- 著者
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田中 正
- 出版者
- 素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部
- 雑誌
- 素粒子論研究 (ISSN:03711838)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.5, pp.335-381, 1979-08-20 (Released:2017-10-02)
lepton-quarkの統一模型として,相対論的なdeformable rotator modelが検討される。結果としてlepton-quarkに対するWeinberg-Salam型の理論に実体的な解釈が与えられると同時に,いくつかの特徴的な結論が導かれる。i)lepton-quarkの固有スピンと弱アイソ・スピンとはrotatorの回転モードに起因する相互に不可分の量で,ともにSU_2構造をもつ。ii)rotatorの"変形主軸"の回転モードから,フレーバー自由度として新たにSU_2⊗SU_2構造,従ってそれに伴う2種のフレーバー・アイソ・スピンL^^→,M^^→が現われる。iii)"変形主軸"方向のdilatation自由度から,カラーSU_3とleptonとquarkを識別するU_1構造が導かれる。iv)この拡がり模型の斉合的記述には一般化されたKaluza-Klein型の多次元空間の導入が必要とされ,後者の計量テンソルγ_<AB>(A,B=1,2,・・・,4+n)を通じて4次元重力テンソル場g_<μν>(X),上述のlepton-quarkの内部対称性を局所化するためのYang-Mills場A^a_μ(X)(a=1,2,・・・,n),および対称性の自発的破れを誘発するHiggs場と見做されるスカラー場g_<ab>(X)(a,b=1,2,・・・,n)が自動的に理論内部に導入される。v)この理論からの予見として,(ν_τ,τ),(t,b)につづくlepton-quarkの第4のsequential doubletの存在とともに,さらに複雑な構造をもつlepton-quarkの励記状態の存在の可能性が指摘される。