著者
大木 裕子
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学芸術情報学部紀要 (ISSN:13471023)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.65-77, 2004-03-31

本研究では、定番キャラクターの事例としてハローキティ、ドラえもん、スヌーピーを取り上げ、それらの共通要因を探ることで、付加価値を高めるブランド・マネジメントについて考察した。成功要因としてハローキティにはドメスティック・ミックスとキャラクターの薄さ、ドラえもんには箱庭的世界観、スヌーピーには感情移入しやすいストーリーを見出した。3つの定番キャラクターの共通要因としては、キャラクターとしての「昇華」と、顧客を取り込み続けるエンジンの存在があげられる。アーカーは、ブランドの特性として「接触度」「連想」「信頼性」「認知度」「ロイヤルティ」の5つをあげているが、事例として取り上げたキャラクターにはこれらの特性が組みこまれており、結果として定番キャラクターを創り出していることがわかった。また、ブランドを創り出すのが究極的には人であることを考えると、作品を生み出す芸術家のマネジメントは、企業にとって重要な課題となる。
著者
大木 裕子
出版者
尚美学園大学芸術情報学部
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
no.18, pp.65-81, 2010-11

ストラディヴァリの生誕地でもある北イタリアのクレモナは、長年に渡る空白の時代を経たのち、20 世紀になって再び世界のヴァイオリン産地として復活した。産業クラスターを構成するクレモナのヴァイオリン製作者にとって、クレモナで製作する最も大きなメリットは、製作者同士のピアレビューと知識の交換にある。海外から製作者たちが集り国際的コミュニティとなったクレモナでは、現代のトップ・マエストロたちが中心的存在となってヴァイオリン製作者たちの技術を牽引している。クレモナのヴァイオリン製作者たちは、クレモナを一つの大きなヴァイオリン工房として捉えており、この協働意識が国際的な競争優位性をもたらすと共に、クレモナをヴァイオリン製作の世界的メッカする原動力となっている。クレモナのブランド戦略は、プロでも初心者でもない中間層ユーザーを狙ったもので、その市場は製作者たちの出身国に広がり、産業クラスターとして見事に成功した。
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-25, 2010-10

初期のピアノにはウィーン式とイギリス式の2つのアクションが存在していたが,イギリスと大陸を行き来する音楽家を介して双方のよさを取り入れたピアノが開発されるようになった.イギリスを中心としたヨーロッパのピアノ製作は伝統にこだわる一方で,アメリカでは積極的な技術革新が進められ,世界のピアノ生産の中心はアメリカに移っていった.本稿では欧米の主要ピアノメーカーを中心に,19世紀の終わりに完成したピアノという楽器の技術革新の過程を振り返る.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.1-25, 2010-10

初期のピアノにはウィーン式とイギリス式の2つのアクションが存在していたが,イギリスと大陸を行き来する音楽家を介して双方のよさを取り入れたピアノが開発されるようになった.イギリスを中心としたヨーロッパのピアノ製作は伝統にこだわる一方で,アメリカでは積極的な技術革新が進められ,世界のピアノ生産の中心はアメリカに移っていった.本稿では欧米の主要ピアノメーカーを中心に,19世紀の終わりに完成したピアノという楽器の技術革新の過程を振り返る.
著者
大木 裕子 古賀 広志
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.19-36, 2006-06

本稿の目的は,クレモナの弦楽器工房における知の転換メカニズムを探る上での予備的考察として,クレモナにおける弦楽器製作の現状と課題を整理することにある.公開資料よりクレモナの概況,世界のヴァイオリン製作の現状,クレモナのヴァイオリン製作学校,ヴァイオリン製作コンクールについてまとめ,現地調査により伝統工芸が抱える問題点について考察した.結論として,ヴァイオリン製作という伝統工芸が抱える問題点は,「楽器の個性を製作者がいかに表現していくのか」という点にある.「楽器と演奏家の相互依存関係ないしスパイラル関係」は神話化され,ヴァイオリンという楽器の価値を高めるのに役立っている.製作者が考える伝統と個性に加えて,音色に関わる神話が楽器の個性を彩っている.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.21-39, 2005-12

はじめにⅠ.イタリア弦楽器製作の歴史Ⅱ.クレモナ派のヴァイオリン製作者Ⅲ.クレモナ黄金時代をめぐる環境的考察おわりに
著者
大木 裕子 尾崎 弘之
出版者
京都産業大学
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.19-41, 2005-06

はじめにⅠ.成長モデルに関する先行研究Ⅱ.芸術組織の成長モデルⅢ.仮チェックリストの作成おわりに
著者
大木 裕子 飯島 佐知子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.116-125, 2013-12-28 (Released:2018-08-10)
参考文献数
39

目的:文献検討により,患者の転倒リスクと予防対策の関連,および転倒リスク要因と予防対策の対応を調べ,それらの転倒予防効果を確認すること.方法:PubMed,CINAHL,医中誌Webを用い,2002~2011年の期間について,病院の入院患者を対象に複合的な転倒予防対策を実施した論文を検索し,28文献を抽出した.結果:患者の転倒リスクと予防対策の組み合わせ方には次の4種類があった.A)リスクスコア算出により転倒危険度を評価し,危険度別に対策を実施する方法,B)危険度の評価に加え特定のリスク要因に対して対策を実施する方法,C)転倒の原因となるリスク要因を識別するアセスメントにより対策を実施する方法,D)あらかじめ特定した転倒リスク要因に対応した対策を実施する方法である.これらの組み合わせ方の違いによる転倒予防効果の大きな相違はなかった.また,リスク要因として挙げられたものは,①認知,②移動,③①と②の組み合わせ,④薬剤,⑤その他の5分類であった.リスク要因に対する予防対策の組み合わせは多様であった.移動のリスク要因に対する,運動関連の対策で転倒予防の効果が期待されたが,その他の効果は決定的でなかった.結論:今後は,患者の転倒リスクと予防対策を結びつける最善の方法を,コスト面の評価を含めて検討すること,転倒リスク要因に対する予防対策の効果を明確にしていくことが必要である.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.153-171, 2011-10

韓国の利川では伝統的な製法を取り戻し,かつて栄えたような陶磁器の製造を復活させようと産業クラスターの育成に尽力している.2010年にはユネスコからクリエイティブ・シティの認定も受け,世界陶磁器センター,陶芸村,ビエンナーレの開催,教育機関などインフラは整備されつつある.本稿では,利川のクリエイティブ・シティとしてのクラスター戦略を分析し,陶磁器産業発展のための施策について考察する.日用品より芸術志向が強い陶磁家が集まる利川では,集積のメリットを生かし切れていない現状がある.アート市場 の創造,利川ブランドの確立に向けたシステム構築が課題としてあげられる.
著者
大木 裕子
出版者
京都産業大学マネジメント研究会
雑誌
京都マネジメント・レビュー (ISSN:13475304)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-22, 2012-12

有田の陶磁器クラスターをポーターのダイヤモンド・モデルにより分析した.有田の製品は業務用食器が中心で,作家による芸術品とは明確な区別がされながら二極化している.有田では共販制度のために,産地問屋が資本力,組織力,信用力を組合に依存している構図となっており,集積には大資本もプロデュース力もない.他の産地は問屋だけがリスクテイカーだったが,有田は問屋もリスクを負わない仕組みとなっている.陶磁器産業では世界的にも有田のように300年以上の年月をかけ伝統が脈々と続いている産地は少ない.有田は分業体制の呪縛の中で,クラスターを存続させるための模索している.
著者
大木 裕子
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.27-39, 2011-03-01

ウクレレはハワイで民族楽器として誕生した小型の弦楽器で、1920年代に第1次ブーム、1950年代に第2次ブームを迎えた。その後は大手企業が撤退する中で、家内工業的なメーカーが細々と生産を続けてきたが、ウクレレを使う著名アーティストの出現もあり近年になって人気が復活し、現在は第3次ブームの到来とも言われている。音量の弱い、柔らかい音色を特徴とするウクレレだが、京都の占う らべ部弦楽器製作所ではこれまでのウクレレの概念を覆す革新的な楽器を作り出そうとしている。ここでは、素材や技術、情報といった側面において京都という伝統ある「場」をうまく活用しながら、販売面では東京を拠点としたビジネスの展開を特徴としている。本稿では、この占部弦楽器製作所のウクレレ製作の事例からイノベーションの源泉について考察する。