著者
青野 智子
出版者
文化経済学会〈日本〉
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.51-64, 2003

アメリカ演劇と言えば従来、ブロードウエイのミユージカルやオフ・オフ・ブロードウエイの実験演劇等が関心を持たれてきたが、今日のアメリカ演劇文化の一翼を担うもう一つの主要な演劇カテゴリーとして、リージョナルシアターが存在している。本稿においては、1960年代後半から1980年代までの、リージョナルシアターにおける上演作品の変化を分析することで、当初ブロードウエイから独立した演劇活動を目指したリージョナルシアターが、ブロードウエイを中心とした、演劇作品の全国的な生産・流通構造の中に組み込まれてゆく過程を検証する。
著者
大木 裕子
出版者
文化経済学会〈日本〉
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.87-96, 2002

日本の文化交流は、芸術家・文化人の派遣、招聘など人的交流を中心に始められ、その後オーケストラや歌舞伎の公演、日本古美術展など単発の催し物事業、近年では次第に大規模な文化事業として展開されるようになった。「フジヤマ・ゲイシャ」に代表された日本の姿から、現在の世界に認められる日本文化は、歌舞伎をはじめとした日本伝統文化に留まらず、文学からマンガ・アニメといつた大衆文化にまで拡大の一途をたどっている。
著者
渡部 薫
出版者
文化経済学会〈日本〉
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.31-41, 2005

本稿は、都市の創造性の議論に対して、消費的視点の重要性を主張し、消費者の文化創造能力を切り口に文化消費と創造的環境の関係について考察を行った。消費者の文化創造能力は都市の文化空間において表現活動を中心にして発揮されるが、この能力が都市の創造的環境の形成に貢献するためには、文化空間において消費者の活動を創造的なものに方向付ける創造的な文化資本が備わっていることが一つの条件になる一方で、消費者の文化創造能力が生産する意味はこのような創造的な文化資本の維持・更新に寄与していることが示された。