著者
阿部 範子 Noriko ABE 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.1-6, 2007

本研究の目的は、母親のライフスタイルと充実感を知り、育児不安との関連性を検討することである。それにより育児不安に影響を与える要因、育児不安が日常生活に対する充実感に与える影響を明らかにすることを目指す。調査は1歳6ヶ月児、3歳児を第1子とし、第1子のみを持つ母親を対象とし、「趣味に時間を割くか」、「地域活動・学習活動への参加状況」、「育児サークルへの参加状況」、「充実感・幸福感を得られる行動は何であるか」を調査し、育児不安尺度をもとに採点した「育児不安得点」との関係を比較した。結果、趣味に時間を割いている母親は育児不安が弱いこと、地域活動・学習活動参加のために外出する頻度が多いほど育児不安は弱くなる傾向が明らかになった。このことが育児不安を低減させているのか、または精神的余裕を持ち合わせた母親がそうであるのかは明らかではなく、今後の検討課題である。育児不安が弱い母親に比較し、強い母親は「子どもと遊んでいるとき」「夫と話をしているとき」「子どもの世話をしているとき」に充実感・幸福感を得ることが少ない傾向にあった。
著者
掛谷 益子 Masuko KAKEYA 吉備国際大学保健科学部看護学科 Department of Nursing School of Health Science KIBI International University
雑誌
吉備国際大学保健科学部研究紀要 = Journal of Kibi International University School of Health Science (ISSN:13418904)
巻号頁・発行日
no.11, pp.11-14, 2006-03-31

医療現場における感染予防の基本は手指衛生であり、流水による手洗いと速乾性擦式手指消毒薬による擦式手指消毒が中心となる。本研究は、看護学生の手指衛生における手洗いと擦式手指消毒との手技の違いを明らかにすることを目的とし、A大学の看護学生(30名)を対象に、手指衛生について調査を行った。その結果、手洗いより擦式手指消毒のほうにミスが多く、指間、指先、拇指、手首の4部位において消毒しなかった学生が多く存在した。つまり、学生は適切な擦式手指消毒が実施できていなかった。また、手洗い時間の平均は56.2秒、手指衛生時間の平均は12.3秒であった。これらのことから、学生に対しては、手洗いに加え擦式手指消毒についての手指衛生教育が重要であることが示唆された。また、学生が短時間で効果的な手指衛生を実施できるためには、繰り返し練習が必要であることが再確認された。
著者
永島 聡 Satoru NAGASHIMA 神戸常盤大学保健科学部看護学科
雑誌
神戸常盤大学紀要 = Bulletin of Kobe Tokiwa University (ISSN:21884781)
巻号頁・発行日
no.7, pp.59-68, 2014-03-31

When teaching staffs teach undergraduates at nursing schools about the skills of nursing, it would appear while conveying the practical methods is emphasized, the philosophical backgrounds is not. This tendency encourages superficial understandings of patients and hinders empathy for the existence of patients.To have the deeper insight into patients, Joyce Travelbee's theory can be useful. She says her own theory of nursing is based on Victor.E.Frankl's Logotherapy (Frankl's theory is existentialism essentially) and that the nurses have to transcend the role as nurses in nursing actions.However, it seems Travelbee does not deliberate her own theory so sufficiently from the viewpoint of Frankl's philosophy, I think. In this article, I attempt to reconsider the practice of nursing education in light of Travelbee's theory and Logotherapy. And I would like to seek the indispensability of "interpersonal relationship" and "meaning" in nursing education.
著者
山本 捷子 Shoko YAMAMOTO 日本赤十字秋田短期大学看護学科 THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.2, pp.17-23, 1998-03-31

現在でも,戦前の日本赤十字社の救護看護婦の活動を讃えている人々がいるが,それはなぜかという問題意識から,戦前の日赤看護婦にはどのような思想が期待されたか,ならびにそれが社会の思想,特に女子教育とどのように関連しているかを検討した。日赤看護婦の活動を支えた思想は,俗に「不撓不屈の日赤看護婦精神」といわれるものである。それは日赤の初代社長佐野常民の訓示や救護員十訓という徳目の教化や,直接的間接的な皇室崇拝の教化によって培われ,日赤看護婦に期待される「尽忠報国」や「奉仕,忍耐,献身」の思想が形成されたといえる。日赤看護婦思想形成の背景には,明治中期以後の教育勅語教育体制や女性観として良妻賢母思想の教育が存在し,学校教育と日赤看護婦の思想形成の教育方法は,儀式や旗,歌など情緒的注入方法の点で共通することを明らかにした。Why, even now, do people give such high praise to the Relief Nurse of the Japanese Red Cross of pre-World War II? This study is an investigation of what kind of spirit was expected of Japanese Red Cross Nurse in pre World War II times. The relation of this spirit to the stream of social thought and women's education at that time was clarified. The nurse's spirit of the Japanese Red Cross was called "Sacrificial" and "Inflexicible", and these endurance qualities supported their hard taskls and sufferings.
著者
鈴木 啓子 平上 久美子 鬼頭 和子 Suzuki Keiko Hirakami Kumiko Kito Kazuko 名桜大学人間健康学部看護学科 Faculty of Human Health Sciences Meio University
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.23, pp.53-62, 2014-03

本研究の目的は,統合失調症患者を対象としハンドマッサージを行い,主観的指標および客観的指標を用いてリラクセーション効果を明らかにすることである。対象者は,民間の精神科病院に長期入院をしている10名の統合失調症患者である。毎回のハンドマッサージ実施前後の脈拍,血圧,「心地よさ」の自己評価点について検討した。又,全ハンドマッサージの介入前後において総合評価尺度を用いて検討した。マッサージ中の対象者の言動については質的に検討した。その結果,リラクセーションの自己評価点については全対象者で有意に得点の上昇が確認され,脈拍については7名,血圧については5名で有意に低下していた。全対象者において,ハンドマッサージが心地よさをもたらす反応がみられ,また,対象者自らが自分の困りごとについて自発的に語りだす等の変化があり,看護師(研究者)と対象者の関係がより良いものになった。以上より,ハンドマッサージは統合失調症患者に効果があることが示唆された。The purpose of this study is to clarify the relaxation effect of hand-massage using both subjective and objective indexes for patients with schizophrenia. The subjects were 10 schizophrenia patients with long-term hospitalization in a private psychiatric hospital. A subjective evaluation survey was conducted on their having "good feelings," pulse rates were taken, and blood pressure was measured before and after each hand-massage. An overall evaluation was also used to examine the patients before and after all massage interventions. Moreover, the behavior of the subjects during the massage was studied qualitatively. The major findings of this study are as follows: (1) relaxation levels significantly increased after hand-massage in all subjects, (2) pulse rates significantly decreased after hand-massage in 7 subjects, (3) blood pressure significantly decreased after hand-massage in 5 subjects, (4) overall evaluation scale did not show significant differences. All subjects were observed to have "good feelings" while receiving hand-massage. They began to talk about feelings and worries voluntarily during hand-massage,and the relationship between the nurses (researchers) and subjects improved. The results suggest that hand-massage is effective on patients with schizophrenia.
著者
中田 真依 服部 ユカリ Mai Nakata Yukari Hattori 北海道文教大学人間科学部看護学科 旭川医科大学医学部看護学科
出版者
北海道文教大学
雑誌
北海道文教大学研究紀要 (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.39, pp.39-50, 2015-03

本研究の目的は,急性心筋梗塞で入院中にせん妄を体験した患者の思いを明らかにすることである.闘病記録をnarrative と位置づけ,せん妄に関連のある内容を記録文書データとして収集し,テーマ分析方法を用いて分析した.分析の結果,シークエンス毎に3 つのコアテーマ,テーマ,サブテーマに分類された.コアテーマの《せん妄を発症するまでの思い》からは10 テーマ,《せん妄からの回復過程における思い》からは8 テーマ,《せん妄体験の想起と総括》からは4 テーマが導かれ,表面化されず患者自身しか知り得ない様々な思いが明らかになった.せん妄発症前は束縛恐怖など複数の苦痛や不安が存在し,せん妄発症後は断片的なせん妄の記憶,精神の弱さなどの否定的な思い,長期的なせん妄の余韻,自責の念や葛藤が存在していた.また,患者は家族や医療職者に対する感謝の思いを抱き,時間経過とともに病を克服しながら人生における貴重な体験と意味づけ,narrative を総括していた.これらのことから,患者が抱く様々な思いの存在に着目し,共感的姿勢で関わる重要性および,術前にせん妄の知識を提供するなどの予防的対応,早期に回復できるような個人に適した看護の必要性が示唆された.The objective of this study is to understand patient feelings after experiencing delirium whilehospitalized due to acute myocardial infarction. Using hospital diaries as narratives, we collected descriptions related to delirium as documented data, and analyzed these using thematic analysis. The analysis allowed the data to be classified into three core themes, themes, and sub-themes. From the core themes, we extracted ten themes from "feelings up to the development of delirium", eight from "feelings during the process of recovery from the delirium", and four from "recollections and summary of the delirium experience", which showed a variety of internalized feelings which only the patient could know. It was found that the patient suffered from different fears and anxieties such as the fear of being restrained before developing delirium. After delirium had developed, the patient had only a fragmental memory of the delirium, negative attitudes such as weakness of will, aftereffects after long-term delirium, feelings of remorse, and mental conflicts. The patient showed feelings of gratitude towards the family and medical professionals and overall viewed the experience as a positive life experience in overcoming the illness in the course of time. These findings suggest the importance of providing nursing care withempathy and paying attention to the variety of feelings of patients, as well as the necessity of proactive action, including providing information of delirium before surgery, and personalized nursing care to enable a speedy recover.
著者
小坂 信子 大高 恵美 Nobuko KOSAKA Emi OOTKA 日本赤十字秋田短期大学看護学科 日本赤十字秋田短期大学看護学科 JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA JOURNAL OF THE JAPANESE RED CROSS JUNIOR COLLEGE OF AKITA
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.12, pp.55-60, 2007

A県内看護教育機関7校を対象に、小児期感染症(麻疹、風疹、水痘、流行性耳下腺炎)の感染予防対策の現状を把握した結果、以下のことが明らかになった。1)抗体価検査は4種全てを「実施している」機関は3校あった。それらは1年次生に入学後に実施しており、経費負担は様々であった。2)既往歴の聴取は4種を4校が、予防接種歴の聴取は5校が実施していた。3)抗体価検査・既往歴の聴取・予防接種歴の聴取を行っていない機関が1校あった。4)学生への啓発活動は「入学時オリエンテーションでの説明」3校、「学内掲示板への掲示」2校あり、その他実習オリエンテーションや関連する講義で行っていた。今後、1年次早期に感染予防教育の一環として感染予防の意義や副反応対策までの具体的な説明の必要性が示唆された。
著者
伊藤 榮子 Eiko Ito 日本赤十字秋田看護大学看護学部看護学科
雑誌
日本赤十字秋田看護大学・日本赤十字秋田短期大学紀要 = Journal of the Japanese Red Cross Akita College of Nursing and the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:21868263)
巻号頁・発行日
no.17, pp.1-5, 2013-03-31

3歳~13歳の子ども60人とその母親の生活習慣とStreptococcus mutans(以下Sm)とLactobacillus(以下LB)の定量測定レベルとの関係を知るためにA市郊外にあるB歯科診療所で治療を受けていた母子60組(120人)に対して質問紙による生活習慣の調査と、Dentocult SM Strip mutans (伊藤、2010)とDentocult LB SLIDE CULTUREによるテストを2010年1月~8月に行った。本稿はそのLB及びSmとむし歯に関わる報告である。結果は以下のようであった。1)母親のSmとLBのレベル、2)子どものSmとLBのレベル、3)母子のSmとLBのレベルの比較から、Smとむし歯の原因になるかもしれないLBには統計的な差はみられず、SmとLBは同等に相関性が高く関連性があると確認された。これらの細菌は主に母親や大人とのスプーン,箸等の共用により感染すると考えられた。このことから、母親と子どもがむし歯予防を実践して生活習慣を変えることに、より大きな関心を持ち感染から子どもを守るための保健行動にふさわしいSmと同様にLBについての事実を含む健康教育をする必要がある。
著者
安仁屋 優子 佐久川 政吉 下地 幸子 あにや ゆうこ さくがわ まさよし しもじ ゆきこ Aniya Yuko Sakugawa Masayoshi Shimoji Yukiko 名桜大学人間健康学部看護学科
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.27, pp.107-115, 2018-03

本研究の目的は,文献から沖縄県離島・へき地の共同店が果たしてきた機能について明らかにし,共同店の機能を活かした未来の地域包括ケアシステム構築への応用可能性を考察することであった。 "共同店"などをキーワードに文献検索を実施。研究論文はCiNii,医中誌web版等,新聞・雑誌は沖縄タイムス・琉球新報のデータベース,MAGAZIN PLUS,沖縄県の市町村・字区誌,沖縄関連本は沖縄県立図書館データベースから検索した。文献から共同店が果たしてきた機能が記述されている内容を原文として抜き出し,カテゴリー化を図った。地域の中心に存在する共同店は,高齢者や住民同士・多世代間の「互助」を基盤に,小規模を活かした【多様な交流】が図りやすく,【柔軟な資金運用】や【地域資源の循環】の多機能を発揮しやすい環境にあった。また,日常・非日常の暮らしに必要な【生活情報の交換と発信】や【文化継承】の地域密着の機能を備えていた。さらに,【日常生活支援】に加えて,高齢者の生きがいづくりなどの【高齢者の介護予防】にまで広げ,「自助」を活性化させる可能性を秘めている。したがって,離島・へき地においては,共同店が果たしてきた小規模多機能地域密着型と自助・互助を基盤と捉え,これらの機能を活性化させることにより,地域包括ケアシステム構築への応用可能性はあると考える。
著者
溝畑 剣城 谷川 英二 竹田 秀信 松尾 耐志 奥野 修一 平瀬 健吾 増田 幸隆 福井 学 木村 智 Kenjo Mizohata Eiji Tanigawa Hidenobu Takeda Taishi Matsuo Syuichi Okuno Kengo Hirase Yukitaka Masuda Manabu Fukui Satoshi Kimura 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 藍野学院短期大学看護学科 Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College Department of Nursing Aino Gakuin College
雑誌
藍野学院紀要 = Bulletin of Aino Gakuin (ISSN:09186263)
巻号頁・発行日
vol.20, 2007-03-31

これは,3歳のMr.Rが両親の離婚で「父親」に見捨てられ,19年後,自ら求めて再会した抑圧的な父親に思いの丈を突きつけた,直面化と長引いたエディプス・コンプレックスの自覚,克服の物語である。5歳以後,母は再婚し「義父」と彼の連れ子の義兄,母が産んだ異父弟との生活で,Rは居場所を失った。7歳時,交通事故はそんな状況で起こった。現場に急行した警官に「理想の父」を見てRは救われた。そして24歳で結婚,26歳の12月長男誕生の予定である。しかし口唇裂の長男を堕胎するか否かでRは苦悩する。「妻の父」への報告も躊躇した。通常業務に,通信大学履修,論文作成,三種の仕事と第一子堕胎の決断を迫る,苦悶の極みに,父親を殺したいと思うまでにRはなった。だが「論文指導教授」が精神分析医Dr.Jで,RはJに精神療法を希求した。僅か9回,4ヶ月の面接での回復は,基本的信頼感がほぼ達成されたことを暗示している。
著者
安和 やよい 名城 一枝 嘉手苅 英子 あわ やよい なしろ かずえ かでかる えいこ Awa Yayoi Nashiro Kazue Kadekaru Eiko 名桜大学人間健康学部看護学科 名桜大学総合研究所 沖縄県立看護大学
出版者
名桜大学総合研究所
雑誌
名桜大学総合研究 (ISSN:18815243)
巻号頁・発行日
no.27, pp.165-173, 2018-03

琉球列島米国民政府(United States Civil Administration of the Ryukyu Islands, USCAR)による直接占領下での、那覇高等学校衛生看護科で行われた准看護婦教育は、琉球政府文教局の主導で開始されたと報告されているが、衛生看護科に関するUSCARの認識を示す文書は確認されていない。沖縄県公文書館所蔵のUSCAR文書を検討した結果、USCARは衛生看護科設置直前の1966年3月の時点で、衛生看護科履修後の生徒の身分をnurses' aidsとし、そのカリキュラムは看護婦資格取得または看護実践のための正式な看護教育を受けることを前提としたprep-schoolであるとしていたことが分かった。
著者
松田 光信 河野 あゆみ 先谷 亮 Mitsunobu MATSUDA Ayumi KONO Ryo SAKITANI 神戸常盤大学保健科学部看護学科 神戸常盤大学保健科学部看護学科 財団法人松原病院
出版者
神戸常盤大学 :
雑誌
神戸常盤大学紀要 (ISSN:18845487)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-8, 2012

本研究の目的は、早期退院を控えた統合失調症患者の服薬アドヒアランスに影響する要因を探索し、看護実践の示唆を得ることであった。対象者は、精神科急性期治療病棟に入院中の統合失調症患者22名(男性9名、女性13名)、平均年齢44.6±13.0歳、平均罹病期間12.7±13.5年、平均入院回数2.8±3.1回、心理教育参加者15名であった。データ収集は、心理教育開催時期に合わせ、開催前にデモグラフィックスデータ、治療状況、CP換算値、機能の全体的評価、服薬アドヒアランス、服薬と病気の知識を測定し、開催後にCP換算値、機能の全体的評価、服薬アドヒアランス、服薬と病気の知識を測定した。データ分析には、強制投入法による重回帰分析を用いた。結果、服薬アドヒアランスへの影響要因は、年齢、罹病期間、職業、心理教育参加、心理教育開催前の服薬アドヒアランス(MPS、DAI-10)であり、モデル全体の78 ~ 86%が有意に説明された。これより、患者の個人特性を考慮した服薬アドヒアランスを高める支援を模索する必要性と、心理教育が患者の服薬アドヒアランス改善に向けた看護援助になり得ることが示唆された。
著者
志賀 くに子 伊藤 榮子 Kuniko SHIGA Eiko ITOU 日本赤十字秋田短期大学看護学科 日本赤十字秋田短期大学看護学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Junior College of Akita (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.11, pp.29-35, 2007-03-20

産褥早期の乳房・乳頭トラブルの発生件数・内容およびそれらに対するケア内容について明らかにすることを目的に、秋田県内医療施設(18施設の褥婦364名)に対して調査を行った。その結果を以下に示す。1.乳房・乳頭トラブルは153名(42.0%)の褥婦に発生しており、最も多い発生時期は産褥3日目の52名(34.0%)であり、次いで産褥2日目の42名(27.5%)、産褥4日目の26名(17.0%)であった。2.乳房・乳頭トラブルの発生状況で最も多いのは、亀裂の56名(36.6%)であり、次いで痛みの38名(24.8%)、うつ乳の30名(19.6%)、発赤の28名(18.3%)、硬結の27名(17.7%)であった。3.乳房・乳頭トラブル時のケア内容で最も多いのは、授乳指導の82名(53.6%)であり、次いで乳頭マッサージの50名(32.7%)、自己搾乳指導の47名(30.7%)、生活指導の35名(22.9%)、冷湿布の30名(19.6%)であった。Our aim is to elucidate the incidences and types of breast and nipple problems in puerperal women and their treatment at medical facilities in Akita prefecture (18 facilities, 364 women). Wepresent the results as follows. 1. Breast and nipple problems were experienced by 153 puerperal women (42.0%). Symptoms most commonly emerged at 3 days postpartum (52 women, 34.0%) followed by 2 days postpartum in (42 women, 27.5%) and 4 days postpartum (26 women, 17.0%). 2. The symptom with the highest incidence was cracked nipples (56 women, 36.6%) followed by pain (38 women, 24.8%), and galactostasis (30 women, 19.6%), redness (28 women, 18.3%), and engorgement (27 women, 17.7%). 3. The most common treatment in response to breast and nipple problems was breastfeeding assistance (82 women, 53.6%) followed by nipple massage (50 women, 32.7%), assistance in manual extraction of milk (47 women, 30.7%), lifestyle guidance (35 women, 22.9%) and cold compress (30 women, 19.6%).
著者
糸井 志津乃 Shizuno ITOI 目白大学看護学部看護学科
出版者
目白大学
雑誌
目白大学健康科学研究 = Mejiro journal of health care sciences (ISSN:18827047)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.13-17, 2008
被引用文献数
1

本稿では、思春期の子どもたちの睡眠の実態および背景を文献等で概観し、睡眠障害の予防に向けての看護の方向性を検討した。結果、思春期の子ども達は、常時、睡眠時間が短く睡眠不足がみられていた。不十分な睡眠により慢性的に疲労感が残り、精神衛生が悪い傾向にあった。思春期の子ども達の睡眠障害を予防するためには、子ども達自身が睡眠の心身への影響に対しての問題意識をもち、嗜好品、学習と余暇時間のバランス、寝室環境、日中の運動と光、仮眠といったライフスタイルの改善を図ることが必要である。また、思春期という精神的にアンバランスな時期にあることを考慮し、自我形成や問題解決能力の向上を図れるようサポートしなければならない。看護者は家族に対しても日ごろから予どもの様子を観察する視点や方法、ライフスタイルの検討、彼らの精神的サポートについて、健康教育・保健指導の中に含めることが望まれるであろう。