著者
福本 学 木野 康志 鈴木 正敏 山城 秀昭
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

福島第一原発事故の被災動物臓器アーカイブを構築し、以下の結果を得た。事故後2年経過し、ほぼ放射性セシウムのみが検出され、全臓器であった。ウシ血中の酸化ストレス関連因子は内部被ばく線量率と相関を示した。末梢血リンパ球のDNA二本鎖切断数は多かったが、線量とは無関係であった。ウシ精子に形成異常を認めなかった。地表を這い、γ、β線両方の被ばくが大きいアカネズミでは、精子形成の細胞回転が亢進しているが成熟精子に異常を認めなかった。野生ニホンザル骨髄は低形成傾向だが、抹消血球に異常を認めなかった。著変は認めないもののサルの内部被ばく線量率は現在も高く、生物影響を知るための詳細な観察継続が必要である。
著者
福本 学 大野 剛 山本 直樹 鈴木 正敏
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

有害獣として被災地域で殺処分された野生ニホンザル(被災サル)の解剖を行い、内部被ばく・外部被ばく両方の線量評価を伴った臓器アーカイブを構築し、他研究者へも提供する。アーカイブを用いて被災サルの全身臓器の形態・分子変化を検索し、被ばく線量・線量率との関係を明らかにする。特に甲状腺、水晶体と造血系の変化に留意する。内部被ばく線量率に応じて被災ウシで酸化ストレスが増加しているなど、今までに報告した結果を被災サルで検証し、長期持続被ばくの普遍的な放射線影響を知る。霊長類である被災サルの病理学的解析からヒト放射線防護への直接的な貢献を目指す。
著者
福本 学
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.33-40, 2013 (Released:2013-07-09)
著者
五十嵐 良典 片桐 耕吾 岸 秀幸 長谷川 毅 小川 聡 星 一 大橋 茂樹 吉岡 秀樹 高田 洋孝 福本 学 前谷 容 酒井 義浩
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.380-384_1, 1992

1990年1月より1991年4月までに経十二指腸的に截石した総胆管結石18例に親子式経口胆道鏡を行った.15例に胆嚢管内に挿入しえた.そのうちの3例は胆嚢頸部まで挿入しえた.螺旋部へは13例,平滑部へは全例挿入しえた.良好な内視鏡像のえられた12例で胆嚢管粘膜像を検討したところ,粘膜血管透見像は螺旋部まで挿入しえた10例全例に,平滑部に挿入しえた12例全例に認められたが,粘膜血管拡張像の合併を螺旋部で4例に,粘膜の凹凸像を螺旋部で2例に認めた.メチレンブルーによる色素法を4例に行い,粘膜模様について観察した.通常観察で平滑とした3例のうち2例は粘膜模様は均一であったが,1例は不均一であった.凹凸を認めた1例も粘膜模様は不均一であった.不均一部からの生検組織像は軽度の慢性炎症性変化であった.
著者
富田 和男 桑原 義和 高 裕子 並河 英紀 西谷 佳浩 漆原 佑介 山西 沙祐里 古川 みなみ 宮脇 正一 栗政 明弘 福本 学 佐藤 友昭
出版者
東北医科薬科大学
雑誌
東北医科薬科大学研究誌 = Journal of Tohoku Medical and Pharmaceutical University (ISSN:24325724)
巻号頁・発行日
no.64, pp.49-55, 2017

Oxidative stress is a harmful state for the cell. The state arises from exposure to high levels of reactive oxygen species(ROS).ROS is a key molecule in maintaining cell proliferation, inflammation and cell death. ROS is also involved in aging and causes many diseases such as Parkinson s disease, Alzheimer s disease, cancer, diabetes mellitus and periodontal disease. The primary site of ROS generation in vivo is mitochondria. Mitochondria have its own DNA(mtDNA)that encodes a part of oxidative phosphorylation component proteins in mitochondria, and mtDNA damage by ROS causes neurodegenerative diseases and various types of cancer. Therefore, these damaged cells will provide valuable cell models to study oxidative stress and overcome ROS derived diseases. To analyze the mechanism of oxidative stress and ROS derived diseases, mtDNA depleted cells(ρ0 cells)are developed by treating low dose ethidium bromide. ρ0 cells do not have mtDNA, can't survive without pyruvate and uridine, produce little amount of ATP, sensitive to oxidative stress and generate higher ROS compared with parental cell. in this review, we describe the cellular response by oxidative stress such as radiation and hydrogen peroxide using ρ0 cells. we also discuss the relationship among oxidative stress sensitivity, mitochondria damage and plasma membrane status.
著者
妙本 陽 眞鍋 昇 今居 譲 木村 嘉博 杉本 実紀 岡村 佳則 福本 学 酒巻 和弘 庭野 吉巳 宮本 元
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.641-649, 1997-08-25
被引用文献数
13 15

ブタ卵巣の健常卵胞から調製した顆粒層細胞を反復感作したマウスの脾細胞とミエローマから常法に従ってハイブリドーマを作成し, IgM抗体を産生しかつ免疫蛍光法にて健常卵胞顆粒層細胞とのみ反応するものを選抜した. 次いでハイブリドーマが産生する抗体が培養顆粒層細胞にアポトーシスを誘発出来るかを調べ, 2種の細胞株 (PFG-1およびPFG-2) を選抜した. PFG-1抗体は顆粒層細胞細胞膜の分子量55kD, 等電点5.9の蛋白質を認識し, PFG-2抗体は分子量70kD, 等電点5.4の蛋白質を認識することがウエスタンブロット法にて分かった. 顆粒層細胞を0.1μg/mlのPFG-1抗体あるいは10μg/mlのPFG-2抗体を添加した培地で3時間培養すると顆粒層細胞にアポトーシスを誘発することが, 核の形態, DNAのラダー形成およびフローサイトメーターによる核相解析にて確認できた.
著者
日合 弘 賀本 敏行 豊國 伸哉 福本 学 石本 秋稔 鶴山 竜昭 阿不江 ぱ塔爾
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本助成金を受けて、計画の大部分を達成するとともに、著明な進展がみられた。(1)リンパ腫好発系 SL/Khマウスの骨髄Pre-B細胞の一過性増殖は第3染色体上のQTLであるBomb1(Lef1)によることが示された。(2)リンパ腫DNAへのウイルス組込みホットスポットの多くがクローニングされ、Bomb1によるリンパ球分化異常とリンパ腫発生機構の関連に大きな手がかりが得られた。(3)4NQO誘発ラット舌癌については感受性に関与する5つの宿主遺伝子座をマップし遺伝様式を解明した。(4)化学発癌剤抵抗性DRHラットの肝発癌モデルで前癌病変であるGST-P陽性フォーカスの遺伝支配を研究し第1、第4染色体に高度に有意な座位をマップした。(5)遺伝的カタラクトRLCについては責任遺伝子マップ位置からPYK2が候補遺伝子で、RLCレンズで正常マウスを免疫するとPYK2のN端異常ペプチドに対する抗体が作られた。cDNA、genomicDNAについて、遺伝子構造を解析中。(6)NCTカタラクトはNa/K pumpに対する内因性抑制ペプチドの形成により発生する。1000頭の戻し交配系を解析し、マップ位置からBAC contigを作製中である。カタラクトのタイプ(pin head or diffuse)を決めるmodifier geneを第10染色体にマップした。この位置にNa/K pumpの一部がマップされていた。(7)PNUによるラット白血病の病型決定機構を解析するためF344とLE/Stmの間で育成されたRI系について、白血病を誘発して遺伝解析を行い、数個のQTLが関与している可能性を示した。これら一連の研究から内在性レトロウイルス、化学発癌剤、遺伝的変異による疾患も多くは多因子の宿主修飾遺伝子の影響を受け、発病の有無、重篤度、病型などが決定されることを示した。一部のものについては分子生物学的な理解に肉迫している。