著者
福井 義一 飯野 めぐみ 福井 貴子
出版者
東海学院大学
雑誌
東海学院大学紀要 (ISSN:18827608)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.193-202, 2007

本研究は,解離性同一性障害のクライエントに催眠療法を適用して人格統合から治癒に至ったケースについて,症状の顕在化する前に2回と人格統合後に2回実施した心理検査の結果を比較し,体験様式やパーソナリティの変容について検討した。用いた心理検査はMMPIとバウムテストであった。その結果,MMPIにおいては,先行研究で得られたような妥当性の低下や分裂病尺度の上昇は見られなかったが,症状の顕在化直前には各臨床尺度の値が揃って上昇したことが分かった。バウムテストからは,初回と2回目の異質さが示され,統合後は安定した描画となったことが,諸変数の変化からも明らかとなった。さらに,描かれた木の説明からも重要な情報が得られることが示唆された。総じて,一事例研究から解離性同一性障害の一般的特徴を抽出することは適切ではないが,検査結果を継時的に比較検討することは有益であると結論づけられた。
著者
小高 良友
出版者
東海学院大学
雑誌
東海学院大学紀要 (ISSN:18827608)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.53-59, 2011-03-20
著者
中出 麻紀子 饗場 直美
出版者
東海学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

朝食欠食は栄養バランスの偏り、学業成績の低下、肥満及び生活習慣病との関連が指摘されている。大学生を含む若年成人の朝食欠食者は全年代層の中で最も多いにも関わらず、朝食欠食者低減のための具体的アプローチ法については未だ確立されていない。本研究では、朝食の重要性に関する知識普及等の従来のアプローチ法に対し、よりテーラーメイド化したアプローチ法を提唱するため、朝食欠食者の持つ「朝食摂取に対するモチベーションに着目し、各モチベーションごとの対象者の特徴を明らかにすることで、より具体的なアプローチ法の確立を目指すことを目的としている。本年度は、昨年度までに収集した2~4年生の大学生男女2816名のデータ解析を行った。朝食を週4日以上食べる人を朝食摂取者とし、朝食欠食者は以下の4群に分類した:朝食を食べる気があり自信がある、朝食を食べる気があるが自信が無い、朝食を食べる気がないが食べる自信がある、朝食を食べる気も自信も無い。朝食摂取者及び上記欠食者の5群間で生活習慣、食事および体重に関する意識、環境の項目についてχ2検定を行い、その後多項ロジスティック回帰分析(上記有意差が認められた項目を独立変数、朝食摂取者及び欠食者4群を従属変数)を行った。その結果、朝食摂取者と比較し、朝食欠食者では共通して喫煙や夜食をする人が多かった。その他、朝食を一人で食べる、健康を維持するために必要だと思う朝食回数が少ない、食事バランスに関する知識が無い、経済的に厳しい等、朝食欠食者がもつモチベーション別に、朝食摂取の妨げとなる要因が明らかとなった。解析結果については学会発表を行い、現在、学術雑誌への論文投稿に向けて、原稿を執筆中である。