型アプローチを組み合わせる。研究範囲は、学習者とフィードバック提供者の1対1の場面、研究会のような学習者と複数のフィードバック提供者がいる1対多の場面とする。また、フィードバックをもらう場面だけでなく、その前後の要因も含め、動的・静的なフィードバック誘起要因を同定する。本研究では、フィードバックの提供だけでなく、学習者からの働きかけにより、より質の高いフィードバックを誘起する手法を提案する。
著者
石毛 弓 Yumi ISHIGE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-14, 2016-03-31

さまざまな哲学者たちが人格の同一性に関する論を展開しているが、なかでもデレク・パーフィットは彼独特の一種ラディカルな見解を示している。それを端的に示せば、「人格の同一性は、私たちの生存にとってもっとも重要なものではない」になるだろう。この見解は彼自身が認めている通り、一般的な経験からすると受け入れることが難しいものである。本論は彼がこの見解に至った過程を考察するとともに、その妥当性を功利主義の観点から検討する。まずパーフィットにおける人格の同一性の概念を、彼の論に沿って「非還元主義」と「還元主義」に分けて解説する。非還元主義とは、人格はなにかによって説明され得るものではなく、それそのものとしか表しようがないとする考えを指す。他方、還元主義では、人格の同一性はなんらかの経験的なものによって説明され得るとみなされ、彼自身の考えは大きくくくればこちらに与する。人格の概念に対してパーフィット流の還元主義を選択した場合とそうでない場合では、私たちの思考や態度は変化するだろう。後半ではこの変化をとくに功利主義の観点から追い、人格に対する彼の主張を検証する。
著者
石毛 弓 Yumi ISHIGE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-14, 2015

さまざまな哲学者たちが人格の同一性に関する論を展開しているが、なかでもデレク・パーフィットは彼独特の一種ラディカルな見解を示している。それを端的に示せば、「人格の同一性は、私たちの生存にとってもっとも重要なものではない」になるだろう。この見解は彼自身が認めている通り、一般的な経験からすると受け入れることが難しいものである。本論は彼がこの見解に至った過程を考察するとともに、その妥当性を功利主義の観点から検討する。まずパーフィットにおける人格の同一性の概念を、彼の論に沿って「非還元主義」と「還元主義」に分けて解説する。非還元主義とは、人格はなにかによって説明され得るものではなく、それそのものとしか表しようがないとする考えを指す。他方、還元主義では、人格の同一性はなんらかの経験的なものによって説明され得るとみなされ、彼自身の考えは大きくくくればこちらに与する。人格の概念に対してパーフィット流の還元主義を選択した場合とそうでない場合では、私たちの思考や態度は変化するだろう。後半ではこの変化をとくに功利主義の観点から追い、人格に対する彼の主張を検証する。
著者
石毛 弓 寺田 未来 西尾 信大 Yumi ISHIGE Miki TERADA Nobuhiro NISHIO
出版者
大手前大学CELL教育研究所
雑誌
大手前大学CELL教育論集 = Otemae University CELL journal of educational studies (ISSN:21855641)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.009-016, 2017-03-31

大手前大学の学習支援センターでは、webフォームを用いて学生がライティングを送り、ルーブリックのかたちでフィードバックを得る「ライティング・チェック・システム」を実施している。本論では当該システム導入の経緯からその運用、また使用しているルーブリックを紹介する。ライティングへの学習アドバイスは、対面で行うほうがより高い学習効果を得られるだろうことは了解している。しかし学生のなかには、さまざまな理由から学習支援センターへの来室が困難な者がいる。本システムは、対面アドバイスが難しい学生であっても受けることができる学習支援の一例として位置づけたい。
著者
石毛 弓 Yumi ISHIGE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-16, 2013

人格の同一性の規準について、ロックの意識説を基にしてその妥当性を論じる。ロックは、人格とは思考する知性ある存在であり、理性と省察をそなえたものであるとする。そしてこのような主体が、意識によって自己の経験を把握するかぎりにおいて、時間を通じた人格のD同一性がなされると主張した。自己の意識によって心理的なものを把握することが人格の同一性の規準を保証するとすれば、この意識とは「わたし」を主語とする一人称的なものであると考えられる。しかしまたロックは、法による賞罰を受けるに値する存在としても人格とその同一性を論じている。この点にかんしては第三者が観察した結果が影響するため、一人称と対比する意味で三人称的な言説であるといえるだろう。本論では、これら一人称と三人称の言説の両方が人格の同一性の規準には必要であることを、心の哲学における議論を参照しながら分析する。また、人格の同一性の規準を研究する必要性について、その社会的な意味と意義という観点から論じる。