著者
小澤 正直
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.119, no.4A, pp.D210-D228, 2012-02-20 (Released:2017-10-02)

量子測定は,測定対象と測定装置の間に相関を確立することであるとよく言われるが,その正確な意味について充分な理解が得られているとは言えない.本稿では,この問題を解明するために,エンタングルメントでは表現できない,二つの物理量が異なる時刻でもつ値の相関に関する理論を展開し,量子測定が実現する対象と装置の間の相関の意味を解明する.この成果に基づいて,非可換物理量の同時測定に関する理論を展開し,その可能性と特徴付けを与える.また,これらの成果を通して,測定が達成されると言うことが量子力学的文脈性にどのように関わるかを考察する.
著者
中西 襄
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.131-134, 1979-12-20 (Released:2017-10-02)

一般相対論とディラックの電子論の自然な融合が重力場の量子化によってはじめて達成された。この数学的な事情を面倒な計算を一切抜きにして説明する。
著者
永谷 幸則
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.E32-E34, 2001-08-20 (Released:2017-10-02)

標準模型の真空中で小質量のブラックホールを考えると、ホーキング放射によって周囲が加熱され、球対称にブラックホールを取り囲む電弱ドメイン壁が出現する事を示す。このドメイン壁は電弱相転位が2次転位であっても出現する。また、CP対称性の破れを仮定するとその電弱ドメイン壁はバリオン数を生成し、生成されるバリオン数の総量はブラックホール質量とCP対称性の破れの大きさに比例する。この現象の応用として、質量数百キログラムの原始ブラックホールによって宇宙のバリオン数の起源とダークマターを説明するモデルを提唱する。
著者
谷川 安孝 広瀬 和彦
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.744-749, 1973-08-20 (Released:2017-10-02)

これまでに多くの人たちによって、素粒子の"ひも"モデルの力学的基礎づけがなされてきた。例えば、1次元な"ひも"が4次元空間に抜きかす2次元曲面の面積を極小にするという変分原理などが提案されている。ところで,そのときに使われる"ひも"上の1点を指定する座標X^μ(τ,σ)の時間的パラメーターτの物理的意味や、変分に対して付加する付加条件の力学的な意味が必ずしも明瞭にされていない。この論文では、相対論的弾性体理論から、直接に"ひも"や3次元的弾性体≡"こんにやく"の運動方程式を導くことにする。この方法では、使われる物理量は、最初からよく定義されているものだけであるから、"ひも"や"こんにやく"の力学的構造がはっきり解明される。
著者
長岡 洋介 登谷 美穂子
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.349-399, 1996-09-20 (Released:2017-10-02)

京都大学は来年(1997年)、創立百周年を迎える。その記念事業の1つとして、現在百年史の編纂が進められており、来年にはその第1巻が刊行の予定である。私たちはその中の部局史の1章として基研の歴史を執筆した。基研は理論研との合併のあと、昨年には新しい研究棟も出来上がり、第2期基研ともいうべき新しい時代を迎えている。この時期に、基研の歴史をまとめることには、何かの意味があるだろうと思う。京大百年史が研究者の目に触れることはおそらくないだろうし、また長さの制限もあって、基研に関心をもつ研究者以外の人たちには興味がないだろうと思われる部分は百年史の原稿から削除せざるを得なかった。そのようなことから、「完全版」を本誌に載せていただくこととした。なお、百年史は記述を平成6年3月末までとする制限があるので、本文はそのようになっている。その後の重要事項については脚注で補足した。かなりよく調べたつもりだが、まだ間違った記述もあるのではないかと思う。ご指摘をいただければ幸いである。
著者
疋田 泰章
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.117, no.6, pp.F73-F78, 2010-02-20 (Released:2017-10-02)

ホログラフィック双対性の最も有名な例としてAdS/CFT対応があるが、この対応を用いることでゲージ理論の強結合領域を古典重力理論を用いて調べることができる。QCDの強結合領域に関する成功をもとにして、最近ではその対象を広げて物性系に応用しようという試みがなされている。特に高温超伝導では強相関物理が重要であると言われており、ホログラフィック双対な記述が有効であると期待できる。超伝導相ではクーパー対に対応する演算子が凝縮していると考えられるため、双対な重力理論ではその演算子に双対なスカラー場が凝縮する必要がある。ここでは、超伝導に関する話題を中心に、不純物のある系に関する我々の研究も含めた最近の発展を紹介する。
著者
木下 東一郎 南部 陽一郎
出版者
素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3-2, pp.176-181, 1950-01-10 (Released:2017-10-02)

前号(1)に中間子電流に対する電磁場のdynamical reactionにつき予備的な計算の計算の結果を報告したが,その中には方法論的に明確でない点や未解決な問題が残されていたので,これらのことについてその後考えたことを述べる。なおまだ計算が完了していないので詳細は次の機会にゆづることにする。