著者
小野澤 正喜 小池 庸生 周東 聡子 泉水 清志 三浦 哲也 伊藤 優子 櫻田 涼子 幸田 麻里子 金子 義隆 藤原 愛 大島 宗哲
出版者
育英短期大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グローバル化の中で外国人との接触が増え、日本人の異文化に関する意識に大きな変容が生じている。異文化との共生の中、群馬県の青年層が異文化をどのように捉え価値観を見いだしているのか調査を行った。調査では、地域のコミュニティよりも学校生活における友人関係が、異文化に対し強く影響を与えている傾向が見られた。
著者
佐藤 喜久一郎
出版者
育英短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

今年度は世界的な新型コロナウィルスの流行により、予定していたフィルドワーク、インタビュー調査、研究会などを全て中止することになった。本研究の情報提供者(インフォーマント)には、いわゆる「古老」や宗教者が多く、感染リスクを冒すことで地域社会に与える影響は大きい。コロナ禍以前においても、代表研究者は被調査者の健康状態やコミュニティとの関係を考慮しつつ、慎重に研究を進めてきた。まして、現在のような病気蔓延の社会状況のもとでは、よりいっそうの注意と安全対策が求められることになる。本研究においては、文書所蔵者宅への個別的な訪問、文書蔵での複数の研究者による調査活動、「古老」へのインタビューなどが必要不可欠であるが、調査を継続しようとすれば、これらの実施は必然的に「三密」となり、被調査者の健康リスクを伴うことになる。このことはきわめて危険であるため、今年度はフィールドワークを中断し、リスクを回避することに決めた。またそのこととは別に、文書の解読などの作業に当たってきた研究協力者の多くも、コロナ禍による研究環境の大きな変化によって従来のような研究活動を満足に行うことができなくなっている。そのため今年度は、フィールドワーク以外のことについても実施規模を縮小し、これまでに撮影した文書類の整理分類と比較分類など、代表研究者がひとりで行えることだけをするに留まった。本格的なインタビュー調査と、残された文字資料の写真撮影はコロナ禍の終息を待って行うことになっている。
著者
増山 光洋
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
no.24, pp.57-70, 2007-02

There are numerous problems in a volleyball-league system that is composed of company-run teams alone in Japan. This system has long developed and gained status, producing many capable national players, and exhibiting the highest performance in a world contest. As time goes by, the system is faced with grave challenges that are imposing a serious threat to its existence. As many company-run teams of other sports such as soccer have become independent of their corporations, the conventional system is needed to change so as to play a leading role as a general sports club to galvanize local citizens' sport life and at the same time to improve the level of performance in sports. In 2001, Tokyo Verdy Volleyball Club was established as an interdependent club unlike a conventional company-run team, based on the management system of a J-league professional soccer club, attempting to participate in the volleyball league made up of companyrun teams and other activities. It actually doesn't belong to a corporate but supports itself by attaining sponsorship from many companies. It also regularly takes part in local activities. In spite of many problems lying in the new system of the Club, it would be a model case of volleyball team management in Japan.
著者
佐藤 達全
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.23-36, 2007-02-01

The actual conditions of playing the bully in elementary, junior and senior high schools have been reported and pupils or students who were bullied have committed suicide one after another. Moreover, bully and injury cases or murder cases caused by one's true mother (father) or by the people living together have occurred endlessly. The construction of society and one's view of worth changed, we cannot deny the fact that one's view of life has been changed. However, "to foster life" and "to nurture a feeling of sympathy" should never be forgotten, whichever period or society we may live in. As such problems have occurred so often, special correspondence is pressing in school. But I think that even in the period when the higher education had not been so popular as today, we were taught at home that playing the bully is wrong. When a member of a Japanese family at home calls himself (herself) as the first person or calls the other member as the second person, the junior member doesn't call the senior member using personal pronouns. On the contrary, the senior member takes to the junior member without using terms that shows his (her) family relation. In Japan the fasis of telling oneself or calling the other member of a family is on "which relation a member has to the youngest member of a family." These things have been one of the primary factors of fostering "the mind of sympathy, " I think. Therefore, I consider this problem paying special attention to the members' way of calling each other in a family in Japan.
著者
大佐古 紀雄
出版者
育英短期大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

フィンランドの保育者制度を精確に理解することに予想以上の困難があったが、その詳細をつかむことができた。幼保の制度は一元的であっても、保育者養成のルートが多様であり、その最終学歴レベルにおいても裏付けとなる専門分野も異なる者が混在して職場にいるような状態である。特に大学と応用科学大学(AMK)に着目して事例研究を行ったが、同国の高等教育の質保証のシステムに準拠しながらも、それぞれの機関で良質な教育を提供するべく、教育課程、入試、実習においても工夫が為されていたことが確認できた。当初予定していた他の欧州諸国との比較まで至ることができなかったが、保育者およびその養成の制度の比較の視座が得られた。
著者
千田 誠二
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.1-8, 2002-02-01

本研究は,英語教育におけるTeacher Talkの手法の一つ,MERRIER Approach(渡辺, 1995)の効果を調べたものである。中でもExample(例示)とRedundancy(発想を変えた言い換え)に注目し,この手法による教師の英語インプットを吸収した学習者が,後にどのような発話をするに至ったかを量と質の両面から分析した。教材はショートストーリーを用いて,統制群・実験群ともに2回聞かせた。ただし,実験群には2回目にMERRIER ApproachのExampleとRedundancyを多用して聞かせた。その後学習者にストーリーの内容を書き出させ,量的な観点からは総語数と従属節数,質的な観点からは独創的語彙数と統語変化数それぞれの伸びを測った。その結果,実験群すなわちMERRIER ApproachのExampleとRedundancyを通してストーリーを聞いた学習者は,総語数の伸びが統制群よりも有意に高いことを示した。一方,他のデータに有意な差は見られなかった。本結果から,MERRIER Approachによるインプットを学習者に与えることで,ストーリーの内容が深く理解され,発話の面にも好影響を及ぼすことがわかった。
著者
佐藤 達全
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.43-58, 2003-02-01

「保育は人である」とよく言われる。乳幼児期の特性の一つが「まねる」(学ぶの語源)ことである点から,人的な環境としての保育者の一挙手一投足が子どもの行動の仕方や成長・発達の進み具合を左右し,さらには子どもの心にも作用して将来の人間性に大きく影響することは言を侯たない。それゆえ,保育者には「子どものお手本」としての行動が求められることは当然であるが,それだけでなく「人間」としてどう生きたらよいかについても日頃から考えておかなければならないのである。しかし,実際に保育者を目指している学生にはそうした意識は強くないどころか,さまざまな問題行動が存在するように思われる。そこで,学生の行動の実態と自己認識を調査し,さらに実習園からの評価と比較しながら考察した。その結果,望ましい保育者を育てるために重要ないくつかの問題点がみつかった。
著者
高橋 ひさ子
出版者
育英短期大学
雑誌
育英短期大学研究紀要 (ISSN:09143351)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-13, 2003-02-01

本稿は夏目漱石(1867-1916)の『三四郎』(1908)と西洋絵画との関係を探っている。漱石作品への視覚芸術の影響については近年さまざまな研究が行われているものの,『三四郎』へのシンボリズムのプログラム応用については,今なお十分な研究が行われていないのが現状である。本稿は,『三四郎』のヒロイン美禰子像形成への漱石のシンボリズムプログラムの応用を明らかにすることを主眼とし,漱石の西洋絵画への強い関心,ジャンーバプティスト・グルーズ(1725-1805)が描いた少女像と『三四郎』のヒロイン美禰子像との関連性,さらに典型的なシンボリストモチーフで描かれた女性像との近似性,そして作品へのシンボリズムプログラム応用へと漱石を導くこととなったシンボリズムに対する漱石の理解と共感についての四部構成で論じている。