著者
片岡 哲夫 細谷 久信 江村 清
出版者
新潟県内水面水産試験場
巻号頁・発行日
no.9, pp.35-42, 1980 (Released:2013-10-08)

大河津分水路河口近くで捕獲した親魚を蓄養し、その体型の変化及び成熟過程を調査した。また、カワヤツメのふ化率に対する水量及び光の影響について検討を行った。そして、人工ふ化により得た幼生を10ケ月以上飼育した。1. 蓄養により親魚の体重、体長、L 1、L 3、L 5は減少傾向を示したが、L 2、L 4は増加傾向を示した。2. 蓄養親魚は、24尾中20尾が成熟し、全数が成熟するまでに蓄養開始日から28日を要し、各親魚の成熟日数にばらつきがみられた。3. ふ化率に対する水量の影響では、注水量が2.67ml/分cm2の区でふ化率が32.2%と最高となった。4. ふ化率に対する光の影響では、授精直後で光による悪影響はみられたが、授精後8日以降では各区によって違いがみられた。5. カワヤツメの幼生は、ふ化後14日で平均体長0.74cm、123日で6.31cm、315日で8.97cmに成長した。
著者
片岡 哲夫 細谷 久信 江村 清
出版者
新潟県内水面水産試験場
巻号頁・発行日
no.8, pp.28-32, 1980 (Released:2013-10-08)

新潟県大河津分水路の河口から1km上流及び新潟県三面川の河口から19㎞上流で捕獲した親魚の体長、L 1、L 2、L 3、L 4、L 5、体重、卵重量、熟度、孕卵数について調査した。1)大河津分水路産親魚の体長及び体重は、三面川産親魚のそれと比較して大きく、特に雌に大きな差がみられた。2)L 1、L 2、L 5については、各親魚とも体長比は大きな差が見られないが、L 3、L 4については、大河津分水路産親魚と三面川産親魚との間に、成熟こよる体型の変化による差がみられた。3)大河津分水路産雌親魚の卵重量は20g~70g、熟度は0.10~0.30の間にみられ、溯上直後でも成熟度にかなりのひらきがみられた。三面川産雌親魚は、卵重量・熟度が0のものがかなりおり、分布にかたよりがみられた。4)大河津分水路産雌親魚の成熟しているものについて、卵数の計測を行なったが、103,000粒~122,000粒であった。
著者
宮尾 誠 山本 昭
出版者
新潟県内水面水産試験場
巻号頁・発行日
no.11, pp.55-61, 1984 (Released:2013-10-08)

スジエビ養殖において、放養密度がスジエビの成長等にどのような影響を与えるかを調査するために、面積5m2の試験池3面に1区1,200尾、2区600尾、3区300の稚エビを放養し、成長等の比較試験を実施した。1. 夏期の高水温期に1区の給餌率が、2区および3区よりも約1.5%低くかった。2. 歩留率は、夏期の高水温期に大量斃死がみられた。1区を除いて、90%以上の高率であった。3. 平均体重および平均総体長は、放養密度の高い試験区ほど小さかった。4. 平均体重と平均総体長の関係は、3試験区とも同じであった。5. 増重倍率は、放養密度の高い試験区ほど小さかった。6. 餌料効率は、3試験区とも50%以上の高率であった。7. 1m2当りの生産量は、放養密度の高い試験区ほど大きかった。
著者
鈴木 三也 細谷 久信
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.5, pp.101-102, 1977

ニシキゴイの肝臓,腎臓及び脾臓の組織標本においてヘマトキシリン-エオジン染色で黄褐色に見える粗大顆粒は消耗性色素の名で総称され,ニシキゴイにおいても消耗性色素の沈着が認められる場合,病理学的にはその沈着部位を中心に臓器の機能障害が起っていることは明らかである。筆者らはニシキゴイにおける消耗性色素が臓器を押しつぶしただけの無固定無染色の標本で確認されることに着目し,麻酔後のニシキゴイの右側胸鰭後方にシルバーマン針を挿入して約1mm3の肝膵臓組織を取り出し,スライドグラス上で押しつぶして検鏡し肝膵臓における消耗性色素沈着の有無及びその程度から魚の健康状態について考察し,内臓病変診断の一助とした。
著者
網田 健次郎
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.21, pp.29-31, 1995

第2極体放出阻止型雌性発生親魚の白無地から再雌性発生魚を作出して、その特性について検討した。1. 第2極体放出阻止型雌性発生子魚の紅白出現率は89.5%で、高率であった。2. 第1卵割阻型子魚は調査尾数がは少ないものの全て赤無地であった。3. 白無地と対照区である赤無地・白無地・紅白との交配では、子魚における紅白の出現率は50%前後であり、また赤無地・白無地の出現率は、それぞれの雄親魚により異なる傾向であった。4. 紅白子魚の平均赤斑量は、極体放出阻止型では26.5%、赤無地雄親魚からでは68.9%、白無地雄親魚では36.4%、紅白雄親魚では25.5%であった。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.3, pp.109-113, 1974

錦鯉の選抜育種において次代の親魚候補の選出を容易にする目的で数組の紅白,大正三色を使用,F1,F2での兄妹間交配を行なった。1. F2まで選抜した紅白については親魚の表面上の形質が優れているものほど優れた仔が入手できた。2. F1まで選抜した大正三色については親魚の形質が必ずしも仔と一度せず,表西上の形質だけで親魚候補を選抜することは問題があるように思われる。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.8, pp.74-79, 1980

紅白の発生、遺伝に関する基礎的な資料を得る目的で紅白、紅白から出現した赤無地、白無地を各々3代交配し、出現品種の種類と比率を調べた。1)赤無地×赤無地では全て赤無地が100%出現した。2)白無地×白無地における選抜の効果は認められたが、白無地は100%出現しなかった。3)紅白×紅白における選抜の効果は認められなかった。4)紅白×紅白における出現品種の分離比はまちまちで、その遺伝は質的形資でなく量的形質の遺伝様式に合致した。
著者
佐藤 将
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.28, pp.1-5, 2004

2002年に新潟県内水面水産試験場で保有していたニシキゴイ親魚(紅白・大正三色♀27個体、♂12個体)、中国産コイの荷包紅鯉(♀1個体)および荷包紅鯉とニシキゴイの交雑魚(♀2個体、♂4個体)について、マイクロサテライトDNAマーカー(MFW-1*、MFW-18*、Cca-21*、Cca-30*)を用いて、DNA型(アリル型)による個体識別を試みた。各マーカー座の有効アリル数は1.3~3.4と低く、ホモ過剰またはヘテロ過剰の傾向を示した。紅白では、一部で全く同じアリル型の組合せを示す個体があったが、多くの個体は識別が可能であった。大正三色および交雑魚では、すべての個体でアリル型の組合せが異なり、アリル型の組合せによる個体識別ができた。
著者
岩橋 正雄 富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.4, pp.71-74, 1976-08

紅白が100%出現する親魚を養成する目的で紅白から得られた赤無地,白無地を純粋種又はそれに近い状態に選抜し,その間で交雑を行い紅白の出現率を調べた。1. 紅白の出現率は赤無地,白無地の選抜をかさねるほど高くなりF2においては最高99.6%平均90%に達し紅白は赤無地と白無地の中間種(F1)と認められた。2. 紅白型付の出現率は赤無地,白無地の選抜をかさねるほど退色因子の作用が強められ低下した。3. 今後退色因子の少ない赤無地,白無地を作り上げればF1の実用化が期待できる。
著者
富田 政勝
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.16, pp.59-64, 1990

2つの選抜主体形質を区分した紅白(紅白A:模様と白地、紅白B:緋質とキワ)において、選抜(1970年より4~5代)を繰り返すことによる形質変化と、その後における相互交配(1989年)で得た魚の形質比較を試みた。なお、結果については累積選抜率(%)および、形質を並以上に持つ魚の出現率で比較した。1. 紅白Aでは2代目、紅白Bでは3代目でその累積選抜率は各々17.0%、13.7%と最高を示したが、ともに3代目、4代目以降は漸次累積選抜率の低下が見られた。2. 「模様」と「白地」を主体において交配(1989年)した紅白A同志の組合わせからは、これらの形質を「並」以上に表現した魚がそれぞれ78%、72%得られた。3. 「緋質」と「キワ」を主体において交配(1989年)した紅白B同志の組合わせからは、これらの形質を「並」以上に表現した魚がそれぞれ90%、50%得られた。4. 紅白Bの組合わせにおいて、主体選抜形質としなかった「模様」・「白地」が、これを「並」以上に表現した魚がそれぞれ95%、100%であった。5. 紅白Bの♀にAの♂を配した組合わせが、「緋質」、「キワ」、「模様」、「白地」の形質を「並」以上に表現した魚の出現率は、それぞれ92%、77%、94%、100%で、組合わせの中ではいずれも最も高い値を示した。
著者
岩橋 正雄 涌井 治雄
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.1, pp.47-52, 1971

錦鯉紅白2才魚を使用,錦鯉体色中の赤色と飼育環境との関係を調べた。なお体色変化の判定は肉眼と色差計によった。1. 紅白赤斑部の赤味が増した要因として,数種のカロチノイド色素又はその含有物添加餌料塩化ナトリウム添加用水,スレート波板で遮光中であったが,この内特に錦鯉色上げに効果があると思われる要因はアスタキサンチン色素とルティン含有物添加餌料であった。2. 錦鯉体色を鮮明にする要因としては土池と塩化ナトリウム添加用水中が上げられた。
著者
網田 健次郎
出版者
新潟県内水面水産試験場
雑誌
新潟県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03861643)
巻号頁・発行日
no.20, pp.29-33, 1994

赤斑量の異なる第2極体放出阻止型雌性発生親魚から再雌性発生魚を作出して、その特性について検討した。1. 雌性発生魚からのふ化率は、対照区を含めて低率な点がみられた。2. 第2極体放出阻止型雌性発生子魚の紅白出現率は平均89.7%で、高率であった。3. 親魚の紅白赤斑量の多さに対応して、第2極体放出阻止型雌性発生子魚の赤斑量には規則性がみられた。