- 著者
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上野 健爾
山田 泰彦
齋藤 政彦
加藤 文元
神保 道夫
齋藤 秀司
- 出版者
- 京都大学
- 雑誌
- 基盤研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 2001
上野はJ.Andersenとの共同研究で,曲線が退化する際のアーベル的共形場理論(bc系の理論)を構成した.この結果は,非アーベル的共形場理論からモジュラー函手を構成する際に,アーベル的共形場理論の分数ベキとのテンソル積を取ることが必要となり,点付き代数曲線のモジュライ空間の境界でのテンソル積の挙動を調べるために使われた.さらに,このモジュラー函手から構成される3次元多様体の不変量は,リー代数がsl(2,C)の時はReshetikhin-Turaevが構成した不変量と一致することがほぼ明らかになった.証明の詳細な詰めは次年度の研究で行う予定である.また,上野はアーベル的共形場理論を代数曲面の場合に拡張するための予備的な考察を行った.齋藤政彦はパンルヴェ方程式の初期値空間の研究を行い,初期値空間として登場する岡本・パンルヴェ対が逆にパンルヴェ方程式を決定することを,岡本・パンルヴェ対に変形理論を適用することによって示した.山田は多変数のパンルヴェ方程式を対称性の観点から研究した.また,神保は量子場の相関関数とq直交多項式との関連を考察した.また,齋藤秀司は非特異代数多様体のChow群に関するBloch-Beilinsonフィルター付けについて考察した.加藤はMumford曲線に関する研究を行い,Mumford曲線を被覆として持つ非アルキメデス的オービフォールドの特徴付けを与え,またモジュライ空間でのMumford曲線のなす軌跡の性質について新しい知見を得た.またMumfordによる擬射影平面の志村多様体としての具体的な構成を与えた.