著者
塚本 こなみ 鈴木 清
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.180-182, 2011-10-31
著者
加賀谷 悦子
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-8, 2005-03-31
被引用文献数
2

近年,生態学分野で急速に分子マーカーの利用が進んでおり,森林昆虫研究に関してもさまざまな成果が報告され始めた.本総説は,分子マーカーの手法と森林昆虫研究に関する国内外の研究事例を紹介するものである.手法として,シーケンシンダ,PCR-RFLP,SSCP,マイクロサテライト,SNPs,RAPD,AFLP,アロザイム,を解説した.上記の手法を用いたマイマイガ(Lymantria dispar)やタイリクヤツバキクイムシ(Ips typographies)などに関する国外の研究事例と,スギカミキリ(Semanotus japonicus)についての国内の研究事例を紹介し,地理的変異の解析をはじめ,近縁種との識別や,個体群間の移動実態の推定に分子マーカーが有用であることを示した.また,DNA解析に供する標本の保存法を説明した.
著者
小野寺 有子 坂上 大翼 松下 範久 鈴木 和夫
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-11, 2001-03-31
参考文献数
25
被引用文献数
1

高齢大型となった巨樹・老木が都市域でどのような生理的・外観的特性を示すかを明らかにする目的で、東京都区部に生育するイチョウ、ケヤキ、クスノキ、ユリノキおよびスダジイの胸高周囲長3m以上の巨木と1m以下の中径木を供試木として、水分生理状態、葉の養分濃度、クロロフィル量、クロロフィル蛍光、樹幹表面温度、フェノロジーの計測観察を行った。どの樹種でも、巨木の方が中径木より水分生理状態が悪く、カリウム、マグネシウム濃度が低く、クロロフィル量が少なかった。SPAD値は、スダジイを除く4樹種で巨木の方が中径木より低かった。クロロフィル蛍光には、巨木と中径木で差は認められなかった。巨木と中径木の樹幹表面温度の日変動を比べたところ、巨木の樹幹表面温度が高い傾向が認められた。また、どの樹種でも巨木の黄葉、黄葉終了、落葉が早く、黄葉-落葉期間が長いという傾向が認められた。開芽・展葉の傾向は樹種により異なっていた。巨木は中径木とは明らかに異なる生理状態やフェノロジーを示すといえる。
著者
松木 佐和子
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.105-108, 2004-09-30
参考文献数
1
著者
河辺 祐嗣 軽部 勲夫 杉山 正幸 松浦 敦士
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.3-11, 2008-01-31

茨城県内の58年生のヒノキ人工林内において,直径約40mの楕円形状に集団枯損被害が発生しているのが見つかった.枯損被害の原因は,突発的に,一斉に,集団で発生しているという被害状況から落雷と判断された.落雷以外の原因についても検討したが,該当するものはなかった.集団枯損被害は落雷の発生した翌年4月頃に葉枯れを示して顕在化した.被害が顕在化した当初における被害木集団の範囲は,時間の経過とともに外側に拡大することはなかった.しかし,被害木集団の範囲内では,被害が顕在化した当初には枝枯れまたは半枯れの部分枯れであったものが,時間の経過とともに全枯れに移行する場合があることが明らかになった.全枯れへの移行は穿孔性害虫の加害が原因になったと推測された.落雷によるヒノキ林の集団枯損被害の状況は,既存の報告におけるスギやアカマツの場合と良く合致した.集団枯損被害地に落雷が発生したことが気象データにより確かめられた.気象データおよび被害実態をもとに落雷発生日が特定された.
著者
鈴木 和夫
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.33-38, 2002-03-31
被引用文献数
2
著者
吉川 枝里 米田 美里 岩永 史子 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.191-201, 2009-10-31

オオバヤドリギ(Scurrula yadoriki(Sieb.)Danser)の寄生機構解明を目的として野外調査により宿主選択特性を検討した.さらに種子接種実験を行い,発芽と成長からオオバヤドリギの寄生特性を検討した.また接種したメタセコイアとヤマモミジの若木を用いて,解剖学的手法により着生部の組織を観察し,発達初期の吸器構造を明らかにした.この結果,本種は針葉樹,広葉樹,あるいは常緑樹,落葉樹を問わず多くの樹種に寄生することを確認した.吸器構造については宿主枝内部で楔状に発達した後,突起の発達した一次吸器と,着生部から軸方向に発達する二次吸器を確認した.吸器は宿主樹種によってやや異なる形態を示した.着生部における宿主の二次木部の過剰形成は,吸器の発達に対する宿主の抵抗反応によって引き起こされていることが示唆された.また,宿主二次木部内から樹皮方向へ突起状構造を拡大することにより,常に通水機能を有する新しい宿主木部との接触が可能になっていることが推察された.