著者
中山 留美
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

末梢組織における痒み伝達機構は解明されていることから、塗布薬としての痒み治療薬は一般的に普及している。しかしながら、アトピー性皮膚炎といった、難治で全身性の痒みに対する有効な治療薬がないことが、臨床における問題点である。そこで、中枢神経系に作用する痒み治療薬の開発が望まれていることから、中枢神経系における痒み関連分子について研究がされているが、病態との機能的関連性の全容は明らかとされていない。そこで、本研究により、痒み伝達経路の一端を解明する。
著者
川上 民裕
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ヒトiPS細胞由来メラノサイトを独自の条件設定で、効率よく分化・増殖させ、大量産生に成功した(特許取得)。本研究は、この細胞のさまざまな臨床応用へのステップである。①メラノサイトの欠如・機能不全疾患である尋常性白斑や脱色素斑への移植を含めた再生医療。②メラノサイトが癌化した悪性黒色腫の機序解明に使用し、重要因子の発見と有意義な治療法の開発。③美白化粧品の主成分である様々な物質のメラノサイトへの効果を検証する美白化粧品開発に利用。
著者
根本 亙
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

アンジオテンシン (Ang) 系は、脊髄内において痛みの伝達物質あるいは調節因子として機能している。本研究は、Ang系内において抑制的な役割を担う酵素であるアンジオテンシン変換酵素2 (ACE2) の脊髄疼痛伝達機構における役割を明らかにし、さらにACE2活性薬であるジミナゼン (DIZE) の神経障害性疼痛における有効性を検証することを目的としている。神経障害性疼痛の病態機序は多岐に渡ることから十分な鎮痛効果を得るために、従来の治療薬とは異なる作用機序を持つ薬の開発が望まれている。その点、DIZEは、Ang系を抑制することで既存薬とは違った作用機序から鎮痛効果を示すことが期待される。
著者
柴田 近 小川 仁 坂井 貴文 坂田 一郎
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

大腸運動異常は、QOLを低下させる疾患を引き起こすことから、大腸運動制御機構の解明が求められている。本研究は、食虫目スンクスを用いて、小型の埋め込み型strain gauge force transducerで胃及び大腸収縮運動と行動を同時に24時間連続観察できる実験系を確立した。その結果、排便の際には必ず巨大伝搬性収縮波が観察され、排便の前後に高確率で摂食や飲水が見られることを明らかにした。また、消化管ホルモンのモチリンは大腸運動を刺激しなかったが、セロトニンやノルアドレナリン受容体阻害剤であるヨヒンビンは巨大伝搬性収縮波及び排便を引き起こすことを明らかにした。
著者
丹野 孝一 中川西 修 根本 亙
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ストレプトゾトシン誘発性1型糖尿病モデルマウス(STZマウス)では血糖値の上昇に伴い疼痛閾値の低下が認められた。STZ投与後14日目における疼痛閾値の低下はAT1受容体拮抗薬のロサルタンによって抑制された。STZマウスの脊髄後角においてアンジオテンシン (Ang) ⅡおよびAng変換酵素 (ACE)の発現量は上昇していた。さらに、ACEはグリア細胞ではなく、神経細胞特異的に発現していることが確認された。以上の結果より、STZマウスでは脊髄後角の神経細胞におけるACEの発現量増加に起因し産生量が増加したAng ⅡがAT1受容体に作用し、糖尿病性神経障害性疼痛を引き起こしていることが示唆された。
著者
亀岡 淳一
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

学会等の議論の場で日本人の質問が少ないことはしばしば指摘されるが、質問力の体系的な教育はほとんど試みられていない。そこで我々は、質問力育成のために3段階による教育手法の開発を計画した。まず、学内授業で考えついた質問を全て書き出させ提出させ、質問を考えながら聞く習慣をつけた。次に、「重要性」「独自性」「レトリック」「ミクロかマクロか」「ベネフィットの及ぶ範囲(質問者、聴衆、発表者)の5項目による質問評価表を作成し、3学会で信頼性・妥当性を確認した。最後に、希望する学生を学会に参加させ、指導医と一緒に聞かせ質問を評価させ事後ワークショップを実施した。これらの教育は質問力向上に有用と考えられた。
著者
河村 真人
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

研究代表者は、消毒薬のクロルヘキシジンに抵抗性を獲得した緑膿菌がキノロン系抗菌薬にも耐性を示すことを見出している。抗菌薬の不適切使用が薬剤耐性菌(AMR)を出現させると考えられてきたが、消毒薬使用による抗菌薬耐性菌出現の可能性も示唆される。本研究の目的は、緑膿菌に対するクロルヘキシジンや塩化ベンザルコニウムなどの消毒薬使用が、抗菌薬の交差耐性獲得に関与するか否か検討し、そのメカニズムを解明することである。抗菌薬の適正使用のみだけではなく、生体や環境中に消毒薬を用いる看護師を中心とした全ての医療スタッフが、耐性菌問題に取り組む必要性がある。
著者
富田 和男 桑原 義和 高 裕子 並河 英紀 西谷 佳浩 漆原 佑介 山西 沙祐里 古川 みなみ 宮脇 正一 栗政 明弘 福本 学 佐藤 友昭
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
東北医科薬科大学研究誌 = Journal of Tohoku Medical and Pharmaceutical University (ISSN:24325724)
巻号頁・発行日
no.64, pp.49-55, 2017

Oxidative stress is a harmful state for the cell. The state arises from exposure to high levels of reactive oxygen species(ROS).ROS is a key molecule in maintaining cell proliferation, inflammation and cell death. ROS is also involved in aging and causes many diseases such as Parkinson s disease, Alzheimer s disease, cancer, diabetes mellitus and periodontal disease. The primary site of ROS generation in vivo is mitochondria. Mitochondria have its own DNA(mtDNA)that encodes a part of oxidative phosphorylation component proteins in mitochondria, and mtDNA damage by ROS causes neurodegenerative diseases and various types of cancer. Therefore, these damaged cells will provide valuable cell models to study oxidative stress and overcome ROS derived diseases. To analyze the mechanism of oxidative stress and ROS derived diseases, mtDNA depleted cells(ρ0 cells)are developed by treating low dose ethidium bromide. ρ0 cells do not have mtDNA, can't survive without pyruvate and uridine, produce little amount of ATP, sensitive to oxidative stress and generate higher ROS compared with parental cell. in this review, we describe the cellular response by oxidative stress such as radiation and hydrogen peroxide using ρ0 cells. we also discuss the relationship among oxidative stress sensitivity, mitochondria damage and plasma membrane status.