著者
阿部 範子 Noriko ABE 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-6, 2007

本研究の目的は、母親のライフスタイルと充実感を知り、育児不安との関連性を検討することである。それにより育児不安に影響を与える要因、育児不安が日常生活に対する充実感に与える影響を明らかにすることを目指す。調査は1歳6ヶ月児、3歳児を第1子とし、第1子のみを持つ母親を対象とし、「趣味に時間を割くか」、「地域活動・学習活動への参加状況」、「育児サークルへの参加状況」、「充実感・幸福感を得られる行動は何であるか」を調査し、育児不安尺度をもとに採点した「育児不安得点」との関係を比較した。結果、趣味に時間を割いている母親は育児不安が弱いこと、地域活動・学習活動参加のために外出する頻度が多いほど育児不安は弱くなる傾向が明らかになった。このことが育児不安を低減させているのか、または精神的余裕を持ち合わせた母親がそうであるのかは明らかではなく、今後の検討課題である。育児不安が弱い母親に比較し、強い母親は「子どもと遊んでいるとき」「夫と話をしているとき」「子どもの世話をしているとき」に充実感・幸福感を得ることが少ない傾向にあった。
著者
重川 敬三 Keizo SHIGEKAWA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.47-51, 2003

20~21歳の健常な女性5名を対象に、空気動圧センサーを用いて音楽鑑賞時の呼吸周期の変動を調べ、リラックス感との関係について調査した。1.受動音楽により呼吸周期の変動が明らかとなり、呼吸変動係数とリラックスの感じ方では受動曲の違いにより変化が示された。2.呼吸変動係数とリラックスの感じ方は、個別性に影響されていることが示され、リラクゼーションを目的とした受動音楽では、個々のバックグラウンドや生活体験を考慮する必要性が示唆された。3.空気動圧センサーを用いることによって呼吸周期の変動を捉えることが可能となり、呼吸動態を基に音楽による生体反応について、今後、さらに解明されることが期待される。
著者
小坂 信子 大高 恵美 Nobuko KOSAKA Emi OOTKA 日本赤十字秋田短期大学看護学科 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.55-60, 2007

A県内看護教育機関7校を対象に、小児期感染症(麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎)の感染予防対策の現状を把握した結果、以下のことが明らかになった。1)抗体価検査は4種全てを「実施している」機関は3校あった。それらは1年次生に入学後に実施しており、経費負担は様々であった。2)既往歴の聴取は4種を4校が、予防接種歴の聴取は5校が実施していた。3)抗体価検査・既往歴の聴取・予防接種歴の聴取を行っていない機関が1校あった。4)学生への啓発活動は「入学時オリエンテーションでの説明」3校、「学内掲示板への掲示」2校あり、その他実習オリエンテーションや関連する講義で行っていた。今後、1年次早期に感染予防教育の一環として感染予防の意義や副反応対策までの具体的な説明の必要性が示唆された。
著者
志賀 くに子 伊藤 榮子 Kuniko SHIGA Eiko ITOU 日本赤十字秋田短期大学看護学科 日本赤十字秋田短期大学看護学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.11, pp.29-35, 2007-03-20

産褥早期の乳房・乳頭トラブルの発生件数・内容およびそれらに対するケア内容について明らかにすることを目的に、秋田県内医療施設(18施設の褥婦364名)に対して調査を行った。その結果を以下に示す。1.乳房・乳頭トラブルは153名(42.0%)の褥婦に発生しており、最も多い発生時期は産褥3日目の52名(34.0%)であり、次いで産褥2日目の42名(27.5%)、産褥4日目の26名(17.0%)であった。2.乳房・乳頭トラブルの発生状況で最も多いのは、亀裂の56名(36.6%)であり、次いで痛みの38名(24.8%)、うつ乳の30名(19.6%)、発赤の28名(18.3%)、硬結の27名(17.7%)であった。3.乳房・乳頭トラブル時のケア内容で最も多いのは、授乳指導の82名(53.6%)であり、次いで乳頭マッサージの50名(32.7%)、自己搾乳指導の47名(30.7%)、生活指導の35名(22.9%)、冷湿布の30名(19.6%)であった。Our aim is to elucidate the incidences and types of breast and nipple problems in puerperal women and their treatment at medical facilities in Akita prefecture (18 facilities, 364 women). Wepresent the results as follows. 1. Breast and nipple problems were experienced by 153 puerperal women (42.0%). Symptoms most commonly emerged at 3 days postpartum (52 women, 34.0%) followed by 2 days postpartum in (42 women, 27.5%) and 4 days postpartum (26 women, 17.0%). 2. The symptom with the highest incidence was cracked nipples (56 women, 36.6%) followed by pain (38 women, 24.8%), and galactostasis (30 women, 19.6%), redness (28 women, 18.3%), and engorgement (27 women, 17.7%). 3. The most common treatment in response to breast and nipple problems was breastfeeding assistance (82 women, 53.6%) followed by nipple massage (50 women, 32.7%), assistance in manual extraction of milk (47 women, 30.7%), lifestyle guidance (35 women, 22.9%) and cold compress (30 women, 19.6%).
著者
土室 修 大島 久直 Osamu TSUCHIMURO Hisanao OHSHIMA 介護福祉学科 介護福祉学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.4, pp.91-98, 2000-03-31
被引用文献数
1

明治期から現在にかけて,農山村社会は大きく変化している。これまで,村落共同体に存在していた相互扶助や,家族がもっていた,生産,消費,生活保障,教育,娯楽,信仰,文化伝達といった機能は縮小し,その代替えとして,社会的諸制度が補完している。だが,高齢社会にあるいま,社会的諸制度だけでなく,地域と家族における共助・自助は,もっとも基本的支援体制であり,この基盤づくりが求められている。そのための前提として,本稿では,これまで農山村において,どのような相互依存関係があったのか,また,どのように変化したのか,その過程を明らかにしていく。From the Meiji era to the present, the farm village society has been changing a lot. Although the mutual aid custom existed in the local community and some family functions have substantially existed in it, now the functionmust be reduced and the social system have to come to complement these functions. Now, we need public welfare and the basis of the mutual aid as well as a fundamental organization to support familis, in the aging society. I, therefore, clarify the process of what the interdependent relation had grown and how it has changed in farm villages.
著者
齋藤 和樹 前田 潤 丸山 真理子 Kazuki SAITO Jun MAEDA Mariko MARUYAMA 看護学科(臨床心理学) 室蘭工業大学共通講座(災害心理学) 秋田赤十字病院心療センター
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.10, pp.23-32, 2006-03-15
被引用文献数
1

日本赤十字社から海外に派遣された救援要員のストレス要因を50人のアンケート結果から分析した。アンケートでは、時系列に沿って「I.海外派遣が決まってから出発するまで」、「II.現地に到着直後」、「III.現地で活動中」、「IV.帰国が決まって帰国するまで」、「V.帰国後仕事に復帰して」の5つの時期に、「1.どのようなストレスを感じたか」、「2.それらにどのように対処したか」、「3.その対処はどの程度有効であったか」、「4.感じているストレスに対して所属する機関や周囲の人にどのように対応してもらいたかったか」を聞いた。各時期にさまざまなストレスがあり、対処法もさまざまであったが、いくつかの時期に共通して見られるストレス要因も見いだせた。それらは「情報不足」、「コミュニケーション・言語の問題」である。これらを解決することは、派遣要員のストレスの軽減になるだろう。また、対処法の効果の10段階評価を見ると、「V.帰国後仕事に復帰して」が他の時期に比して低かった。帰国後の職場での派遣員への理解と配慮の必要性も伺われた。Stress factors of 50 delegates who were sent abroad from the Japanese Red Cross Society were analyzed. A special questionnaire was created to analyze stress factors at 5 situation points throughout the time line, which included" I. Pre-departure", "II. Initial arrival in the field", "III. During the mission", "IV. Mission completion, before returning to Japan.", and "V. After returning to Japan and the workplace." There were 4 questions for each situation included; "1. What kind of stress did you experience?", "2. How did you cope with the stress?", "3. How effective was your coping strategy?", "4. What did you want your workplace to do to assist you in coping?". Various kinds of stress factors in each situation and various coping styles are found. "Lack of information" and "communication and language problems", however, were common stress factors throughout all the situations. Solving these problems is expected to reduce their stress levels. In addition, the mean score of question 3 (coping effectiveness) in Situation V (after returning) showed lower scores than the other situations. The necessity for understanding and care given to the delegates after they come back to Japan was suggested.
著者
木村 滋 冨野 弘之 Shigeru KIMURA Hiroyuki TOMINO 日本赤十字秋田短期大学 日本赤十字秋田短期大学事務部
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.10, pp.9-22, 2006-03-15

辺縁系由来の情動活性化、記憶、意識について脳科学を概観し、好みの音楽を聴いて影響される被験者の脳波(α,β,θ)を調査した。また、モーツアルトの小夜曲、バッハのG線上のアリアの最初の小節とこおろぎの音のスペクトル分析をした。これらの音楽と音は癒し効果があるということで知られている。研究者の中にはモーツアルトの音楽や秋のこおろぎのような虫の音の3.5KHz~4.5KHzの周波数帯の音は癒し効果があると信じている人もいる。脳波測定の被験者は10代後半の女性、20代前半の男性、50代の男性、60代の女性で好みの1つの音楽、実験用に指定したよく知られた2つの歌謡曲、バッハのG線上のアリアを聴きながら脳波(α,β,θ)を測定した。好みの音楽はそれぞれβ波減少(-11~-1.3%)、θ波減少(-10~0%)とαW増加(+21.2~0%)を示した。指定した音楽は好みの音楽とほぼ同様の効果を示した。音響学的に分析したモーツアルトのセレナーデとバッハのG線上のアリアは上記の周波数帯には部分的にしか集まっていなかった。We have surveyed emotional activation originated from the neurological system (the limbic cortex), memory, consciousness, and have investigated the brain waves (α, β, θ) of subjects influenced by listening to their favorite music. We also have spectrographically analyzed the first parts of two pieces of music, Mozart's Eine Kline Nacht Musik, and Bach's Air on the G String and also a high-pitched sound (around 2.7KHz~3KHz) of a cricket in autumn. This music and the cricket sound are famous for their healing effect on many people. Some researchers have believed the frequency bound of these pieces of music and the sound of an insect, like a cricket, should focus on around 3.5KHz to 4.5KHz, the sound frequency which might affect healing. As to EEG measurements, the subjects were, a female in her late teens, a male in his early 20's, a male in his 50's and a female in her 60's. They have listened to the above music. Their favorite music decreased β wave (-11~-1.3%) and θ wave (-10~0%), and increased α wave (+21.2~0%), respectively. The assigned 3 pieces of music along with a piece of classic music (the Bach's Air on the G String) for the experiment had about the same effectiveness on them as their favorite music had. The sonogram of the part of Mozart's serenade and Bach's Air on the G string analyzed acoustically, partially showed a slight distinguished focus of the above frequency band.
著者
原田 慶子 齋藤 貴子 Keiko HARADA Takako SAITO 看護学科 看護学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.7, pp.69-74, 2003-03-15

本研究の目的は、教員2人が同じ方向で関わるためのあり方について考察することである。卒業研究における学生への関わりの過程をふり返ることによって、以下のことが明らかになった。1.学習目標や関わり方の方向性、お互いの役割の確認を早い時期に行う。確認後も途中で教員間に考え方の相違がある時は、2人で話し合う場をもち調整する。2.新人教員が窓口となるスーパービジョンですすめ、要所で2人の教員が参加するゼミナール形式の話し合いをする。3.話し合いの場では、学生の反応や話し合いの流れをみて、お互いに補い合う。The purpose of this research is to consider the way how to cooperate two teachers for the same direction. By looking back upon the process of graduation research, the following things became clear. 1. A study target, and the method of relation and each other role should be checked early. When a difference of a view exists among teachers on the way, it should be discusses and adjusts by two persons. 2. It is the Supervision from which a newcomer teacher becomes a window, and discusses a seminar at the key point. 3. Two teachers should support each other based on a student's reaction or the flow of talks.
著者
宮堀 真澄 澤井 セイ子 佐藤 怜 鈴木 圭子 三浦 正樹 Masumi MIYAHORI Seiko SAWAI Satoru SATO Keiko SUZUKI Masaki MIURA 介護福祉学科 秋田大学教育文化学部 秋田大学 介護福祉学科 介護福祉学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.31-39, 2003

本研究は、特別養護老人ホームに働く介護職員を対象に行った社会的スキルの結果から、今後の介護福祉士現任教育のあり方を考察したものである。調査の結果、(1)介護職員は総体的に利用者の表出行動などから、感情や態度を判断するスキルを高く評価していた。しかし、自分から表現をすることは総体的にできていないといえる。(2)若い世代の介護職員は比較的、社会的スキルの評価は低い結果であった。(3)資格では、訪問介護員が「感情コントロール」において介護福祉士より高く評価していた。(4)介護職員の社会的スキルの構造を明らかにするため因子分析をした結果、『伝達因子』・『解読因子』・『表出因子』・『感情統制因子』の4因子が抽出された。これらのことから、人間関係の学習は、継続して教育され、実践の場において活用されてこそ意義があると考える。したがって、介護福祉士の専門性を高める意味でも社会的スキル・アップの研修の場が必要であると考える。